### **第八章 雷光の余韻(リテイク版)**
リテイク版になってるのは「戦場の記録者として」の記事の内容を己が下書きしてAIに清書してもらったからです。
ちなみにこの記事の部分は筆者の考えほぼそのままなんですけど……皆さんはどう思いますか?
犠牲多すぎって言いますけど、例に挙げてるセバストポリ要塞とかも見ると、そもそも近代要塞戦って結構人死ぬっぽくないです……?
あとは203高地の価値も要塞守ってたロシア軍さえよくわかってないのに、アウェーかつ情報も大して持ってなかった乃木さんが気づくのは困難でしょう。
児玉源太郎氏が203高地の価値に気づいたというのは司馬さんの創作だそうですし、仮に本当に気づいていたとしてもそれは児玉源太郎氏がとびきり有能であるという事であって、乃木さんが無能であるかどうかは限らないのではないでしょうかね~。
と前置きが長くなりましたが本編行きますか。
雷光の筆は、時代を裂いた。
旅順要塞戦の記録が新聞に掲載されたその日、
町のあちこちで、新聞を読みふける者たちの姿があった。
居酒屋の片隅で、家族団らんの食卓で、街道を歩く商人の手元で。
誰もが、その紙面を見つめていた。
**「雲耀、復活!」**
新聞社の編集室では、記者たちがざわめいていた。
「これは……今までの雲耀とは違うぞ」
「政府批判じゃない……むしろ、これは……擁護か?」
いつもは政府を痛烈に批判する雲耀の記事だった。
だが、この日掲載された記事は違った。
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**『戦場の記録者として』**
旅順要塞は、すべてを飲み込むリヴァイアサンのようだった。
その威容は、連なる山々のような巨大な悪竜であり、
西洋文明が悪意を持って形を成したかのような要塞であった。
要塞の中に一歩でも足を踏み入れれば、
泥にまみれ、死の気配が漂い、鉄の雨が降り注ぐ。
そこに名誉も誇りもなく、ただ生と死だけがある。
だが、その龍を討ち果たした者がいる。
その名を、乃木希典という。
彼を愚将と呼ぶ者がいる。
犠牲の多さを見て、彼の戦術を批判する声は後を絶たない。
しかし、私は諸君に問いたい。
かつて、1855年、セバストポリ要塞で同じ地獄が繰り広げられた時、
それが終わり、平和が戻るまでに**必要だったのは300日もの月日** であった。
だが旅順は、わずか半年で落ちた。
犠牲者の数も、決して少なかったとは言えない。
だが、それは乃木の責ではない。
この戦争が、旅順という悪竜との戦いが、
**そもそも「そういう戦い」だったのだ。**
確かに、彼の作戦に戦術的なミスはいくつもあるだろう。
だが、諸君に問いたい。
**ミスをしないのであれば、彼はまさしく軍神なのだろうか?**
だが彼は、乃木希典は **人間なのだ。**
知恵も胆力もあり、あまりにも素晴らしい人間だからこそ、
人は忘れてしまいがちだが、彼は神ではない。
乃木希典という男が、軍神ではなく、
あくまで **「意志ある人間」** として戦ったことを、
私はこの紙面に記す。
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「……おい、これは……」
新聞を読み終えた編集部の者が、思わず声を上げる。
「雲耀が……政府を擁護した?」
「いや、擁護というより……これは、ただの戦場の記録だ」
これは、政府を肯定する記事でもなければ、
政府を批判する記事でもなかった。
**これは「記録」だった。**
戦場にいた者だけが、知ることができる真実。
戦場にいた者だけが、語ることができる戦争の本質。
この言葉は、誰かを弁護するためではなく、
**ただ、時代を斬る雷光として記されたものだった。**
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「……君の雷光は、確かに轟いたようだな」
その新聞を手に取りながら、福地桜痴は静かに言った。
政府寄りの新聞を率いる彼は、かつて「雲耀」の言葉を危険視し、
新聞紙上で論戦を仕掛けた男だった。
だが、今日だけは、沈黙していた。
「で、お前はこれをどう評する?」
桐野が訊ねると、福地は微かに笑った。
「私の新聞がどう書くかは、明日を待てば分かるさ」
「……政府を擁護するか?」
「さあな。だが、一つだけ言えることがある」
福地は、指先で新聞を軽く弾いた。
「君の言葉は確かに雷だった」
「……」
「だが、雷は一瞬の光だ」
福地はそう言いながら、煙草に火をつけた。
「一瞬の雷光が、歴史に何を残すか……それはまだ分からない」
桐野は、煙草の煙がゆらゆらと立ち昇るのを眺めながら、
「そうか」とだけ呟いた。
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その夜、乃木が桐野を訪ねた。
「右手を失っても雷を落とせると、お前は証明したな」
そう言いながら、乃木は新聞を掲げた。
「お前の雷が、確かに時代を斬った」
「……ふん、そんな大層なもんじゃねぇよ」
桐野は、苦笑しながら義手を動かす。
まだ完全に馴染んではいないが、筆を握るには十分だった。
「だがな……雷ってのは、所詮、一瞬の閃光だ」
「それが歴史に残るかどうかは分からねぇ」
乃木は静かに頷いた。
「ならば、お前はどうする?」
「決まってるだろ」
桐野は、義手でペンを握った。
「雷が消えるまで、落とし続けるさ」
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翌朝、新聞が町中に広がった。
それを手に取る人々の顔には、驚きと、何かを考える表情が浮かんでいた。
戦争とは何か。
戦場で何が起こっているのか。
それを、新聞の言葉が突きつけていた。
桐野利秋という名は、歴史の中に消えた男だった。
だが——
**「雲耀」という名は、雷光のごとく時代を裂き、そして歴史に刻まれた。**
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