温泉街!迫れ温泉回!
あれからひと眠りした1月1日、元旦の火曜日。
俺らは着替えると手荷物だけを持って、とある温泉街にテレポートした。
俺らはいつでも俺のテレポートとアポートで部屋に帰れるし荷物を取れるので、旅の情緒もへったくれもない。
だが、後悔はない。
「おー、まさに温泉街」
ながーい歩道の左右にお土産屋さんや旅館が建ち並び、道には浴衣に茶羽織姿の人たちが行き交っている。
早百合さんの案内に従い、ホテルへ向かった。
総理大臣御一行様、ということで、旅館は超が2つはつきそうな高級旅館だった。
通された部屋は大部屋の和室。
俺、桐葉、美稲、詩冴、舞恋、真理愛、麻弥、茉美、早百合さん、糸恋の10人なので、団体客扱いである。
「広いっすぅー♪」
とはしゃぎながら、詩冴が畳の上で側転をする。
その後を追うように、麻弥たんが小さく側転しているのが可愛い。
さらに後を追うようにちっちゃく側転する赤毛の女の子が一瞬見えた。
ごめんよ。10人じゃなくて11人だったね。
「真理愛。お前は側転しなくていいんだぞ。舞恋も」
側転の体勢に入っていた真理愛と、自分も続くべきか悩んでいた舞恋がハッとして止まった。
「き、桐葉はん、さっそくやけど一緒にお風呂、入らへん? ウチ、背中流すで」
おそるおそる、探りを入れるように桐葉へ提案する糸恋に、俺は心の中でエールを送ってしまった。
2組の生徒たちの気持ちがよくわかる。
糸恋は長身爆乳美少女だけど、保護欲をそそられてしまう。
「ハニーも一緒ならいいよ」
「ハニーはん! 一緒にお風呂、入らへんか!?」
「お前はそれでいいのか?」
「ハニーはんは誠実なお人やから……」
糸恋は両手を頬に当て、視線を逸らしながら赤面した。
なんていうか、反応に困る。
「ていうか混浴って、俺以外の男だっているんだぞ?」
「安心するがいい。今はドローンによる盗撮もあるし、貴君の嫁たちは大浴場や露天風呂へ行かせる気はない。大浴場、とはいかないが、中浴場付きの部屋を用意させた」
早百合さんがカーテンを引くと、ベランダの外は中庭のようになっており、石畳みの中央に広い浴槽が用意されている。
「誰にも気兼ねすることなく、嫁風呂に浸かるがいい!」
言いながら、早百合さんはスーツの上着を脱ぎ棄てた。
その隣で、詩冴が伝説のルパンダイブを行い、俺はテレポートで茉美の頭上にワープさせた。
「ヒーリングパンチ!」
「ぶげらっす!」
畳に沈む詩冴を無視して、俺は桐葉に言い訳をした。
「ほ、他の人が見ていないからって、男女比1:9でお風呂は、犯罪的じゃないか?」
「大丈夫だよハニー。これでもみんなで話し合って、水着着ようってことになったから。ほら」
桐葉は手荷物の中から、なかなかきわどいビキニを取り出した。
ほとんど隠せていない鼻血もののデザインに、俺はやや前かがみになってしまう。
「貴君も海パンをアポートして先に入っていてくれ。我々は着替えてから行く。それとも、女にここまでさせておきながら混浴を断る気か?」
早百合さんたちの視線が一斉に俺に突き刺さって、たじろいだ。
「ま、舞恋は恋人じゃないから、あれ、いない?」
「舞恋なら温泉饅頭を買いにフロントに行ったよ。じゃあハニー、先に行ってて」
桐葉の笑顔に押し出されて、俺は頷くしかなかった。
◆
俺が一人、海パン姿で温泉に浸かっていると、部屋へのドアが開き、バスタオル姿の美女美少女たちがぞろぞろと入ってきた。
「ッッ!?」
その姿だけで、かなり心臓が高鳴った。
中に水着を着ていると分かっていても、バスタオル姿の女子というだけでも妄想が膨らんでしまう。だって男の子だもの。
「お待たせハニー、可愛い未来のお嫁さんたちの到着だよぉ」
無邪気に笑ってから、桐葉はバスタオルをはだけた。
「ッッッ!?」
反射的に肩を跳ね上げる俺に、桐葉は歯を見せながら小悪魔的に笑った。
「もう、水着着ているのに反応しちゃって。ハニーはかわいいなぁ」
「は、反応なんてしてないぞ。ほんとだぞ」
嘘である。
水着を着ていると知っていても、美少女がタオルを脱ぐという事象そのものに過剰反応してしまった。
刺激的な赤いマイクロビキニ姿に身を包んだ(包めていない)桐葉のダイナマイトボディに、俺は心臓も心臓じゃない場所もドクンドクンと脈動していた。
かなり今更だけど、桐葉は本当におっぱいが大きい。高校生離れかつ日本人離れしたプロポーションだ。
大きすぎると持てあますとか不格好だという人もいるけれど、桐葉の美爆乳の前では、細かい理屈なんて吹き飛んでしまう。
続けて、美稲、詩冴、茉美とバスタオルを脱いでいき、自慢の豊満ボディを見せつけてくれる。
唯一、麻弥たんだけは最初からお子様用の可愛いフリル付きワンピース水着姿で入ってきた。




