ミスコン開催!
翌日の月曜日の放課後。
俺と詩冴は護衛役の桐葉を伴い、クラス代表として学園祭会議に出席していた。
俺と詩冴がクラス代表なのは、警備面は俺が、猫カフェ運営には詩冴が必須だからだ。
俺の護衛役である桐葉も、メニューの材料であるハチミツやローヤルゼリー、プロポリスの提供者という意味では中心人物のひとりだ。
三年生の学園祭実行委員長の生徒が、議題を上げた。
「わかりました。では警備面についてはお任せします。では次の議題に移ります。生徒からの要望で、ミスコンを開催することになりました。こちらとしては、針霧さんには是非とも出席して欲しいですがどうですか?」
「ボクはハニーの彼女だよ?」
「変な意味はないので大丈夫ですよ。ただの美人コンテストです。他にも注目度の高い真理愛さん、美稲さんも参加してもらえると助かります」
「桐葉が出るならウチも出ます!」
2組のクラス代表である琴石が、机に手を着いて立ち上がった。
「王者不在のミスコンなんて仏のいない寺も同然。画竜点睛を欠いてはいけんわ」
琴石は熱弁しながら、桐葉に詰め寄る。
――ライバル視している割に桐葉の評価高いな。いや、ライバル視しているこそか?
ただ、王者不在、という意見には同意だ。
桐葉と美稲と真理愛は、日本の三大美少女確実の三人だ。
実写と言うよりもむしろCG、日本の国民的RPGに出てきそうだ。
人間ていうかエルフや精霊に近い。見たことないけど。
マジで、親の顔が見てみたい。
ちなみに前会った真理愛の母は美人だった。
「じゃあ美稲と真理愛には俺から話を通しておきますけど、強要はできませんよ。恥ずかしがるかもしれませんし、ほんにんの意思を尊重したいです」
「コスチュームはもちろん水着っすよね!?」
「こういう馬鹿が湧くので!」
実行委員の人たちは苦笑した。
一方で、桐葉は無関心な声で平然と答えた。
「そうだね。他人からの評価なんていらないけど、ハニーが出て欲しいなら出るよ」
手で押し戻された琴石は、ちょっと物足りなさそうな顔をしていた。
――俺の気持ち、か。
俺としては、桐葉のことをもっとみんなに知って欲しい。
桐葉は他人の評価何ていらないと言うけれど、俺はみんなにハチの能力は怖くない、桐葉は凄く可愛くてカッコイイ女の子だと思って欲しい。
「じゃあせっかくだし出てくれよ。優勝したら、お祝いしような」
「うん、期待していてね、ハニー」
桐葉が上機嫌に頷くと、彼女の背後で、琴石が顔を輝かせた。
――琴石ってもしかしなくても桐葉のこと好きなんじゃないかな?
◆
会議が終わると、俺らは廊下に出て、教室へ向かった。
みんなと合流して、異能省へテレポートするためだ。
その途中、不意に声をかけられた。
「ハニーちゃん」
俺を呼び止めたのは、詩冴だった。
珍しく真面目な顔で、一切の下心を感じさせなかった。
「キリハちゃんがミスコンに出るなら、シサエたちだけで演劇をしないっすか?」
その提案に、俺と桐葉は顔を見合わせた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
前回の解説の続き
前回は、技術的に可能なのと実際に普及するのは別、というお話をしました。
理由は
(5Gの普及が遅い理由)
・5Gに対応している基地局を作るのに時間がかかる。
・企業側が5Gの準備をしていない。
・4Gでも事足りるから5Gいらない。
本作では、5Gでも事足りているのと、技術的にダイヤモンド半導体は作れるけど、低コストで大量生産できない。としました。
が、
2040年の本作では、大容量のMR・AR技術の関係で5Gでもダウンロード時間がそれなりにあり、一瞬で終了、とはいきません。
なので、5Gでは事足りるわけもなく、6Gは必要とされているはず、と思われるかもしれません。
ですがダウンロード時間がまぁまぁある4Gでも事足りていて5Gがそこまで望まれていない現状を考えると、6Gも望まれないだろうと思われます。
ただし、ハニーくんたちが超能力バトルを興行化したことで、五感情報を伝える超リアルVR観戦のために6Gが超絶望まれるようになりました。




