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論破無双

キャラ振り返り12 伊集院秀介いじゅういんしゅうすけ

 坂東の次に現れた敵キャラ。

 白王学園というエリート学校から転校してきたイケメンでキザったらしい性格。女子が自分を好きになるのは当然という自信家で、真理愛にフラれた時はかなりショックを受けていた。

 真理愛を手に入れるために通り魔を真理愛にけしかけて自分が救う自作自演を行うもハニー君にバレて逮捕される。逮捕後、OUの支援を受けてパワードスーツで終業式を襲い、またもハニー君に返り討ちに遭う。

 日本唯一の予知能力の持ち主でありハニーや美稲、詩冴と同じユニークホルダー。

 世間から最初に四天王と呼ばれたメンバーの一人。のちに失脚してからは、彼の代わりに真理愛が四天王の一員として認識される。

 (真理愛の念写は他にも使い手がいるのでユニークホルダーではないが、世界一の念写使いという意味ではオンリーワンの存在)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 ――死屍累々じゃねぇか……。


 流石は我らの論破王。

 早百合次官と内峰美稲に討論で勝てる人なんてきっといない。


 ――いや、違うか。


 美稲は言っていた。

 論破したければ事実を羅列すればいいと。


 前提条件として、まず俺らは事実に基づいて言動しており、相手は願望に基づいて言動している。


 だから、相手は事実に基づかない願望をでっちあげるための嘘を言う。


 その嘘を証明する事実を提示していけば、自動的にこちらの勝ちになるのだ。


 極論、花瓶を割った犯人の犯行動画を持っている証人VS無実を主張する犯人の対決だ。

 美稲と早百合次官は、常に【事実】の側に座ることで、必勝の力を得ているのだ。

 これほどわかりやすい【正義は勝つ】、もないだろう。


 早百合次官に勧誘されてから、俺の世界は正しく回り始めた。そんな気さえする。


 ――やっぱり、早百合次官には感謝だな。


 俺が幸せを噛みしめていると、廃絶主義者の地糸がハッとした。


「待つんだ。アビリティリーグが犯罪性を助長させる証拠ならあるぞ。今年の五月に坂東亮悟という戦闘系能力者が強姦未遂事件を起こしたじゃないですか。しかも、その被害者は内峰さん、貴方ですよね?」


 ぐひひ、と下品に嗤う地糸。


 きっと、坂東に犯される美稲の姿でも妄想しているんだろう。


 生放送で美稲が男に襲われたことを暴露するクズに、俺は一瞬で血液が泡立つような怒りを感じた。


 美稲の表情が、ほんのわずかに曇った。


 あれだけ恐ろしい目にあったのだから無理もない。


 だけど、ここでキレたら台無しになってしまう。


 俺は努めて冷静に、声を研ぎ澄ました。


「だからこその興行です。坂東は自分が日本経済再生プロジェクトに参加できないことにコンプレックスを持っていました。自分たちの能力には需要がない。そうしたストレスから、ああした行動に出たのです。戦闘系能力者に居場所と仕事を与えるためにも、アビリティリーグのプロ化は急務と言えます」


「はい認めた! 異能者は犯罪をすると認めたな、言質は取ったぞ!」


 まるで鬼の首を取ったように喜びハシャぐ地糸に、俺は頭痛を覚えながら言葉を返した。


「嘘を言わないでください。俺が言っているのは性犯罪者は性欲を満たすために行うから、性欲を解消するためにエロ動画が必要だと言うのと同じです。だからと言って性欲を持つ全ての人類が性犯罪を犯すわけではないでしょう」


「言い訳をするな! それとこれとは話が違う! やはり異能者は全員隔離して子供が生まれないよう去勢すべきだ!」


「異能者が犯罪を犯せば異能者全体が危険、と言うなら非異能者も犯罪を犯しているでしょう。非異能者も全員危険という事になりますよ?」


 地糸が言葉に詰まる。

 確かな手ごたえに、俺は心の中でガッツポーズを作った。

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