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美稲の魅力


 なんだか、桐葉に申し訳ない。


「あ、目ぇ逸らした。ダメだよ。人が話している時は目を見ないと」


 美稲の白く繊細な指が、俺の頬をつまんで、グイッと方向転換させられた。

 美稲の指の感触に、頬が熱を帯びた。


 ――美稲に顔を触られるの、初めてじゃないか?


 まるで恋愛マンガにでてきそうな仕草。

 だけど、そこにはあざとさがない。

 むしろ、これが彼女の素にしか感じない。

 可愛い。

 綺麗でなおかつ可愛い。

 やっぱり、美稲は凄く、魅力的な女の子だ。


「や、やめろよ。惚れちゃうだろ」

「え? ハニー君てチョロインだったの? 大丈夫? 桐葉さんたち幸せにできる?」

「俺がヒロイン枠だったことに驚きだよ。そして桐葉たちの幸せが惜しくば俺を誘惑するな」

「まずハニーとか言われている時点でヒロイン枠だし、頬をつまんだだけで誘惑とか言われてもハニー君がチョロ過ぎるだけだよね?」

「ぐっ、反論の余地がない。流石は我らが論破王、やるなっ」

「ハニー君が弱すぎるんだよ」


 楽しそうに笑って、美稲はお腹を抱えた。


「ふふ。ねぇ、こうしていると、初めて一緒に働いた時のことを思い出さない?」

「え? 俺あの時からチョロかったのか?」

「ハニー君て面白いよね。そういう意味じゃないよ。ほら、桐葉さんが護衛に着く前は、二人きりだったでしょ?」

「あ、そういえばそうだな」


 微笑を浮かべたまま、美稲は穏やかな声で語り始めた。


「なつかしいなぁ。家に居場所が無くて、学校に居場所を求めて、八方美人になって、みんなから求められはしたけどそれは上辺の私だった。でも、ハニー君は他の男子と違って、一度も私のご機嫌伺いなんてしなかった」


 前の高校で、美稲は学園のアイドルだった。


 だけど、男子みんなが美稲に熱い視線と媚びを売る中で、俺は美稲とはかかわろうともしなかった。


 いくら美人でも、スタイルが良くても、内面がわからなければ俺にとってはグラビアモデルと同じだ。


 恋愛してデートして付き合いという、恋愛感情までは湧かない。


「ハニー君の態度は二人きりになっても同じで、ずっとは真面目に働いていたよね。思えばあの頃から、ハニー君と一緒に居る時は安心していたかも」


 彼女の言う通り、俺は外見だけで惚れるようなことはしない。


 でも、今は違う。

 美稲はハチの能力を持つ桐葉を差別しなかった。


 手の平返ししてきたクラスメイトたちから、俺を守ってくれた。

 超能力で稼いだお金を、他人の為に使い続けた。

 OUがテロを起こせば、みんなを守るために、自分の危険も顧みず率先してパワードスーツと戦った。


 内面の美しさを知った今は、彼女の美しさに惹かれ、いつもドキドキさせられている。

 もちろん、アタックする気なんてない。


 俺には桐葉たちがいるし、今でもこれでいいのかと自問自答しているくらいだ。

 魅力的だとは思うけど、付き合いたいとは思わない。

 それが、俺の判断だ。


「あれから桐葉さんとお友達になって、他のみんなともどんどん仲良くなって、いまじゃ六人家族になっちゃった。これ以上望んだら、バチが当たっちゃうくらい幸せ過ぎて怖いよ」


 なんだか妙な言い回しに違和感を覚えると、美稲が再び口を開いた。


「ねぇハニー君、桐葉さんたちのこと好き?」


 不意打ちに戸惑いつつ、俺は努めて冷静を装った。


「す、好きに決まっているだろ。法律上はみんなと結婚なんてできないから事実婚になるんだろうけど、みんなが望んでくれる限りは全員をガッツリ愛し尽くして絶対に泣かせないぞ!」


 俺の答えに、美稲は満足げに笑った。


「うん、その調子だよハニー君。これからも、ずっとそのままでいてね。ハニー君が変わっちゃったら、きっと全部壊れちゃう。みんなの幸せも、何もかも全部」


 最後の方は、わずかに哀愁の漂う響きがあって、不安になる。

 彼女の真意を尋ねたくて口を開くと、機先を制するように美稲が言った。


「ハニー君、そろそろテレポートしないと私たち押し潰されちゃうよ?」

「え? あ!?」


 顔を上げると、貨物室奥から金属のピラミッドが、津波のように迫って来るところだった。



※※※※※下記はカクヨムに投稿当時、私が電撃文庫から本を出した関係での昔のネタです。

 ちょいネタ。

 学園モノなのにキャラが強すぎる本作。

 電撃文庫から今月発売の【僕らは英雄になれるのだろうか】と合わせて強さランキング!

1位 ハニー君

 まさかのバトル作品と比べても最強。相手の心臓をアポートすれば瞬殺。

 ただし相手がハニー君の能力を知っていて、試合開始と同時にテレポートを発動させる前に0・1秒以内にハニー君を殺せば勝機はある。


2位 浮雲真白うきぐもましろ

 【僕らは英雄になれるのだろうか】最強の教師。

 戦闘経験豊富で頭脳戦に持ち込めばハニー君にも勝てる。


3位 針霧桐葉はりきりきりは

 まさかのベスト3のうち2人がスクール下克上キャラ。

 学園祭であらたに目覚めたブライダルモードの戦闘力なら敵なし。


4位 LIA(リア)

 桐葉と同じボクっ娘ハニーの豊乳美少女。重力と髪の二重属性。蜂形態の桐葉よりも強いが、ブライダルモードには負ける。


5位 鬼龍院刀牙きりゅういんとうが

 クラスメイトの最強男子。


6位 アメリア・ハワード

 アメリオン合衆国最強の金髪碧眼美少女。水属性だが戦闘経験豊富で貴美守方に勝る。魔力値53万だけどフリ●ザ様とは関係ない。


7位 草薙大和くさなぎやまと

 【僕らは英雄になれるのだろうか】の主人公。他人の苦しみを見捨てられない優しい青年。


8位 貴美美方たかみみかた

 草薙大和と同じマグマを使うが戦闘経験が少なく、接近戦が苦手なのでこの順位。


9位 貴美守方たかみかみかた

 最強の水使いだが、戦闘経験の少なさと闘争心の低さからアメリアには劣る。


10位 内峰美稲ないみねみいな

 分解再構築能力で地面を自由に変えられるので地属性みたいなものだが、一定以上の肉体強度を持つ相手には効かないのでこの順位。空気に干渉できるようになれば一気に順位も上がる。

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