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茉美のおっぱいは何グラムですか?

 茉美の渾身にして会心のヒーリングパンチを喰らった俺は、無傷のまま鈍痛を引きずり、朝食を食べた。


 誰かが開いているMR画面のニュースでは、東京を大地震が襲うと騒ぎ立てていた。


「これ、毎年言っているよな」


 俺は辟易とした。


 100年に一度と言われる大地震、関東大震災が1923年に起きてから約120年。俺が物心つく前から年に数回、そろそろまた大地震が来ると騒いでいる。


 しかし2040年、12月19日現在、その片鱗すらない。


「本当だよね」


 俺の隣に座る桐葉が同調して頷いてくれた。


「まぁテレビも他の局と差別化したいんでしょ?選挙の結果をリプレイし過ぎだし」


 昨日の選挙で、早百合さん率いる青桜党は大勝利を収めた。


 日本初の女性総理で、衆議院議員の3分の2を占める新与党の誕生に、全ての局と政治系動画配信者はお祭り騒ぎで、特集を組みまくっている。


 最高に旬な話題とはいえ、そのせいで視聴率がバラけている感も否めない。


 立ち上がって、俺は食器を下げようと自分と桐葉の皿を重ねた。


「あ、食器はボクがするよ」

「洗い物ぐらい俺がやるよ。一日三食作ってもらっているんだ。片付けぐらいさせてくれよ」


 この男女平等の時代に、家事は女子の仕事、なんて言う気はない。俺は、桐葉たちと支え合って生きていきたい。


「じゃあ一緒にやろ♪」


 桐葉は名案、とばかりに笑顔をはじけさせて、他の食器を重ね始めた。


 ――尊い!


 いつもながら俺の心にグッとくる女子である。


 ていうか、桐葉が両手で食器を持つと左右の腕に挟まれたHカップの3000グラムバストが強調されて下半身にもグッと来てしまう。


 ――俺、だんだん下品になってきていないか?


 自分を戒めながら二人で食器を手にキッチンへ向かうと、調理用のはかりを抱えた茉美が、キッチンからこっそりと出て行くのを目にした。


「「?」」


 顔を見合わせた俺と桐葉は、食器を置くと茉美の後を追った。

 両手が塞がっていたためだろう。

 茉美の部屋のドアはきちんとは閉められず、半開きだった。


 そこから二人で首を突っ込むと俺は目を見張った。


 茉美が、制服のブラウスをめくりあげ、Fカップバストをブラジャーから解き放つところだったのだ。


 小玉メロンのような巨乳がふたつこぼれだして、質量感たっぷりと、たわたに揺れた。


 サクランボよりも小さくて愛らしい桜色の頂点を丸出しにしたまま、茉美は不安そうな赤面を、決意に固める。


「Jカップが5000グラム……お願い、せめて半分ぐらいには……」


 ふたつのメロンバストがのしかかり、その重量に秤の台座は大きく沈み込んだ。

 同時に、鏡を見つめる茉美の表情も一気に沈んだ。


「そんなっ……たったの1850グラム? 早百合さんの足元にもおよば、な、い……ッッ――」


 俺らと目が合って、茉美は絶句して固まった。

 俺も、石のように固まった。

 桐葉だけが、軽やかに入室した。


「何言っているの茉美。詩冴が言っていたけどFカップの平均は1600グラムらしいし、むしろ大きい方だって。Gに近いFだし、前から思っていたけど、茉美のおっぱいって底が広いから高さが同じでも他の人より体積があるよね」


 けれど、茉美の視線は俺の視線と結合したまま動かず……。


「み、見るなぁあああああああああああああああああああ!」


 右腕でおっぱいを隠しながら、茉美は全体重を乗せた見事な左フックで俺の顔面を廊下に叩き出した。


 廊下に倒れると、お腹の上にムチっとした感触がのしかかってきて、何度も頭を殴打された。


「うわぁああああああ! 忘れろぉ! 忘れろ忘れろ忘れろぉ! わぁ~すぅ~れぇ~てぇ~よぉ~!!!!」


 果たして、俺は何度殴られたのか、10発から先は数えていない。


 意識がなくなる前に、俺は思った。


 茉美、殴るたびにおっぱいを好きにしていいって約束、忘れているのかな?



   ◆



 6日後の12月25日。

 俺らの異能学園は、クリスマス終業式を迎えていた。


 外は寒く、雪がチラチラと舞い落ちるホワイトクリスマスだけど、最高水準設備の校内は温かい。


 登校中は寒いため多くの女子がストッキングをはいているのが、季節外れに思えてしまうほどだ。


 ちなみに桐葉は黒のタイツをはいている。


 収縮色の黒だけに、スラリと長い脚が余計に引き締まって見えて、踏まれたくなるような魅力がある。


 俺はMじゃないけど、黒タイツの桐葉限定で踏まれたい。

 そして桐葉のたわわな南半球を見上げたい。


 とか妄想している間に終業式は終了。

 俺らは教室に戻った。

―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 おまけ!

 名探偵だよマリアちゃん第1話


 とある豪邸で大富豪の金丸金雄かねまるかねお氏が殺害された。


 容疑者は彼の誕生パーティーに参加していた各業界の著名人300人。

 そして外部犯人の可能性もある。

 駆けつけた警察も事件の迷宮入りを覚悟した時、コート姿の男が一歩踏み出した。

 それこそがこの俺、探野偵介たんのていすけである。


 俺の周りで毎週必ず起こる殺人事件は当然として、他にも数々の難事件を解決し、警察の相談役として重宝され事件現場には顔パスで入れる。

 警部や署長とは気軽に世間話をする仲だ。

 雑誌のインタビューも何度も受けている、巷で人気の名探偵さ。


 もちろん、このパーティーには正式に招待状を貰っている。

 月曜日から土曜日まで誰も死なないから今日、誰かが死ぬとは思っていたがまさか金丸金雄氏が死ぬとは思わなかった。


 だけど警部さん安心してください。

 俺はここにいますよ。

 この探野偵介がこの事件を難なく解決してご覧にいれましょう。

 この場にはメディア関係者もいるし明日にはまた俺の活躍が新聞を騒がせてしまうなフフフフフ。


 俺は死体を囲む警官たちに近づき、バサッとコートを翻した。


「やぁ奇遇ですね警部さん! ここはこの俺、探野偵介に――」 



「これが事件当時の念写映像です。犯人はメイドさんです」

「そうよ! アタシが殺したのよ! 奥さんと別れてアタシと結婚してくれるって言っていたのに!」

「いやぁ真理愛くん、今日もお手柄だったねぇ」

「いえ、これが私の仕事ですので」

「真理愛、きっとハニーも褒めてくれるのです」

「そ、そうですか?」


 無表情のまま、真理愛の頬がほんのりと染まった。


「よしお前ら、犯人逮捕だ。ん? 探野くんいたのかい? どうしたそんなところに突っ立って」

「……いえ、べつに」


 俺の名前は探野偵介……元・名探偵さ……がくり。

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