はにぃのえっち
桐葉、詩冴、そして美稲を連れて、俺は官舎のリビングへ戻った。
夕食は外で済ませ、これから桐葉と詩冴の特訓が始まるのだが、できれば美稲には帰って欲しかった。
「あの、美稲、無理に付き合わなくてもいいんだぞ」
「心配してくれてありがとう。でも大丈夫、というか、むしろ監視役で私はいるべきかなって」
頬をかきながら、美稲は愛想笑いを浮かべた。
それはそうだ。ストッパーがいなかったら、何をされるかわかったものではない。
その反面、これから訪れるであろう醜態を、美稲に見られたくないという気持ちもあった。
「じゃあ早速だけどハニー、ボクのブラ、アポートしてね」
制服を脱ぎ捨てワイシャツ姿になると、桐葉は小悪魔的な笑みを浮かべながら胸を寄せて、挑発してきた。
その色香に興奮を覚えながら、精一杯の抗議をする。
「だから、そういうのはいいって言っただろ? 俺は、桐葉のカラダ目当てとかじゃないんだからッ」
そうなのだ。
桐葉は、俺がカラダ目当てで付き合っていると勘違いしていて、えっちなことをさせれば俺が裏切らないと、そう言っていた。
だから俺は、誠心誠意、その誤解を解いた。
外見が好きなのは認める。だけど、カラダ目当てではなく、一人の人間として、桐葉のことが心配なのだと。
桐葉も、そのことは理解してくれたはずだった。
なのに、相変わらず桐葉は、毎日俺を誘惑してくるのだ。
「え~、だってぇ、ハニーがカラダ目当てじゃないっていうのはわかったけどぉ、ハニーがえっちなのは本当でしょぉ?」
腰をくねらせながら、桐葉は甘い語調で尋ねてくる。
「ッ、お前はもっと慎みというか、恥じらいを持てよ」
俺は恥ずかしくて仕方ない。
桐葉の豊乳に視線を注いでいる俺を、誰かに見られたくなかった。
美稲と、あと少しだけ詩冴の視線が気になって仕方ない。
桐葉の豊乳から視線を外しながら、真理愛や麻弥なみの無表情を作れば問題ないが、桐葉のバストを前にそんな余裕はない。
恐るべしは桐葉のバストである。何カップあるんだろうか?
「えへへ。ボクはハニーのことが好きだからハニーに喜んで欲しいし、ハニーがボクに興奮すると嬉しいし、ハニーにはボクにメロメロになってもらわないと。いっぱいえっちな眼で見てね」
「ああもうさっさと終わらせるぞ! 遠くのものを手元に呼び出せばいいんだろ!?」
右手を突き出して、テレポートの感覚で、桐葉のブラを手元に呼び寄せようとした。
すると、桐葉が目の前に現れた。
それも、左胸を俺の手に押し付ける形で。
「ん?」
「ぃゃんっ」
ワイシャツ越しでもなお弾力とボリュームが主張して、なおかつ指が沈み込み、包み込まれるような感触が手の平いっぱいに広がった。
やわらかい。きもちい。でかい。
色んなことを一瞬の間に考えてから、視界の端に映る美稲に気づいて手を離した。
「うわゴメン!」
俺が謝り、詩冴は上機嫌に口笛を吹いて、美稲はやや驚いた表情で口に手を当てて頬を染め、肝心の桐葉は意外に優しい笑みを見せた。
「もう、なんで謝るの? ボクはハニーの恋人なんだから、全然OKなんだよ。ほら、今度は落ち着いてもう一度」
「お、おう……」
ただ俺をからかっているわけではなく、どうやら、ちゃんと練習させてくれるらしい。
「やっぱりちゃんと眼で見ないとダメなんじゃないっすか? こうやって」
桐葉が壁際に離れると、詩冴は制服のブレザーを脱いで、ワイシャツのボタンを四つも開けた。
すると、アルビノ特有の白くて深い胸の谷間があらわになり、肌の色と同じ、白いブラのフロントホックが見えた。
俺のまぶたが、限界まで開いて固まってしまう。
「ちょっ、おまっ」
「詩冴さん、それは見せすぎだよっ」
美稲が語気を強めて注意をしてくれる。
――流石は美稲、頼りになる!
「え~、別に露出度は水着と変わらないじゃないっすかぁ。それともミイナちゃんはハニーちゃんの前でビキニになるの嫌っすか?」
「いやじゃ、ないけど……」
想像しているのか、頬を染めながら、美稲は俺の顔を一瞥した。
いや、そんなことをされると俺も恥ずかしい。
つい、美稲のビキニ姿を想像してしまう。
性格はおとなしく真面目だけれど、詩冴以上の豊満ボディを持つ美稲がビキニを着たら、凄いことになりそうだ。
桐葉のビキニ姿は……子供の教育上よろしくないので海には連れていけない気がする。
「ほらほらぁ、早くするっすよイクオちゃん♪」
「たく、人をおちょくりやがって、ほらよ、これで満足か!?」
詩冴の谷間からブラが消えて、俺の手に握られた。彼女の体温が生々しく、必死で興奮を抑えた。
アポート、成功だ。
「ほら、これでいいだろ、て、どうした桐葉?」
見れば、桐葉がちょっと不機嫌そうな顔で拗ねていた。
「む~、ハニーが最初にアポートするのはボクの下着がよかったのに」
「なんのこだわりだよ……」
「こうなったらハニー、ファーストパンツはボクのだよ!」
言って、桐葉はスカートをたくしあげて、パンチラどころかパンモロしてきた。
「桐葉ッッッ!?」
美稲と詩冴が見ているのに、俺は全力で桐葉の純白のパンツに夢中だった。
桐葉がスカートをたくしあげた瞬間、俺の辞書から、チラリズムという単語は、ページごと破り捨てられた。
一瞬のチラ見せに何の意味がある。裸ならともかく、下着ぐらいなら、むしろ、堂々と見せるぐらいが、一周回って興奮する。
見てはいけないものを、堂々と見せつけながら「どうぞ」と差し出される。
この贅沢感には、どのような理性も建前も抗えなかった。
「舞恋さんに魔が差したらこの日のこともサイコメトリーされちゃうんだよね?」
「その通りっす♪ ハニーちゃんがキリハちゃんのおパンツに夢中なのもその時に考えていることもまるわかりっす♪」
「どぅわぅ!?」
謎の奇声を上げてから、俺はアポートを使った。
速やかに黒歴史の拡大を止めるべく、何も考えず、無我夢中だった。
桐葉のパンツが消えて、手の中に彼女の温もりが収まった。けれど、今度はその感触に興奮することはできなかった。
何故って、下着よりも遥かに刺激的な状況にあったからだ。
少し考えればわかるが、桐葉は、スカートをたくし上げて、俺にパンツを見せていた。その状態でパンツが無くなったのだ。つまりは、彼女の隠すべき全てが、つまびらかにさらされていた。
美稲と詩冴が息を呑む音がする。
桐葉はどこまで神経が図太いのか、笑顔でハシャいだ。
「やった、成功だねハニー♪」
だけど……。
「? ハニー? 二人もボクのパンツ見てどうしたの? パンツはこっちじゃなくてハニーの手に……だから、いまボクは……」
視線を下ろすと、桐葉はきょとん顔を微動だにさせないまま、かぁぁ~、と赤面していく。
両手でスカートを抑えながら内股になる。
それから勢いよく顔を上げて、自身も表情に困っているであろう複雑な顔で俺を見つめながら、桐葉はもじもじと口を開いた。
「はにぃのえっち…………」
そのしぐさは、今までに見たどんなセクシーポーズよりも刺激的で、同時に可愛かった。
もう、心臓なんて破けそうなぐらい暴れていて、痛いくらいだった。
けど、意外にも性的興奮はほどほど。
それ以上に、桐葉の大事な場所を見たことに、無限大の特別感と達成感、そして、責任感が湧いていた。
――この子は、俺が一生をかけても幸せにしないと!
と、心の中で硬く誓った。
「あの~~」
そこへ、極めて恐縮しながら、美稲が手をあげた。




