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深紅
私は誰かのためじゃない
私のためにいるんだと
言い聞かせては
自嘲した
私は私
他人は他人
けれど私のどれだけが
他人でできているんだろう
一体私のどれだけが
他人をつくっているんだろう
いつだって
この世界に色はない
色はもとからあるものではないし
そんな色なんてつまらない
誰かが白だと言っても
私が黒だと思えば
それは私にとっての黒
このまっさらなカンバスに
誰かが誰かの色を塗る
あなたはあなたの色を
君は君の色を
私は私の色を
全てを焼き尽くすような
そんな絵の具に身体を浸して
私は笑おう
私の色は燃えている
嗚呼、この場の色は!
『深紅』