ピパロン王国警備隊 第6話 トーマの転職
〇ため息
トーマ隊長「・・・はぁ~」
ルミ隊長「ため息なんかして、どうかしたのですか?」
トーマ隊長「・・・はぁ~」
ルミ隊員「聞こえてますか、隊長。」
トーマ隊長「・・・はぁ~」
ルミ隊員「コラッ!トーマ隊長!しっかりして下さい!」
トーマ隊長「ん、ああ、ルミ隊員か。」
ルミ隊員「ああ、じゃないです!何かあったんですか?」
トーマ隊長「・・・くび。」
ルミ隊員「は?」
トーマ隊長「さっき、カリー長官の所に行って来ただろ。そしたら、カリー長官が「明日から来なくていい」って・・・」
ルミ隊員「うーん、まあ、犯人逮捕とか、全然してないですもんね。」
トーマ隊長「他人事のように言っているが、君も全く活躍してないだろ。」
ルミ隊員「それはそうですが・・・なんか私にも責任があるような言い方ですね。」
トーマ隊長「勿論だ!どうしてくれる!
・・・って、ルミ隊員と言い合いをするのも今日で最後か~。オレは明日からどうやって生きていけばいいのだろうか・・・」
ルミ隊員「なんか大げさですね。転職すればいいだけじゃないですか。」
トーマ隊長「おいおい、転職ったって、そんな簡単なモンじゃないぞ。」
ルミ隊員「そんな事言わずに考えて見ましょう。」
〇転職先
ルミ隊員「隊長は、得意なことはないですか?」
トーマ隊長「ない!(キッパリ)」
ルミ隊員「うーん、それは困りましたね~
あ、そう言えば、隊長はラーメンが大好きでしたよね。ラーメン屋さんなんてどうでしょうか?」
トーマ隊長「おお、それは名案だ。なんかやる気がでてきたぞ!ルミ隊員、これからラーメンを作ってみるので少し待っててくれ。」
ルミ隊員「えっ・・・」
30分後・・・
トーマ隊長「ジャ~ン!ハッハッハ、トーマ隊長が本気をだせばこんなもん、簡単さ。」
ルミ隊員「なんか、ドス黒いんですけど・・・」
トーマ隊長「トーマ隊長特製コーラ&チョコレートラーメン完成!コーラベースのスープにチョコレートを溶かした創作ラーメンだ。」
ルミ隊員「げげっ」
トーマ隊長「どうした、早く食べないのか?遠慮する必要はたいないぞ。」
ルミ隊員「一口だけ・・・ん゛~これは・・・?!」
トーマ隊長「どーだ、美味いだろ。」
ルミ隊員「・・・私が悪かったです。ラーメン屋はあきらめましょう。このセンスでは無理です。」
トーマ隊長「そうかな~、SNS映えするし、大ヒットしそうだがな~」
ルミ隊員「・・・他になんかないんですか。」
トーマ隊長「そうだな~、ドーナッツ屋とかいいんじゃないか?」
ルミ隊員「あ、いいですね。私、ドーナッツ大好きです。」
トーマ隊員「よし、早速作ってみよう!」
30分後・・・
トーマ隊長「出来たぞ~、渾身の逸品だ!」
ルミ隊員「なんか、すごく長細いですね。お皿からはみ出てますよ。」
トーマ隊長「ふっふっふ、それでいいのだ。その名も「ポンデロング」だ!」
ルミ隊員「完全にパクリじゃないですか~。でも美味しそう!いただきま~す。」
パクッ、モグモグ・・・
ルミ隊員「ゲボッ!」
トーマ隊長「どうした?美味しいだろ?」
ルミ隊員「あ...あの、ちょっと良いですか?」
トーマ隊長「ん、いいぞ」
ルミ隊員「で、では!」
ダッシュ!
ルミ隊員「お、おえ~!う、うげっ...」
トーマ隊長「・・・聞こえるぞ~!そんなに不味いのか!」
ルミ隊員「人間の食べ物とは思えません!
酷すぎ!」
トーマ隊長「隠し味のピーマンと黒酢とニンニクと歯磨き粉のせいかな?」
ルミ隊員「なんでドーナッツにそんなもの入れるんですか!もう、調理系は絶対ダメです!お客が死にます!」
トーマ隊長「そうか・・・どうしたらいいのだ・・・。!そうだ!YouTuberはどうだろうか?
ルミ隊員「YouTuberは競争が激しいんですよ。大丈夫ですか?」
トーマ隊長「なーに、最近、ちょっと研究しているんだ。ちょっと見てくれよ。」
ルミ隊員「なんか嫌な予感・・・」
トーマ隊長「ヘイヘイ、ハロー、YouTube!どうも、トーマです!」
ルミ隊員「やっぱり!BUTAKINさんのパクリだ・・・」
トーマ隊長「今日は、トーマ隊長のモーニングルーティーンをやるよ。」
ルミ隊員「待ってください!正直、トーマ隊長のモーニングルーティンなんて、誰も興味ないです。それにパクリばっかりじゃ、そのうち訴えられますよ!」
トーマ隊長「じやあ、何をやればいいんだよ~
明日から俺はどうすれば・・・」
ルミ隊員「そう言われても・・・」
〇お別れ
トーマ隊長「ともかく、ルミ隊員とも今日でお別れだ。出来の悪い隊員だったがお別れとなると、なんだか寂しいな・・・」
ルミ隊員「出来が悪いは余計ですが、私も何だか寂しいです。・・・お別れなんですね・・・」
トーマ隊長「君がバナナの皮で転んだ姿は一生忘れないよ。」
ルミ隊員「私も、トーマ隊長が王様の前でカチンコチンだったこと、絶対忘れないとおもいます・・・」
プルルル、プルルル
ルミ隊員「はい、こちらピパロン王国警備隊です。あ、カリー長官。
・・・え、トーマ隊長ですか?クビになったて言って落ち込んでますが。
・・・え、そうなんですか。分かりました。伝えておきます。
・・・
隊長!カリー長官から伝言です。」
トーマ隊長「え、いまさらクビになった俺に何のようだ。」
ルミ隊員「それは勘違いですよ!
カリー長官が「もう来なくてもいい」って言ったのは、トーマ隊長が給料を上げてもらうためにカリー長官にゴマすりに来るのにウンザリして、もう、ゴマすりにこなくてもいい、って意味で、クビじゃまいそうですよ。よかったですね!」
トーマ隊長「なんだと!そうか、やっぱりな~、この優秀なトーマ様をクビにする訳ないもんな~」
ルミ隊員「なんか、急に元気になってきましたね!さっきまで落ち込んでたのに!」
トーマ隊長「よし、ルミ隊員、これからパトロールにいくぞ!」
ルミ隊員「は?もう夕方ですよ。今日は終わりにしましょうよ~」
トーマ隊長「黙れ!凶悪犯が街をうろついているかもしれん。行くぞー!」
ルミ隊員「ハイハイ。全く現金な人ですね。行きますよ。」
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