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初詣とみんなのハレンチな願望

 夜。

 家に帰った俺らは、桐葉の用意したソバを食べながら、年越しのカウントダウンを待った。


 リビングにはMRの鐘が表示されていて、さっきから耳障りにならない程度に突かれて鳴っている。


 現代では、大晦日や元旦に寺社へ行く人は少ない。


 20年前にリモートが普及した際、リモート初詣やリモート墓参りなどが広まったせいだ。


 今では、自宅にMR寺社を表示して、室内で年越しからの初詣をする若者が多い。

 というか、俺らが行ったら大騒ぎになるだろうしな。特に早百合さんは。


「うむ、流石は針霧桐葉、料理の腕はピカイチだな」

「どういたしまして」

「せやなぁ、毎日でも食べたいわぁ」

「それってボクへのプロポーズ?」

「ちゃ、ちゃうわ! ちゅうかウチにプロポーズされても困るやろ?」

「まぁボクはハニーのものだからね」

「せせ、せやで」


 糸恋の頭上に真理愛のMR画面が表示されて、糸恋の妄想が念写された。


 それは、裸の自分と桐葉の二人で俺に性的なご奉仕をするという、ハレンチ極まりないものだった。


 みんな多かれ少なかれ頬を染めながら、糸恋に注目した。


「みんなどないしたん? なんでウチのほうを見てるん? ん?」


 糸恋が頭上を見上げるコンマ一秒前に、MR画面は消えた。

 真理愛の耳元には、詩冴が取り付いていた。


 ――詩冴のやつめ……。ていうか糸恋って絶対に桐葉のこと好きだよな……。


 最初は桐葉のことをライバル視しているようにしか思えなかったけど、最近は違う意味で意識しているようにしか見えない。


「あ、ハニー、カウントダウン始まるよ」

「おう」


 MR除夜の鐘に【10】と表示されて、【9】【8】とカウントダウンしていく。


 みんなで秒読みをして【0】になると同時にみんなで向き合い、


『あけましておめでとうございます!』


 と、頭をさげた。う~ん、日本人。

 同時に、除夜の鐘が消えて、代わりに小さな神社のMR映像がリビングに現れた。

 お賽銭と、あのガラガラ鳴らす鈴付きだ。


 俺はMR画面を操作して神社にスパチャというか、電子お賽銭を払ってから手を合わせた。


 ――神様、桐葉たちと会わせてくれてありがとうございました。


 初詣は神様にお願いごとをする日だと思い込んでいる人がいるがそれは間違いらしい。


 実際には、神様に決意表明をしたり、報告するものらしい。



「ハニーが姫始めに答えてボクの処女を貰ってくれますように!」

「ハニーちゃんとキリハちゃんとハーレムセ●クスできますように!」

「私のDカップがハニーさん好みの巨乳になりますように」

「殴るたびに胸揉んでいい約束をハニーが忘れますように!」

「ハニーはんがもう一人嫁を増やしたいと思いますように!」



「欲望の忠実な奴隷!?」


 その隣で美稲と麻弥たんと早百合さんが手を合わせていた。


「無病息災、家内安全、交通安全をお願いします」

「みんなの願い事を叶えて上げて欲しいのです」

「我らが日本に五穀豊穣、経済繁盛、産めよ増やせの子宝を授けたまえ!」


「見ろ、お前らはこの三人の爪の垢を煎じて呑め! 主に舞恋の!」


 ひとり、一言も喋らずに黙して祈っていた舞恋は、俺の言葉で慌てながら頬を染めた。可愛い。


「いや、わたしはそんなっ」


 なお、MR神社の向こう側、ベランダ窓の近くで、赤毛の幼女がたいらな胸を張りながら、「むんっ」とやる気に漲る顔をしてから消えた……ような気がする。


 ――最近、自重しなくなってきたな……。


「そういえば美方は?」

「美方はんなら家族と年越しするそうやで。美方はんセレブやから」


 ――そういえばいいところのお嬢様だったな。


 威厳がまったくないのでまったく忘れていた。


「それでハニー、明日からどうしようっか? 何正月にする?」

「俺は毎年寝正月だったけど、今年はみんなもいるしなぁ」


 俺が一考すると、早百合さんの視線が動いた。


「……ふむ、地熱発電の開発に温泉地が反発、か。皆、正月は温泉地で過ごす、というのはどうだ?」


「「是非!」」


 桐葉と詩冴たちエロ組が食い気味に答えた。

 茉美と舞恋と糸恋が顔に両手を当てながら赤面しているのが可愛かった。

 美稲は麻弥たんの頭をなでながら「温泉いいですねぇ」とか言っている。


 真理愛は早百合さん、桐葉、糸恋の爆乳を見つめながら、自分の胸に手を当てて無表情のまま青ざめていた。


 ――Dカップの真理愛を縮み上がらせるとは、あの三人のおっぱい性能は化物か!


 肩にずっしりと豊乳の重みを預けられて首を回すと、桐葉が蜂蜜色の瞳に俺を映しながらほほ笑んでいた。


「みんなで混浴しようね、ハニー」

「ッッッッ!?」


 このメンバーで混浴をする妄想がよぎった俺は、下半身で咆哮を上げた邪悪龍と共に自室へとテレポートで逃げ出した。


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おまけ!というか閑話休題?

 名探偵だよマリアちゃん第3話



 俺らが温泉へ行く準備をしていると突然、茉美がリビングに怒鳴り込んできた。

「ちょっと! アタシのブラが一枚足りないんだけど誰が盗んだのよ!? ハニー!?」

「なんで俺が盗むんだよ……」


 俺が肩を落としながら返すと、茉美は唇を尖らせ無言の抗議をした。


「どうせシサエだろ?」

「それもそうね」


 阿吽の呼吸で俺と茉美が首を回すと、シサエは白肌を真っ赤にして怒った。


「濡れ衣っす! なんでもかんでもシサエのせいにされて心外っす! 冤罪のお詫びにパンツを要求するっす!」

「やっぱアンタじゃないの!」

「ひでぶ!」


 茉美のヒーリング三右ストレートを喰らい、シサエはリビングに転がるも目が死んでいなかった。


「おっと、これはいわれなき暴力っすね。マツミちゃん、これでもしも本当にシサエが犯人じゃなかったら今の一発をどう償うつもりっすか?」

「え!?」


 まるで逆転賭博黙示録の悪役を彷彿とさせる邪悪な企み顔に、茉美は動揺した。


「マツミちゃんのFカップブラを盗んだ証拠が出せないなら今のただの暴行事件っす! 30分以内にシサエが犯人だという物的証拠を出せなければおパンツを捧げるっす!」


 勝ち誇った顔のシサエを警戒しつつ、茉美は怒鳴った。


「いいわよ! その代わり、アンタが犯人だったら延髄切りを追加するわよ!」

「なら証拠を出せなかったらおっぱい揉ませてもらうっす! 1時間!」


「ならアタシが勝ったら、ドロップキックを追加するわよ!」

「ならシサエが勝ったら、お尻も揉ませてもらうっす! 1時間!」


「ならアタシが勝ったら、ブレーンバスターを追加するわよ!」

「ならシサエが勝ったら、全裸鑑賞会させてもらうっす! 1時間!」


「ならアタシが勝ったら、バックドロップを追加するわよ!」

「ならシサエが勝ったら、おっぱいしゃぶらせてもらうっす! 1時間!」


「ならアタシが勝ったら、キン肉バスターを追加するわよ!」

「ならシサエが勝ったら、夜はおっぱいを枕にさせてもらうっす!一週間!」


「ならアタシが勝ったら、パロスペシャルを追加するわよ!」

「ならシサエが勝ったら、夜は裸で抱き枕になってもらうっす! 一週間!」


「ならアタシが勝ったら、マッスルミレニアムを追加するわよ!」

「ならシサエが勝ったら、シサエと一緒にお風呂に入るっす! 一生!」


「どっちが勝っても大惨事じゃねぇか!」


 俺の隣で、桐葉も呆れ気味だ。


「でも茉美、そんな約束しちゃっていいのかい?」

「大丈夫でしょ。真理愛に頼めば証拠なんて一秒だし」

「残念でしたっす。真理愛ちゃんなら遠くのスーパーで売っている豆乳が育乳に効くと行ったら飛んで行ったっす! いまどのあたりにいるかはハニーちゃんにもわからないっすよ!」

「なんっ、ですって!?」


 シサエは勝ち誇った声で高笑い、茉美は絶望に青ざめた。


「フハハハハっす! これでマツミちゃんのカラダはシサエのものっす!」

「まだよ! 舞恋!」

「マイコちゃんは胸が小さく見えるブラが売っていると教えてあげたら飛んで行ったっす! いまどのあたりにいるかはハニーちゃんでもわからないっすよ!」

「アンタふざけんじゃないわよ!?」

「ちなみにマヤちゃんは外に爆乳のお姉さんが歩いていると言ったらお出かけしたっす!」


 ——今更だけどうちの警察班て全員おっぱいコンプレックス抱えているんだなぁ。


 シサエは魔王のように勝利の凱歌を唄い、茉美は四つん這いになった。

 そこへ、


「ただいまなのです」


 玄関のほうからは、麻弥を抱きかかえた早百合さんが顔を出した。


「マヤちゃん!? どうしてここに!?」

「外で早百合に会ったのです。爆乳のお姉さんとは早百合のことだったのですね」

「いや、ちがっ」

「麻弥! アタシのブラがどこにあるか探知して! ピンクのやつ!」

「ッッ!?」


 図らずも茉美のブラの色を知ってしまい、俺は噴いた。桐葉は胸元を緩めて、妖艶な笑みで黒いブラをチラリズムさせてきた。ありがとうございます。


「う~んと、あのブラは今、詩冴のポケットに入っているのです」

「マヤちゃぁああああああああああああああああん! 何故そんな嘘ぉおおおおおおおお!?」

「うそではないのです。えい」


 麻弥がシサエのポケットに手を入れると、ピンク色の大きなブラを引っ張り出した。


「あ!? あっるぇええええ!? なんでシサエのポケットにブラが!? さてはハニーちゃんがテレポートさせてシサエに罪をなすりつけ、はぐっ!」


 詩冴の頭に茉美の五指がめり込んだ。

 ギリギリと、油の切れたブリキ人形のようなぎこちなさで詩冴が振り返ると、そこには顔には真っ黒な影を落としながらも両眼だけはらんらんと輝かせた茉美が立っていた。


「あの、マツミ、ちゃん?」

「さぁて、じゃあドロップキック、ブレーンバスターからのバックドロップとキン肉バスターをキメた後パロスペシャルかけてシメはマッスルミレニアムね」


 

「ぎゃあああああああああああああ! 助けてっすハニーちゃん! 可愛い嫁が! 貴重なアルビノ巨乳ツインテールが若い命を散らそうとしているっすよ!」


 俺が見守る中、詩冴はずるずると引きずられながら、茉美の部屋へと消えていった。


「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」


 五十音では表現不能な断末魔の叫び声が響くと、我が家に静寂が訪れた。

 俺は窓の外を眺め、青い空に無言の敬礼をキメた。


 五分後。

 茉美が赤面しながら視線を逸らしながらもじもじと。


「あ、あの、さ、さっき『なんで俺が盗むんだよ』って言っていたけど、ハニーはアタシのブラ、興味ないの?」

「え!? あ~」


 周りに誰もいないし美稲がRECしていないことを確認してから、俺は彼女に耳打ちした。


「凄く興味ある」


 茉美はうれしそうにはにかんでから、照れるように両手で顔を覆った。


「こ、今夜はおっぱい、余分に一回揉んでいいわよ、えへへ」


 なにこのエロ可愛い生き物。

 今夜は俺の下半身がドラゴラムすることが決まった。






 茉美が想像以上に可愛くなってメインヒロイン級になってきたのでもっと桐葉の描写を頑張ろうと思う今日この頃……。by鏡銀鉢

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