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距離
手を伸ばしたい
けれどあなたは
あまりにも近すぎて
この手を伸ばせば
傷つけてしまうだろう
その手を取りたくて
微笑んでみても
あなたは手など忘れて
笑い返すのだろう
此処まで来た
そのことに不満なんて
あるはずもない
此処まで来れた
これからに不安なんて
持つべきじゃない
けれど
あなたの顔すら
見えるか危ういこの場所
足を踏み外さないと
どうして分かるだろう
あなたの腕すら
掴んでいるか危うい
そんな場所で
指が離れないと
どうして言えるだろう
だから私は
少し踵を返して
あなたと手を繋ぐ
寄り添ってもまだ
空白のある場所で
私たちは違うから
それが当たり前だから
だから笑おう
あなたの顔の見える
この場所で
『距離』