表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

武士の高楊枝

作者: 川端柳

 江戸幕府二百六十余年の歴史の中で取り潰された諸藩はおよそ五百。つまりそれだけの数、侍の仕事先、仕官先がなくなったということである。

 武士が皆、剣で食べていける訳ではない。また同様に、誰もが仕官できる訳でもない。天下太平の世になったことによって武士が剣の腕一つで成り上がるようなこともない。

 生活が困窮し、盗みなどの罪に手を染める武士も少なくない。それでも大抵の浪人たちは仕事先を求め江戸や大坂などの大きな都市で町人に交じり仕事を求める。

 早々に武士の身分に見切りをつけ、刀を捨てるものも存在した。下手に武士の身分で居続けるより、商人にでもなってしまった方が幾分裕福な暮らしができる。

 武士が偉ぶれるなど、一部の者だけだ。浪人の刀のそのほとんどが飾り物と化していた。


 江戸の片隅にある貧乏長屋で暮らす高橋堅吾もまた、刀を捨てられぬまま飾り物としてしまっている一人である。

 祖父の代で仕えていた大名家がお取り潰しとなり、以降浪人として日々を何とか凌ぐような暮らしをしていた。堅吾自身武士らしい暮らしなどしたことはない。矜持だけ武士であり続けているだけである。

 いつの日かどこかのお家に仕官し、高橋家を再興せねばならない。

 今は亡き両親が何度も口にし、堅吾に言い聞かせていた言葉だ。両親には孫の姿どころか嫁の姿さえ見せることのできなかった彼にとって、今できる最大限の親孝行だと彼は考えていた。

 さりとて先立つものがない。要するに金である。

 仕官しようにも身綺麗にしておかなければならず、仕官できるその日まで食いつながなければならない。

 仕官の夢を捨てきれぬ堅吾に残された稼ぐ手段は限られる。

 剣の腕が立てば、道場の一つでも開いて門下生を募り、指南料を受け取ることもできただろう。あるいはどこかの大店に用心棒として雇われ、日銭を稼ぐこともできたかもしれない。

 だが、堅吾は剣の腕はこの時代の武士らしく、からきしである。道場に通う金もないのだから当然だろう。そんな堅吾に残された手段は、内職だけだった。

 武士の内職にも色々あるが、その中で堅吾は竹細工を作っている。細工と言っても大したものを作っているわけではない。一般的な楊枝から、歯を磨くための房楊枝、長さのある高楊枝。他にも竹串や簡単に組んだだけの虫籠。特別な修行を必要としない物ばかりだ。

 薄暗く隙間風が横切る一間の長屋で、日の登っている間は作業をしている。

 太陽と共に起き、太陽と共に眠る。健全な生活に聞こえるが、要するに夜明かりを灯す行燈の油すら節約しているということだ。

 いつの日か仕官する為という言葉も、彼の中では薄らいできつつある。

 今日を生きる為。彼は一人せっせと内職に励んでいるのだ。


 それはそれとして、武士の性分というのは本当に面倒なものである。武士という身分にあるという矜持ほど貧乏人に厄介な物は無い。

 武士である身の上が惨めに見られるようなことがあってはならない。腰にある刀がありながら町人に鼻で笑われるようなことがあってはならない。

 端的に言えば見栄っ張りなのだ。

 矜持を捨てられればどれほど生きやすいことだろう。よれよれつぎはぎ、元の色など分からなくなった着流しを着て、帯代わりに縄を腰に巻き、月代を最後に剃ったのがいつか分からなくなるほどぼさぼさの頭で、腰に差す刀などない。そうなれば、どれだけの金が浮くことか。

 分かっていながらも、堅吾にはそれができないでいた。

 往来を歩くときは小奇麗な着物に洒落た帯。髪はきちんと結いあげ、中身のある刀を差す。口には高楊枝。粋な若侍を気取っているのだ。

 貧乏長屋でその日暮らしをしている筈の彼がそうしてこんな格好ができるのか。勿論これらにはきちんと絡繰りがある。

 着流しも帯も一張羅。余所行きの手持ちはこの一組で、長屋での服装は両親のお古である。住まいでは女物の丈の短い着物だとえり好みもできずにいるのだ。髪も月代や髷に手間を掛けていられないので、月代など関係なく後ろで一つに結い上げている。刀に関しては先祖代々の品というだけの話だ。口に咥えている高楊枝などは自作である。

 そうまでして見栄を張り続ける生活はさぞ息苦しいものだろう。

 武士は食わねど高楊枝。浪々の身であろうとも武士はかくあるべし。

 彼にとってその考え方は当たり前のことでしかない。そう、親に叩き込まれたのだ。

 食い詰めていると周囲に悟らせてはならない。


 そうして生きてきた堅吾の腹が人前で大きな音を鳴らしてしまったのは、もう三日も水だけで腹の虫を誤魔化していた日のことだった。

 普段素直に堅吾の意を酌んで一人長屋にいる時だけ鳴いていた筈の腹の虫が、この日に限って声を上げたのだ。

 原因は堅吾にも分かっている。目の前を通り過ぎて行った食事の香りだ。

 上野で楊枝を商っている(すまし)屋に堅吾が訪れたのは丁度九つを告げる鐘の音が近くの寺から聞こえてきた頃合いで、店の奥からは昼飯の支度をする音と香りが表にまで流れていた。

 漂う誘惑を振り払い、堅吾はいつも楊枝を買い取ってもらおうと店の者に声を掛ける。商品の並ぶ表から中へ通され、出迎えたのは澄屋主人の娘だった。

 さして大きな店でもない澄屋は主人家族と数人の奉公人で店を回している。それでも普段は奉公人の誰かが対応していた筈だが、この日は珍しく主人家族の娘だった。

 いつものように持参した楊枝らを検めてもらい、金を受け取る。それだけで済むはずだったが、刻限は昼飯時。支度の終わった食事が廊下を通っていくのが見え、美味しそうな香りは部屋の中にまで侵入してくる。

 真剣な顔をしている年頃の娘の前で、堅吾の腹は誘惑に負けた。その香りに釣られ、腹の虫がその香りの元を求めて騒いだのだ。

 あまりの大きな音に正面にいた娘は顔を上げた。将軍様御拝謁の距離ではないのだからその音が聞こえなかった訳がない。

 堅吾はひどく赤面した。

 腹の音を誰かに聞かれたこともそうだが、よりにもよって年頃の町娘に聞かれたのだ。今すぐにでもその場から逃げ出したくて仕方がない衝動に駆られていた。とはいえ本当に飛び出す訳にもいかず、その場に俯くことしかできない。顔だけでなく耳まで熱を帯びているのが手で触れなくても分かる。

 黙したまま畳を見つめていると、正面からくすくすと笑う声が聞こえてきた。

 ちらりと目だけ動かすと、娘が袖で口元を覆い忍び笑いをしている。堅吾の顔にさらに熱が集まる。

「も、申し訳ございません」

 娘は謝罪の言葉を口にするが、笑いを忍ぶことも堪えることもできていない。

 彼女の態度に怒りを口にし、手を上げそうになる。しかし目の前にいるのは店の主人の娘だ。下手なことをすれば楊枝の買い取りがなくなるかもしれない。そうなれば生活が一層ままならなくなる。

 唇を噛み、怒りに震える手を何とか膝の上に留まらせる。武士の矜持を傷つけられることがどれほどの屈辱か、町人の彼女には微塵も伝わってないだろう。

 堅吾が必死に感情を堪えていると、ひとしきり笑って満足したのか娘は突然立ち上がり、少々お待ちください、と言い残して部屋を出て行った。

 他の誰かに話して笑いものにでもするつもりなのか。わざわざ待たせてまですることなのか。

 そう思いながらも、部屋で大人しく彼女が戻ってくるのを待った。腹の虫は少し大人しくなったのか、誰もいない部屋の中で小さく鳴いていた。小さく鳴くことができるのなら娘のいる時にして欲しかった、と腹を摩る。

 暫くしてぱたぱたと軽快な足音と共に戻ってきた娘の手には膳があった。

「このような刻限ですので、よろしければ」

 そう言って彼女は堅吾の前に膳を置いた。湯気の登る暖かな食事が目の前に並ぶのなど何日振りのことだろう。腹の虫が再び大きな声で空腹を伝えようと蠢くのが分かる。

 さぞ美味しいのだろう。

 喉が音を立てて唾液を飲み込む。

 だが堅吾は膳を彼女へ突き返した。腹の虫より先に武士の矜持が顔を出したのだ。

「哀れみからの施しを受けるつもりはない」

 頑として受け取らぬことを示すように腕を組む。鳴きそうになる腹の虫は腕で押さえつけることで何とか阻止する。

 意固地に顔を背ける堅吾に娘はそっと膳を押し戻す。

「誤解なさらないでくださいませ。哀れみのつもりなどございません。今は丁度昼時ですので、常日頃良い品を納めてくださいます方へせめてものお礼をとお持ちしただけにございます。お納めいただきました品をすべて検めさせていただくには今少しお待ちいただくこととなりますし、その間に召し上がっていただくようにと主久兵衛(きゅうべい)も申しておりました」

 先程まで肩を震わせ笑いを堪えていた娘とは思えない物言いである。腹をすかせた食い詰め浪人の為にわざわざそこまで言い訳を用意してくるとは、流石に堅吾も驚いた。

 おそらく同情を過分に含んだ善意だろう。そんなことは分かっている。それでも、言い訳まで添えた膳を断る理由はもうない。何より空腹は腹だけでなく頭までしっかりと支配していた。

「そこまで言うなら致し方ない。待つ間、頂戴するとしよう」

「どうぞ、召し上がってくださいませ」

 彼女の言葉の終わりを聞く前に堅吾は米をかきこんだ。

 白飯にありつくなどいつ振りのことだろうか、思い出すことも叶わない。出汁のよくかおる味噌汁、油のしみ出す焼き魚、醤油と絡まった葉物の程よい苦み、塩味の効いた漬物。

 豪勢でもない、ありふれた食事。

 三日振りのまともな飯をまともに味わえたかどうかは分からない。それでも美味だと賞賛に値する食事だと思った。

 食事をかきこむ姿は乞食のようで、武士としては見せられたものではなかっただろう。しかし娘は何も言わず米と味噌汁のおかわりを用意し、納めた楊枝の確認をこれでもかと丹念に時間を掛けて行ってくれた。

「馳走になった」

 そう言って堅吾が箸をおいたのは、汁椀三杯と茶碗五杯を完食した後だった。娘は満足げににこにこと笑っている。

「お口に合いましたようで、何よりでございました。この度お納めいただきました楊枝の方も検めさせていただいております。お代の方も既にお持ちいたしております。またよろしくお願いいたします」

 差し出された盆には銭の入った小さな袋が乗っている。楊枝など数作っても大した金にはならない。それでもその辺に生えた竹から元手いらずで作ったものを買い取ってもらえるのだ。二束三文でも金になるだけありがたいものである。

 堅吾は小さなその包みを懐に入れると早々に部屋を出ていこうとするが、敷居を跨ぐ前に思いとどまった。そのまま踵を返し、襖を後ろ手で閉める。

 部屋の中には娘と二人きり。

 突然の彼の行動に娘は身を固くするが、堅吾がその場に正座したことで少しだけ警戒が緩む。出入りできる戸は彼の後ろの襖だけではない。危うくなれば逃げればいい。

 居住まいを正した堅吾は咳ばらいを一つすると、言いにくそうに口ごもりながらも娘をまっすぐに見つめた。

「その、なんだ。他の者には、黙っておいてくれないだろうか」

「何のことでございましょうか」

「えっと、あれだ。その、あの、先程のことだ」

「食事のことでしたらお気になさらずとも。先程申し上げました通り久兵衛の言い出しましたことですので」

「それもだが、そうではない。その前の、その」

 娘は首を傾げる。堅吾の言い淀んでいることが一体何なのか分かっていないのだ。彼女には彼が隠したがっている事柄の重みが理解できないのだから。

 暫くまごまごとしていた堅吾だが、意を決し顔を上げた。

「先程俺が、腹を鳴らしていたことだ!」

 堅吾の顔は赤い。

 大人が人前で腹を鳴らすのは恥ずかしいことかもしれないが、頭を下げてまで隠したい恥なのだろうか。

 いまいち腑に落ちていない娘は曖昧に諾の返事をすることしかできない。

「本当に、本当だろうな」

「勿論、どなたにも申し上げるつもりはございません」

「ならば良い。そのままどうか忘れてくれれば尚良いところなのだが」

「左様でございますか」

 硬い面持ちで念を押してく彼の様子に娘は少し面倒に思えてきていたが、武士相手にそんなことを思っているなどおくびにも出せない。ただ心のどこかで、こんなことを気にしていては大変だろうな、と思った。

 一方堅吾は彼女の返事に満足したのか、安堵の息を吐く。

 これで世間的な体面は保たれた。彼女とこれまで顔を合わせた数など数えるほどしかない。暫くこちらの顔を見なければ彼女の中で今回のことは消えていくことだろう。そう胸を落ち着かせる。

「長居を致した。これにて御免」

 堅吾はそう言い残すと、そそくさと部屋を出て行く。

 部屋には米の一粒も残っていない膳と、店の表まで見送ることを忘れた娘が残された。


 楊枝澄屋の娘、お竹は堅吾との一連の出来事があれから頭から離れず、もやもやと気持ちを抱えたまま日々を過ごしていた。

 武士という存在と会話するのはこれが初めてという訳ではない。買い物に来る武士相手に世間話など交わしたこともある。

 そもそも堅吾ともはじめましての相手ではない。あまり言葉数は多くなかったが、問いかければ答えてくれるし、挨拶を向こうからしてくれることもあった。悪い印象も無かったが、良い印象が強く残っていた訳でもない。要するに良く分からない人だった。

 それがあの一件でひっくり返った。

 大の大人が、しかも武士が、あんなに慌てるところなどお竹は初めて目撃した。腹の音一つで町人に頭を下げてくるなど思いもしなかった。最後は澄ました顔で部屋を出て行ったが、耳まで真っ赤になっていたことをお竹は目撃している。

 なにより、豪快な食べっぷりから相当空腹だったのだろうことが窺えた。

 何故あそこまでお腹を空かせていたのかも勿論気にはなっているが、それよりもただ純粋に彼ともう一度話がしてみたいと思ったのだ。彼のことをもっと知りたい、と。

 故に、数日後お店を訪れてきた堅吾を目端に捕らえた時、お竹はわざわざ廊下を引き返してきた。

 堅吾はというと、お竹がわざわざ顔を見せてきたことで、彼女があの日の出来事を忘れてくれてはいなかったことを瞬時に悟った。

 わざわざ引き返さなくても、顔を見せなくても、と口には出せなくとも心中で嘆いてしまう。そして、速やかに立ち去ってくれ、と心の底から願った。

 だが、現実はそう甘くはない。

 お竹は、先日はどうも、とわざわざ挨拶をしてきたのだ。それに加え、対応してくれていた奉公人が彼女に場を任せ、金を出しに席を外してしまった。

 残されたのは、お竹と堅吾の二人。

 最後とどめを刺すように、二人きりになった途端、堅吾の腹の虫が盛大な声を上げた。

 二人はぽかんと顔を見合わせたまま動かない。

 暫くして状況を理解した堅吾が顔を赤く染める。

「ち、違っ」

 上手く言葉が出てこない。何とかして誤魔化したいのに、取り繕うことができない。あたふたとしていると、少々お待ちください、とだけ言い残し、お竹はその場を離れていった。

 一度ならず二度までも、彼の腹は彼女の前では彼自身の意思より食欲を優先してしまうらしい。それとも前回彼女が施しを与えってくれたことが彼の腹にそう思わせてしまっているのか。

 何にせよ彼の腹は言うことを聞かず、再び醜態を晒すこととなった。

 前回のこともある。彼女はまた笑いそうになって慌てて逃げたのだろうと堅吾は思った。

 彼の予想は殆ど外れてはいなかった。部屋から少し離れたところでお竹は柱に凭れ声を殺して笑っていた。

 澄ました顔をしていた男が一変、慌てふためく様は思わず笑わずにはいられなかった。その場で笑いだしてしまいそうになったが、良く堪えたものだと自らを褒めてあげたいところである。

 笑いそうになったのは何も彼を馬鹿にしてのことではない。普段の堅吾の様子との差異に一種のいとおしさを感じてしまってのことだった。可愛い、と侍を捕まえて言うような文言ではないと分かっていても、その言葉が彼女の中で当て嵌まってしまう。

 緩みそうになる口元を袖で隠し、お竹は台所へと向かった。

 台所では昼餉の支度に追われているところだった。女中たちが右に左に忙しなくしている。

 彼女が堅吾を置いて部屋を離れたのにはもう一つ、ここへの用向きがあったからだ。

「ごめんなさい。少しいいかしら」

「これはお嬢様、いかがなされましたか?」

「端で良いのだけれど、少し使わせてもらえないかしら」

「それはまた。どうなさったのですか?」

「少し、ね。おにぎりでも作らせてもらえないかと思って。炊いたお米も、少しだけ使わせてもらえる?」

「ええ。端とは言わず、真ん中でなさってください」

「丁度炊けたところですので、少しくらいはかまいませんよ」

「ありがとう。手間を掛けるわね」

 女中たちに炊き立てのご飯を用意してもらい、場所まで開けてもらう。お竹は襷掛けをして袖を捲る。

「しかしお嬢様、昼餉を前におにぎりなど拵えてどうなさるのですか? 昼餉には少し早いですが、そんなにもお腹が空いているようでしたら支度を急ぎますが」

「いえ、違うの。これは私が食べる為ではないの」

「では、どなたが」

「それは、相手の方の名誉のために言えないわ」

「そう、ですか」

「竹の皮ってまだあるかしら」

「ございます。ご用意しておきますか?」

「そうね、お願いするわ」

 手をすすいだお竹はしっかり水のついたままの手に塩を乗せ、擦り広げる。掌全体に塩がついている状態にし、お櫃に入れてもらったまだ湯気立ち上るご飯を杓文字で掬って乗せた。熱っ、と声を漏らしながらも、掌の中でご飯を握る。

 一方向から押し付けただけのおにぎりは指の跡が残り、皿に乗せれば端の尖ったところがぼろぼろと崩れた。三角というには歪である。おにぎりの下には米の隙間から溢れた水が縁取るように広がっていた。

「あれ、こんな形ではなかったかしら」

「お嬢様、回しながら握らないと」

「回しながら?」

 お竹は女中の助言に首を傾げながら、皿の上のおにぎりを手の中に戻し、回しながら握りこんでいく。

 何とか形になったおにぎりは、最初皿に乗ったものより一回り小さくなっていた。形も三角というより丸に近い。

「こう、だったかしら?」

 おにぎりの出来栄えに首を傾げながらもお竹は二つ目を作りにかかる。

 お竹はこれまで生きてきた中で台所に立ったことはほとんどない。時折どんな風にしているのか気になって覗いたことはあっても、料理をする為になんてしたことはなかった。料理は物心がついた時から女中のする仕事だったのだ。

 見たことはあっても、したことはない。刃物も火も使わず、皆簡単そうに作っていたおにぎり。見様見真似でもできると思っていた。

 初めて作ったおにぎりは水っぽく、歪。それでも初めてにしては上出来じゃないかとお竹は一人納得した。

 漬物も添えてそれを竹の葉で包み、持ち運びできるようにする。

「忙しい時に邪魔したわね」

 そう言い残し、お竹は台所を出て行った。

 おにぎりを手に先程の部屋へ歩いていると、その前に堅吾の姿を捉える。もう帰るところらしい。

「お待ちください」

 慌てて声を掛け、裸足のまま外に降りる。彼女の声に気付いた堅吾は足を止めて振り返った。

「まだ何か御用でも」

「その、これを」

「これは」

 目の前に差し出された包みに堅吾は胡乱なものを見るような目を向ける。

「よろしければどうぞお召し上がりください」

「施しを受けるつもりはないと以前にも申し上げた筈ですが」

「では、味見をしていただけますか」

「味見、ですか」

「はい。恥ずかしながら台所のことはしたことが無く、初めて作ったのです。いずれ嫁ぐことになる女の身で賄いの一つもできないのは恥ずかしい、と以前より母にも言われておりましたこともございます。ここへ来られた際、お付き合いいただけませんでしょうか。家の者は女中が作った食事もありますので、私のせいで食べられないということになってはどちらにも悪いですし」

「つまり、余りものを体よく押し付ける、と」

「お侍様にこのようなこと、よくよく考えれば無礼なことでしたよね。申し訳ございません」

 言ってみれば残飯処理だ。本来身分が上の武士に対して頼むことではない。それでもそんな提案をしてきたのは、施しを断った堅吾にそれでも何かしら食事をさせようと別の理由を考えた故のことだろう。

 この娘の同情はいつまで続くのか。彼女の中で憐れな者だといつ思われなくなるだろう。

 別に誰かに味見してもらう必要などない、十分に上手いとでも言えばこの言い訳もすぐに使えなくなるだろうか。

 そう思い、おにぎりを受け取る。包みの中から取り出すと指に糊のような粘り気を感じ、嫌な予感がする。口に入れても簡単に米は解けず、随分強く握ったのだな、とぼんやり思う。舌の上におにぎりの一部が乗り、噛んでいた口が止まる。

 眉間に皺を寄せ、手の中のおにぎりをそっと竹の皮の上に戻した。

 口の中の物を飲み込み、ため息を吐く。

「お主、自身で味見はしたか?」

「いえ」

 堅吾の問いにお竹は純粋な目で否定する。悪気もなく、そもそも彼女の中にその選択が無かったのだろう。

「よくそれで人に食わせようなどと思ったな」

 ため息交じりにそう呟き、お竹の目の前におにぎりを突き出した。

「手を付けてない方を食ってみろ」

 そう言われ、お竹はおにぎりを手に取りほおばる。味を舌で感じた瞬間動きが止まり、おにぎりを竹の皮に戻す。口元を抑え、何も言わずそのままお竹は外から台所の方へ駆けて行った。

 残された堅吾は先程自身が口をつけたおにぎりをもう一口齧る。しっかり握られた米の塊は、齧ると表現して障りがないほどに硬い。硬いのにその周りは水を多く含み、何度も握られすぎたせいか少し糊のようになっている。

「しょっぺぇ」

 その上、普通のおにぎりより明らかに塩が多い。

 初めて調理場に立ったというのは本当のようだ。正直言って美味しくはない。塩の塊のようでもそれは表面だけで中は米だけなので辛うじて食べられる状態だ。

 しかし食べ物に罪はない。勿体無い。ここ数日何も食べていない身からすれば口にできるだけありがたい。

 顔を顰めながら食べ続けていると、お竹が湯呑を手に戻ってきた。

「そんな、無理なさらず」

「それは水か?」

「はい」

「いただいても?」

「どうぞ」

 お竹から湯呑を受けとると、一気に飲み干す。強い塩味を味の感じない胃へ流し込む。

 湯呑一杯分では全てを洗い流すには足りなかったが、幾分か口の中は落ち着いた。

「申し訳ございません。このようなものをお出ししてしまい」

「確かにこれは、味見役が必要だな」

「あの、先程のお話ですがやはり無かったことに」

「しても良いが。他の者に出せそうか、これ」

 お竹は言葉を詰まらせる。己で思っていた以上に自分の初めての手料理は酷いものだった。ただの塩おにぎりでこの有様なのだから、他の料理を試したらどうなってしまうのか。

 肩を落とすお竹に、おにぎりの包みを懐へ入れながら堅吾は声を掛けた。

「また、食べてやってもいい。他の者に食べさせるにしては、その者が不憫すぎる」

「ですが」

「一度誰かに教わった方が良いだろうな。塩も多ければ水も多い。それから力を込めて握りすぎだ」

「はい」

「だがまあ、大きさは丁度良かった。次はもう少し美味いことを期待する」

 堅吾は落ち込む彼女の肩を軽く叩くと、ひらひらと肩越しに手を振りながら帰っていった。

 おにぎりの出来栄えもさることながら、彼女の落ち込み様は酷いものだった。見ている方が悲しくなるほどに。

 そのせいで、彼女の手料理の味見役を断りそこなった。店に行けばまた彼女の料理を食べることになる。

 これは果たしてどちらの為の行為なのだろう。堅吾がまた腹を空かせてひもじい思いをしないためか。お竹が料理の腕を上げる為か。

 少し考えて、止めた。考えすぎても良いことは無い。

 今は料理下手な娘の為に味見役に徹しよう。


 こうして、澄屋へ楊枝を納めに行く度お竹が食事を用意してくれるようになった。

 彼女は経験が無かっただけで、壊滅的に料理に向かないというようなことはなかったらしい。ただ、人に出す前に味見をするということだけは良く忘れる。

 初めて作ったと出てくる料理は大抵極端に味が濃いか薄いか。見た目も良くないことが多い。それでも数日間を置くと、その間に練習したのかそれなりの物が出てくる。

 ただ練習をするのではなく、誰かに料理を食べさせるという目的が彼女には必要だっただけなのかもしれない。

 一月もすればただ普通にご馳走になっているだけになっていた。

 そうなっても断らずに続いているのは、堅吾が食事をしている間、二人で色々とおしゃべりするのがお約束になっていたからかもしれない。

 最近きた客の話。若い娘の合いで何が流行っているもの。最近小屋で掛かっている芝居の感想。

 長屋の住人の失敗談。世間で流れている噂。薄っぺらな武勇伝。

 好みのおにぎりの具。酒の話。好きな料理。苦手な食べ物。今まで食べた中で美味しかったもの。ふるまわれた料理の感想。

 一月が過ぎ、半月が過ぎ、一年を過ぎても、ある程度料理が上手くなったから、とこの時間を終わらせないまま続けている。堅吾にとってもお竹にとっても、堅吾が食べ終わるまでの会話はいつしかかけがえのない時間になっていた。

 どちらも終わらせるつもりもない。

 それでもご馳走されている身である堅吾にしてみれば、申し訳なさが楽しさと同時に胸に去来する。食事の名目が無くても話をすることはできるのだから。

 故に、いつも食事を用意してくれなくても構わない、と何度も伝えていた。

 その度にお竹はその申し入れを拒絶する。

 曰く、食べることは生きることだから、と。

「食べ物を口にしないと、本当に動けなくなるそうです。体を動かす気力が湧かなくなるとか。生きていても死んだように生きるのでは意味がありません。食べられるときにしっかり食べてください」

 彼女自身が食い詰めた過去がある訳ではない。一代でお店を築いた彼女の父親がそんなことを言っていたそうだ。

 その言葉を借り、彼女は堅吾に食事を出すことを止めなかった。

 お竹の前で何度もお腹を鳴らしていた彼もそこまで言われてしまえば言い返せない。久兵衛の言うことに共感できてしまうから猶更である。

「久兵衛殿は大層ご苦労を重ねられたのだな」

「みたいです」

「相変わらず他人事のように言うのだな、お竹は」

「堅吾様は父を褒めすぎでは」

「褒めるに値するからな」

「私の料理は褒めてくださらないのに」

「美味いと伝えているだろう」

 そうしていつも話は脱線し、とりとめもない話をしている間に時間が終わるのだった。

 家に帰ると何を話したのか良く覚えていないが、それでも楽しかったことは覚えている。

 お竹も、次に堅吾がお店に来る日を帰ったその時から待ち遠しく思ってしまう。

 いつまでも続く気がしていた。二人が続けたいと願っている限り終わらないと思っていた。


 始まりがあれば終わりがある。例外はない。そして大抵唐突に訪れる。

「嫁ぐことになりました」

 お竹のこの言葉が、この時間が終わることを伝えてくる。

 嫁ぎ先は隣町の小間物屋の若旦那。いつとは決まっていなかったが、結婚することは前々から決まっていたことだった。許嫁というやつだ。結納は随分前に済ませていた。お竹自身相手に不満はなく、若旦那の方も彼女を憎からず思っている。

 堅吾がお竹と深く関わり合うようになって季節は一巡りしていたが、その間彼女の縁談にまつわる話は特になかっただけに寝耳に水だった。

「それは、めでたいことだな」

 掠れそうな声で縛りだせた言葉はこれが精一杯だった。

 驚きが勝って祝福ができない。

 かつて小耳に挟んだ時には誰もが良縁だと口にしていた。口にした通りめでたい話だ。

 それなのにお竹の表情はどこか影が差している。

「どうした、浮かない顔をして」

「めでたい、と思われますか、堅吾様は」

「婚礼だ。めでたい、と誰もが言う筈だ」

「堅吾様も、そう思われますか? 本当に」

 地面を見つめたまま問うお竹の肩は小さく震えている。

 すぐにでも、そうだ、と返さなければならないのに、言葉が喉に引っ掛かりすんなりと出てきてはくれない。本心からの言葉ではないからかもしれない。

 震える体は目の前で、手を伸ばせば届くところにある。細い体は腕の中へ簡単に閉じ込めることができるだろう。他の誰にも聞かれぬよう、貝の如きかわいらしい耳元へ流し込みたい胸の内は今にも溢れそうなほどに湧き上がっている。

 辺りに人気はない。あと半歩踏み出せば、腕を肩に回せば。

 持ち上げられた右手は中空で止まり、お竹に触れることなく体の外側へだらりと落ちる。

「あぁ、思っているとも」

 これが正しい。今の己が口にするべき言葉は、これしかない。

「そう、ですよね」

「あぁ。そうだ」

「これまで私の下手な料理にお付き合いくださりありがとうございました」

 深々とお竹は頭を下げ、ゆっくりと顔を上げる。

 向けられた顔は、やわらかな笑みを浮かべていた。それが客などに見せる作られたものだということを、堅吾はもう知っている。

 少しだけうるんだ瞳は、見えないふりをした。

「高橋様のお蔭をもちまして、人様に出せるくらいにはなったかと思います。嫁ぎ先でもこれならば恥をかくことはないかと存じます。重ねてお礼申し上げます」

「いや、こちらこそ長いこと馳走になってしまった。恥ずかしいかぎりだ」

「そんなことはございません。出入りの方が飢えて死なれたとあっては笑い話にもなりません。世間様にそれこそ『武士へは高楊枝ばかりしか渡す気はないのか』と誹りを受けてしまいます」

「なんだその上手い皮肉は。そこまで言われてしまえば、いっそ清々しいものだ」

「笑い事ではございません」

「そうか?」

「そうです」

 いつしか会話は子気味良いものになり、この短い食事の時間の中で繰り広げられてきたものと同じ調子だった。

 顔を見合わせ、くすくすと笑い合い、同時にはたと気付く。

 もう『これ』は終わりだ、と。

「それでは高橋様、お達者で。あまりご無理をなさりませぬように」

「澄屋の娘さんも、達者で。若旦那と仲良く、な」

「はい。ありがとうございました」

 深々と頭を下げるお竹に堅吾はひらひらと肩越しに手を振りながらその場を辞した。


 お竹の祝言の日取りは知らない。知る気にもならない。

 彼女へ祝いの言葉を伝えてから数日、堅吾は何もやる気にはならなかった。薄暗い貧乏長屋でぼんやりと一日が過ぎていくのを見るばかり。

 頭の中はお竹のことでいっぱいだった。

 もし、などあり得ないが、もしあの時何か伝えていたら変わったのか。伝えた思いに彼女は何と返しただろ言うか。

 考えては打ち消すばかり。伝えたところで、今の堅吾には何もない。

 どこかへ仕官している訳でも、良家へ養子に入る予定もない。武士として身を立てられる目途も立っていない。そもそも武士の身分へ町人が嫁ぐことは簡単ではない。一度どこかの武家に養子へ入ってもらうにしても、それを頼むだけの金もなければ人脈もない。

 身分を捨て、跡取り息子のいるあのお店へ婿入りもできない。明日の銭に困るような身で来て欲しいと言える訳がない。商いのいろはも修めていないのに今更店を持つこともできない。そもそも先立つものが無い。

 何もない身の上で、何が言えたというのか。

 もっと早く武士の身分を捨て、商いで身を立てていればよかったのか。そうすれば町人同士という形で、彼女を迎えることができたのか。

 これまで生きてきて、堅吾は初めて浪人という立場を心底恨んだ。己の生き方を初めて悔いた。幼い頃より両親に刷り込まれた武士の性分を無用のものだと本気で思った。

 碌に動かないまま昼と夜を繰り返し、腹の虫も声を上げることをいつしか諦めたらしい。空腹も通り過ぎれば何と言うこともない。

 このままここで枯木のように朽ちていこうか。眠気を感じないながらも夢の中へと逃走を図る。

 瞼に覆われた暗闇の中、腹の虫が最後の力を使い、小さな声で空腹を伝えてきた。

「食べることは生きることです。生きていても死んだように生きるのでは意味がありません」

 お竹がかつてそう言っていたことが甦る。

 彼女は最後、お達者で、と言っていた。

 ここで朽ちていては、彼女の思いに背くことになる。

 手を伸ばさないと、手に入れないと決めたのは己だ。他者の許嫁を奪うような真似をしないと決めたのだ。武士の身分であり続けると決めたのだから、武士らしく二言はないところを見せようではないか。

 そう決意を固めたは良いが、まずは腹を満たさねば何もできない。

 住まいの中に食べられるものはが無いため、数日振りに外へ出た。勿論身だしなみは整えて。

 大晦日の掛け取りの影が頭の片隅にちらついたが、見ないふりをする。まずは食べなければ。


 心を立て直した堅吾が澄屋を訪ねられたのは、最後に来た日から半月も経ってのことだった。

 お店の中にお竹の姿はない。堅吾が店に顔を出さなくなっている間に祝言を済まし、嫁いで行ってしまったそうだ。

 いつものように奉公人に作ってきた楊枝を納め、金を受け取る。

 用が済んだのだからそのまま帰るところを、気付けばお店の陰に立っていた。

 いつもお竹と逢瀬を重ねていた場所。食事を施されていた場所ともいえる。野良犬か野良猫のようにまた餌が貰えると思って足が向いてしまったのか。

 この一年ほどの間にすっかり餌付けされてしまっていたらしい。

「馬鹿らしい」

 未練たらしい様子を自嘲し、その場を後にしようとする。

 そのとき後ろから、高橋様、と声を掛けられた。

 振り返れば澄屋の跡取り息子、お竹の弟の平太郎が駆け寄ってくるところだった。

「何用か」

「実は、嫁ぐ前に姉から頼まれていたことがございまして。こちらを」

 そう言って差し出されたのは、竹の皮に包まれたおにぎりと漬物。きれいな形をしているところを見るに、台所に立ち慣れていないであろう平太郎が拵えたものではないだろう。おそらく女中にでも作らせたか。

「高橋様が来られた際お渡しするように、と」

「お気遣い痛み入るが、施しを受けるつもりはないのだ。お主の姉君の料理を頂戴していたことは否定せんが、あれは練習台になっていただけで」

「存じております。高橋様はいらないと仰られるが何としても渡すように、とも言われておりますので、どうかお受け取りください」

 平太郎は何としても受け取らせようと堅吾の胸へ包みを押し付けてくる。押しが強い所は姉弟そっくりらしい。

「だが」

「食べることは生きることだと、主人久兵衛も日頃より申しております。なにより、久兵衛もこのことは了承しておりますことですので、どうか」

「お前たちはそれが口癖なのだな」

 お竹と同じ言葉を口にされ、堅吾は苦笑する。彼らの中にその言葉が染みついているのが分かる。

 またこの言葉に生かされたらしい。

「久兵衛殿承知のことなれば有難く頂戴しよう」

 堅吾は包みを受け取り、深々と頭を下げる。刀を差している相手に頭を下げられることの少ない平太郎は恐れ多いと委縮し、用は済んだとばかりに店の中へそそくさと逃げて行った。

 あとに残されたのは堅吾とおにぎりの包み。早速一口食べれば、中から出てきたのはアサリの佃煮。

 以前、お竹に好きなおにぎりの具はこれだと言ったことがあった。そのとき彼女は何も入っていない塩おにぎりが好きだと笑っていたと思う。

 彼女は堅吾の好みを忘れず、その上平太郎へ伝えていたらしい。

「しょっぺぇなぁ」

 堅吾の口から零れ出た声は震えていた。

お読みいただきありがとうございます。


先程書き終わり、応募期限に滑り込みアウトしてしまいました。

今から校正に入ろうと思います。落ち着いたら改めて粗筋と後書を書こうと思います。



10/27 追記

改めて、お読みいただきありがとうございました。

先程推敲が終わりました。誤字は無いと思いますが、もし有りましたらご連絡ください。


短編の公式企画を見てからずっと参加を考え、プロットも一ヵ月前にはできていたというのに、書き上げが期限を過ぎてしまうという。何たる失態。

公式企画のページを何度も確認してみましたが、この作品は『不参加』扱いになっているようです。残念。


書き上がったのが10月26日23時57分。

電波回線弱者が悪戦苦闘しながらマイページの『新規小説作成』に文章を流し込んだのが同日23時59分。

間に合ったと思いきや、ジャンル選択やら、あらすじ入力やらしているうちに、あっという間に日付は越えていきました。

このところ長編の文章しか投稿していなかったので、「文章を流し込めれば良し!」と見込みの甘いことを考えておりました。

追い込まれないと書けない自分の何と甘いことかと猛省しております。

遅刻常習犯で申し訳ございません。個人的締め切りをもっと前に定めておくべきでした。


公式企画から弾かれてしまった身の上ですので、企画ページ以外から飛んでくださった皆様。

目に留めていただけましたこと、大変嬉しくしく思います。


今更ですが、初めましての方もいらっしゃったことでしょう。

長編作品『雲居藩妖怪抄』を、それこそ長いこと連載投稿しております。

もしよろしければそちらもご覧ください。


『雲居藩妖怪抄』まわりでありましたことは次回の次話投稿の際に、そちらで触れさせていただきます予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ