### **第五章 雷鳴の前触れ(修正後)**
乃木さんキタ━━━━(゜∀゜)━━━━!!
個人的には好き。
ノーブルというか育ちの良さそうで頭も良さそうな雰囲気がいい。
松陰先生の縁者だからなのか時々似たような暴走する人なんですがね……。
なぜ修正版かというと、掛け合いが一部気にくわなかったので私の文章を下書きにして掛け合いに修正入れてもらったからです。削ってもいいけどそのまま乗せときます~。
福地桜痴の言葉が、心に棘のように残っていた。
**雷は、時に己をも焼き尽くす。**
そんなことは分かっていた。
政府に批判的な記事を書き続ければ、いずれ狙われる。
この国はまだ、言葉だけで戦えるほど成熟した場所ではない。
それでも——それでも、筆を止める気にはなれなかった。
剣を捨てたはずの男が、
いつの間にか筆という武器を手にしていた。
**そして、筆は剣よりも深く、人を斬るのかもしれない。**
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「雲耀、そろそろ引いた方がいいんじゃないか?」
そう言ったのは、福沢諭吉だった。
彼の言葉は穏やかだったが、その表情には微かな憂いが滲んでいた。
「最近の政府の動きがきな臭い。言論を弾圧しようとする動きが強まっている」
「……俺に黙れってことですか?」
「いや、ただ——君がどういう生き方を選ぶのか、それを見定めたいだけだ」
桐野は、それ以上何も言わなかった。
福沢は彼を止めはしなかったが、警告は確かに伝えられた。
**「言葉は雷だ。鳴らすなら、その覚悟を持て」**
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そして、もう一人。
再び、あの男が現れた。
**乃木希典。**
「貴方に頼みがあります」
彼は、桐野の目をまっすぐに見つめて言った。
桐野は笑った。
久しぶりに会う乃木は、相変わらず穏やかだった。
「また子守でも頼みに来たのか?」
「いえ、今度はもっと骨の折れる仕事です」
「ほう……で、何だ?」
乃木は一度、ふっと息をついた。
何かを言うか迷うような、そんな間だった。
「政府に追われる身となった今、貴方のことを案じています」
桐野の表情が、わずかに硬くなる。
「俺が、政府に追われている?」
「ご存じないわけではないでしょう」
乃木は静かに続けた。
「自分も政府側の人間として、桐野さん……いや、谷さんの方が正しいことは痛いほど分かっています。ですが……政府が決して綺麗なばかりではない事も同時に……」
桐野は、鼻で笑った。
「御託は良いから本題を言え。長州の奴らは前置きが長くていけねぇ」
乃木はわずかに微笑み、静かに頷いた。
「薩摩の流儀『議を言うな』ですか……ではお言葉に甘えて」
そう前置きした後、乃木は言った。
「従軍記者になりませんか?」
桐野は目を細めた。
「戦場に行けってのか?」
「ええ」
「断ったら?」
「受けてくれないなら……貴方のことを政府に密告しますよ」
乃木は、柔らかい微笑みを浮かべながら言った。
その口調はまるで、世間話でもするかのようだった。
「……冗談じゃねぇぞ」
「冗談に聞こえますか?」
その目には、冗談のかけらもなかった。
**乃木は、優雅に微笑みながら、静かに刃を突きつけてきた。**
桐野は、一瞬、言葉を失った。
乃木希典は、そんな男だったか?
少なくとも、西南戦争の頃の彼は、こんなふうに脅しをかけるような男ではなかったはずだ。
だが、乃木は変わっていた。
「お前、随分と剣呑な奴になったな」
「いえ、ただ学びました。時には、雷のような決断が必要だと」
「雷ねぇ……」
桐野はため息をつき、「仕方ねぇな」と頭を掻いた。
「俺に選択肢はねぇってわけか」
「ええ、最初からございません」
こうして、桐野は従軍記者として戦場へ向かうことになった。
それが、彼にとって「最後の戦場」になるとも知らずに。