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0と1の差

●キャラ振り返り9 龍崎早百合りゅうさきさゆり 

 本作のヒロイン。くりかえす。攻略対象ヒロイン。

 SHUFFLE紅女史ルートみたく短く終わらせたくない。(解る人だけわかってね)

 24歳で高級官僚で日本の将来を憂いて日本を救うために異能部を新設した女傑。

 170センチの長身にロングヘアー、トップバスト100センチ以上の爆乳に爆尻。なお、高校時代は桐葉と同じぐらいのボディラインだったらしい。

 知力戦闘力、人間としての全スペックがカンストしている超人類。

 超能力者ではないが、四天王級の人間性能を持つ。

 他人を貴君と呼び、~~のだ口調。

 常に凛々しく毅然として雄々しい人だが青春欲が強く、ハニーたちに青春イベントを求める。また、24歳だから四捨五入すればハニーたちとタメだから自分を早百合ちゃんと呼ぶよう要求したり、けっこうお茶目な人。

 ちなみに嫁力もカンストしている。

 嫁力の意味は読者のみんな一人一人が自由に考えてください。

 10年後。

娘  「パニ上!」

ハニー「パパとハニーと父上のどれかひとつにしようか」

娘  「マイハニー! 私は将来マイハニーと結婚する!」

ハニー「おい早百合、お前は自分の娘に何吹き込んでんだ?」

早百合「貴君への愛だ!」

―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—

―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—―—

 翌日。


 俺らが総務省に出勤すると、早百合次官からメールを貰った戦闘系能力者たちが続々集まっていた。


 資金が潤沢な他の能力者と違い、仕事のない戦闘系能力者は、ステレオタイプの若者の例に漏れず貧しい。


 以前の俺と同じで、夏休み中の予定はない人がほとんどだろう。


「おう奥井。聞いたぞ、お前らの発案なんだってな?」


 クラスメイトの男子を皮切りに、みんなが俺の元に集まってきた。


 戦闘系能力者とは総務省で働かないので、クラスメイト以外は面識のない生徒ばかりだ。

 でも、全員異能学園の生徒で、向こうは俺のことを知っているようだ。


「俺らの為にありがとうな」

「実は不安だったんだよね。あたしらを入場制限する施設が増えてるし」

「なーんか居心地悪かったよね」

「でも奥井君のおかげで助かったよ」

「いつもお前に頼りきりで悪いな。その代わり絶対に活躍してやるぜ」


 まだ計画が成功してもいないのに、拍手喝采ならぬ感謝喝采の対応に、俺はたじろいだ。

 やっぱり、小市民精神が抜けない。


「よ、よせよ。元はと言えば桐葉のためにって始めたことだし、彼女のためだよ」


 すると、女子たちが黄色い声を上げた。


「ねぇ聞いた? 愛する彼女のためだって」

「奥井君て意外とやるよねぇ」

「ねぇキスした? もう初体験しちゃった?」

「惚れた女のために総務省を動かすなんて、やるじゃねぇか」

 最後にとある男子が歯を食いしばった。

「くっ、これがオレと奥井の違いか……」


 四方八方からこれでもかと褒めちぎられ、照れ臭いやらくすぐったいやらで、今すぐテレポートで家にひきこもりたい気分になる。


「へぇ、ハニーってばモテモテだね」

「桐葉、お前わざと言っているだろ?」

「バレた?」


 悪びれもせず、桐葉は忍び笑いを漏らした。


「ですがハニーさんの行動には大きな価値があります。歴史にIFはありませんが、もしも今後、超能力者が差別されるような時代が来るのだとすれば、ハニーさんは何万人もの超能力者を救うことになります」


 昨日、真理愛は言った。



「0と1の差は大きいですが、1が5や10になるのは簡単です。戦闘系能力者差別の先にあるのは、我々超能力者そのものへの迫害です」



 彼女の言う通り、利権や規制は些細なことから始まり、それを足掛かりにみるみる拡大して、気が付いた時にはとてつもない利権団体や迫害運動に繋がることもある。


 かつて、子供を性犯罪から守るために児童ポルノ法が成立した。


 が、それを皮切りに、何故か漫画やアニメなどのキャラクターであっても18歳未満の性表現は悪だと、セクシーシーンがバッシングされた。


 さらに、セクシーシーンですらない、少女キャラのデザインが巨乳だというだけで悪だとバッシングされ、ついにはイメージキャラに少女を起用することそのものが女性の尊厳を踏みにじる性的搾取で性犯罪紛いの行為であるとバッシングされたらしい。


 戦闘系能力者が危険なら、超能力者全員が危険だ、と考えが飛躍しても、おかしくはない。


 そこからさらに、超能力者そのものが犯罪者予備軍として扱われる未来は、簡単に想像できる。


「では奥井ハニー育雄。皆を地下駐車場へテレポートさせてくれないか。あそこなら炎や電撃を扱っても迷惑にならないだろう」

「構いませんがその呼び方どうにかならないんですか?」


 俺が渋い顔をすると、集まった生徒たちの目が光った。


「じゃあ奥井ハニー、またあとでな」

「奥井ハニーくんの計画が成功するよう頑張るよ」

「あたしたちが活躍して奥井ハニーくん以上のスターになっても恨まないでね」

「愛しているぜみんなの奥井ハニー」

「奥井ハニーくんステキー、ダイテー」


 ――どうしよう、下水道シュートしたくなってきた。


 内なる邪心を抑えながら、うっとうしい蜘蛛の巣を払うようなしぐさで、みんなを地下駐車場へとテレポートさせた。

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