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焼き鳥屋にて二日酔いを治す

 小雨が降っていたが、俺は傘は刺さずに街を歩いた。濡れてもそのうち乾く。昨夜は野毛で飲んだが、今日も野毛にした。

 二日酔いで気分は優れないが、飲んで酔ってしまえば、二日酔いの不快さは消える。


 適当な小さな焼き鳥屋に入り、コートは脱がずにカウンターに座った。カウンターで五人。その他小さなテーブルが二つあるだけの店だ。

 瓶ビールと焼き鳥を何本か注文した。生ビールは店によってクオリティにバラつきがある。ビールサーバーをこまめにメンテナンスせず、さらに回転の悪い店だとビールも古くなり、まったく美味くない生ビールを出されることがよくある。

 瓶ビールはある程度味が安定してるので、知らない店は瓶ビールが無難だ。

 また生ビールはつぎ方が悪いと炭酸が抜けがちになるが、瓶ビールはコップに入れて飲むので瓶の中の炭酸がジャッキよりはキープされている。

 そしてその理由とは別に、瓶ビールのある景色や瓶からコップについでチビチビ飲むのが好きなのだ。

 よく冷えた小さいコップにビールを入れる。瓶を待つ指先が微かに震える。俺はコップに入ったビールを一気に飲み干す。それを三回繰り返す。4杯目からはペースを少し落として飲む。

 そうこうしてるうちに、注文した焼き鳥が来た。

 ねぎまにレバーとつくね。

 全てタレ。

 今は塩で食べるのが「わかってる」という風潮らしいが、俺からすればお笑いだ。塩もうまいが、俺はタレの方がうまい。

 塩よりタレの方が手間暇かけて作ってるはずだ。それがたとえ既製品のタレでも同じことだ。手間暇かけて、わざわざまずい物を作るはずがないのだ。同じ理由で、天ぷらも塩では食わない。天つゆに大根おろしをタップかけて食べるのがうまい。

 出された串をすべて平らげ、俺は別の串と瓶ビールを注文した。

 普段はあまり食べないが、妙に腹が減ってるな、と思ったが、それも当然だ。昨晩はあまり食べずに、しかもそれをさっき吐き出したのだ。胃の中にはほとんど何も入ってないはずだ。


 スマホを見た。吉井からLINEが来ていた。

 

  修正テキスト、誤字脱字が多すぎ。

  必ず推敲しろ。

  こちらで修正して無事入稿完了。


 俺はそれを見て、返事は返さずスマホをポケットにしまった。

 既読スルーってやつだ。

 とりあえず無事入稿したことに安心して、俺の飲酒のペースは上がった。モツ煮も注文した。焼き鳥屋だからか鶏のモツ煮だ。うまいモツ煮だった。

 ビールに飽きると日本酒に切り替えた。あまり長居するような店ではないので、俺は小一時間ばかりで店を出た。

 

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