次回、転校生
登場人物紹介
恋舞舞恋サイコメトリー
名前と超能力だけなら、視界に入れただけで読み取れる。デスノートの死神とは契約していません。
有馬真理愛念写
過去、現在に存在する、あらゆる情報、映像を好きなモノに写すことができる。ぶっちゃけドラえもんのタイムテレビの上位互換。
山見麻弥探知 ロリ、本作の良心。
任意のモノの場所がわかるなんでもGPS。
三又茉美 ヒーリング。
触れた相手のあらゆる傷を数秒で治せる。病気の場合は治せるものと治せないものがある。ヒールしながら殴ると相手に傷を残さず痛みだけを直せる。クレイジーダイヤモンドと違って無機物は治せない。
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30分後。
桐葉と美稲を連れて、俺は学園の玄関にテレポートした。
テレポーターの俺は、ゼロ秒で登校できる。
だから、本当は遅刻ぎりぎりまで家で過ごせるのだけど、授業の前にみんなとの雑談というワンクッションが欲しいので、遅刻15分前には登校している。
「おはようっすハニーちゃん♪」
と、言いながら白い物体が桐葉に飛びついてきたので、俺はすばやいサイドステップで桐葉の壁となった。
「ほうら、オーダー通りハニーちゃんですよ」
「ハニーちゃんそこをどくっす。桐葉ちゃんにスケベできないっす!」
「だれがどくかこのオヤジ娘」
俺と荒野のガンマンよろしくにらみ合う変態は、枝幸詩冴、誠に遺憾ながら、俺の友達だ。
白い肌と純白のツインテール、真紅の瞳を持つアルビノ体質で、芸術品のような容姿を持つ巨乳美少女なのだが、その美点すべてを台無しにする変態性を欲しいがままにする残念美少女でもある。
「だれがオヤジ娘っすか失礼な! 詩冴はただ詩冴よりもおっぱい大きい縁起物娘をリスペクトしているだけっす!」
「握り拳を作るな! そして麻弥は自分の胸をなでるな!」
「違うっす麻弥ちゃん! 麻弥ちゃんはもちろん別腹っす! むしろ殿堂入りっす!」
ランドセルが似合いそうな体型の合法ロリ、山見麻弥の足元にすがりつく詩冴。
麻弥のお人形さんめいた無表情はいつも通りだが、ぺたんこなマイバストを撫でている姿には、ちょっと心打たれる。
「あ、麻弥ちゃんどこへ……」
詩冴を無視して、麻弥はとてて、と美稲の胸元へ歩み寄った。
それからくるりと反転して、美稲の豊満すぎる胸に後頭部を預けた。
「あの、麻弥さん? 寝ないで寝ないで、待って今、席座るから」
慌てて麻弥を抱きかかえながら、美稲は自分の席に座った。そのまま、膝の上に麻弥を抱きかかえる。
麻弥は、実に心地よさそうだ。可愛い。
「じゃあ詩冴は桐葉ちゃんの胸を枕に」
「させねぇよ」
桐葉と詩冴の間に俺が割って入ると、詩冴は憤慨した。
「なんで麻弥ちゃんはよくって詩冴はダメなんすか? 差別っす、詩冴は人権侵害を訴えるっす!」
「ねぇよんな権利!」
「なんでそんな冷たいこと言うっすか!? ハニーちゃんはもっと詩冴に優しくするべきっす! むしろ世界はもっと詩冴を猫のように可愛がり甘やかすべきっす!」
「珍妙な動きでのたくるな、変な踊りをするな、手足と荒ぶるツインテールを止めろ」
「シサエ」
「何っすか麻弥ちゃん?」
さっきまで寝ていた麻弥が、いつのまにか詩冴の袖を引いていた。
詩冴が目線を合わせるようにしゃがむと、麻弥の両腕が詩冴の頭を抱きしめた。
「シサエはいいこいいこなのです」
まるで、揉み込むようにして詩冴の頭をなでまわす麻弥。
その姿が尊すぎて、麻弥に貢ぎたくてしかたない。尊いならぬ、貢ぎたい。
一方で、詩冴は微動だにせず、まったくの無反応だった。
すっと、桐葉が詩冴の背に手を当てて一言。
「心臓止まっているよ」
「死んだぁあああああああああああああああああ!?」
俺の目には、詩冴の体から満たされ切った半透明の詩冴が天に旅立つ姿が見えた、ような気がした。
「あはは、朝から大変だね……」
第三者の声に振り返ると、栗毛のワンサイドアップが可愛い恋舞舞恋と、シニヨンヘアーの似合う美貌の女子、有馬真理愛の二人が立っていた。
二人は、麻弥と同じ警察班で、毎日俺のテレポートで、警察署へ送り届けている。
舞恋の顔を見つけると、桐葉が詩冴の亡骸から離れてフランクに話しかけた。
「おはよう。ねぇ、舞恋は部活か委員会入るの?」
「部活? う~ん、わたしはいいかな。警察の仕事もあるし、サイコメトリー能力者がいたら他の人も気を遣っちゃうよ」
舞恋が遠慮がちに苦笑を浮かべると、俺はちょっと寂しくなった。
――そういえば、舞恋ってサイコメトリー能力のせいで、前の学校じゃ避けられていたんだよな。
そういう面では、桐葉と舞恋は似ている。
桐葉も、蜂の能力のせいで、毒女、虫女として、周囲からイジメられていた。だからこそ、桐葉が俺に笑顔を見せてくれる度、俺は一種の達成感を得られた。
「みんなビビリだねぇ。まぁボクは気にしないからいいけど。じゃあ放課後は一緒に遊ぼ」
ぴょんと舞恋の前にジャンプしてから、桐葉は舞恋と両手を合わせた。
「ふゃっ!?」
反射的に桐葉の両手を受け止めた舞恋は驚き半分、緊張半分の顔で仰け反った。
「だから、ね、こういうことはしないほうが、そうだ、真理愛、真理愛は部活とか委員会するの?」
舞恋が強引に話題を変えると、真理愛は首を横に振った。
「いえ、私の家は部活動が禁止されていますので」
完全なる無感動無表情の説明に、舞恋は表情をフラットに戻して小首を傾げた。
「あれ? そうなんだ? 厳しいね」
「もとより興味のある部活もありません。それに、放課後と休日は舞恋さんや麻弥さんと一緒にいるほうが有意義だと判断します」
と、言いながら真理愛は麻弥のツーサイドアップを手櫛で整え始めた。
途中、麻弥のぽよよんほっぺを指先で撫でるのも忘れない。
――真理愛め、意外と欲深いな。油断のならない奴だ。
真理愛の脅威に、自然と目元が引き締まってしまう。
「あんたら見てると飽きないわぁ」
「うおぅ!? いつからいたんだお前!?」
すぐ近くの席で頬杖をついて俺らを鑑賞していたのは、長い茶髪を左側でサイドテールにまとめた、ちょっと釣り目の気の強そうな美人だった。
なんていうか、アニメなら絶対ツンデレキャラだろって感じの女子だ。なんでサイドテールなんだよ。なんでツインテールじゃないんだよ。
「あんた今、すっごいくだらないこと考えたでしょ?」
「読心術!?」
「あんたがわかりやすすぎるのよっ」
ジト目で語気を強めながら、茉美は俺らを追い払うように手を振った。
「ほらほら、もう先生来るわよ。席に着いて着いて」
茉美の指示で、俺らは羊飼いに飼われる羊のように、自分の席に戻った。
とは言っても、みんなの席は俺を中心に取り囲む配置なので、あまり変わらない。
一秒後、タイミングよく教室のドアが開いて、お団子頭の女性教師が顔を出した。




