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学園祭の打ち上げ

 後で早百合次官から聞いた話だと、詩冴を誘拐した男は下水でおぼれた影響で失明して声も出せなくなったらしい。


 つまり、対象の名前と命令を紙に書いて合言葉で発動する、あのチート能力は二度と使えないらしい。


 それと、俺の名前が奥井ハニー育雄で学園に登録されていたことについてはシラを切られたものの、あれのおかげで助かったので強く文句も言えなかった。



 その日の夜。

 俺らはいつものように、うちのリビングで打ち上げをしていた。

 ちなみに、早百合次官も一緒だ。


「では皆の者、学園祭成功と針霧桐葉のミスコン優勝を祝して、乾杯だ!」

『かんぱーい!』


 俺らはジュース入りのグラスをテーブル中央に掲げてから、ぐいっと飲み干した。


「いやぁ、みんなもようやく桐葉の魅力に気づいてくれて嬉しいぜ」

「そんなこと言ってハニー君、これで桐葉さんが有名になって他の男子に取られないか心配なんじゃない?」


 美稲の意地悪な問いかけを、俺は鋼のメンタルで跳ね返した。


「ばっか、桐葉が他の男になびくわけないだろ。俺は桐葉を信じているからな」

「そうだよハニー。ボクはハニーなら今夜こそボクをベッドの中で愛してくれるって信じているよ」

「えっ!?」


 ドキリと、俺は緊張して何も言えなくなった。


「ふふ、ハニーってばかわいい」

「か、かわいくないやい」

「でもあんた、伊集院の時のこともあるし、桐葉にその気がなくても悪い虫が群がって来るかもしれないんだから、しっかりガードしなさいよ」


 茉美が警告してくると、麻弥がちっちゃい手で拳を作った。


「悪い虫はみんなでやっつけるのです。えいえい」

「そうですね、悪い虫はやっつけましょう」


 麻弥とそろって、無表情無感動に告げる真理愛。


 ――真理愛の場合やっつけ方が怖いんだよなぁ。


「でもわたしたちって警察班だけど戦えないから、守られる側だよね」


 舞恋が苦笑すると、真理愛は使命感に燃えたオーラを出した。


「念写を鍛えて相手の体に焼き印を念写して火傷ダメージを狙います」


 ――想像以上に怖かった!?


「ふふふ。ちなみにハニーちゃん、今回の勝利にはシサエという陰の功労者がいることを忘れずに」

「おう、もちろんだ。今回は本当に何から何までありがとうな」


 俺が素直にお礼を言うと、詩冴は調子に乗って俺の背後に回り込み、背中に甘えてきた。


「じゃあご褒美にシサエもハーレムに入れて欲しいっすぅ♪」

「いいぞ」

「ほえ?」


 目を点にする詩冴に、俺は優しく、もう一度言った。


「いいぞ。桐葉の了解は取っている」


 詩冴の頬が、かぁっと赤くなり、視線がうつむく。可愛い。


「ただし、条件がひとつ」


 俺が人差し指を立てると、詩冴は顔を上げて頬を硬くした。


「詩冴は俺の嫁なんだから、桐葉たちだけじゃなくて俺のことを一番に愛してくれな」


 顔の赤みが耳と首筋まで広がり、詩冴はうずうずと体を揺するや否や、目に涙を溜めて抱き着いてきた。


「ハニーちゃん、最初からずっと大好きっす♪」


 詩冴のくちびるが俺を求めて、俺らは深くキスをした。


 ――まったく本当に、こうしていると本気で可愛い美少女だ。


 俺は詩冴を腕に抱きながら、優しく、大事に頭をなでた。


●本作はカクヨムでは275話まで先行投稿しています。

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