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嘆きの下水道

 神はいない。きっと休業中だ。


 -教えてくれ神、どうすれば良い?-

 もう一度問いかけるが応答が無い。L〇NEの既読スルーなのか未読なのか。


 -ハマー●様、神呼び出し-

 心のままに念ずるが応答が無い。


 神任せにしたのが悪かったとも思ったが、せめて何か道を示してくれても良いものを!


「やるのじゃ!」

ユーマが逡巡している間に幼女が返答。

「承知!」

ゴブリンが石畳を蹴り、跳躍する。

 さながらムキムキマッチョな猟犬が獲物に飛び掛かるような絵面である。

 腰に下げた剣を抜き・・・・・・抜いてない!


 何のための武器か!?

 突き出した左手と振りかぶった右手。

「シエェェアァァァっーーーー!!!」

奇声を上げながら振り抜いたゴブリンの右ストレートがアンデット?を捉える。

「ヴァアアアァァァァァッ!!」

通路の奥の暗闇にゴブリン共々、吹っ飛び消えていく。


 固唾をのんで見守るユーマ達。

「やったか?!」

マウスがフラグを建築した。

「ヴァァァァァアーーーーッ!!」

「やってない! もう一度!!」

暗闇から地獄の叫びが響くと幼女の容赦のないアンコール。

「承知! 首を! グイっと一ひねり!!!」


 バキッ!


 暗闇からゴブリンの実況と何かが折れるような鈍い音が響く。

「そして、引き抜く! デェエェェヤァ―ッ!! これぞ48手奥義が一つネックブリンガー!!」


 ミチミチベキャ!


 イヤな音が響く。

 アクション映画で悪人の首を捻って殺す、あのシーンが脳裏に浮かび、その首を引き千切る凄惨な絵面が続く。

 オレが知っているネックブリンガーとは違うな、とか冷静に考えているユーマの足元に首がすっ飛んできて転がる。

「ウワアァぁ―――――――――――――――――ッ!!!!」

約3人が悲鳴をあげた。

「キャア――――――――――ァァァァアッ!!!!!」

続いてもう1人。


 1人目はユーマだ。

 転がった首が足に当たり、憎しみを湛えた赤い目と彼の目が合ったのだ。


 コロシテヤル・・・・・・赤い目から憎悪のオーラが放たれる。


 予備動作無しにキョンシーのような直立したまま後方数メートルに飛びのく。

 とても人間とは思えない動きと叫び声に恐怖したウリウリが黄色い悲鳴をあげる。


 あと2人、叫び声はゴブリンと首が無くなったはずのアンデットだった。

 マウスを除く全員が恐慌状態に陥り、カタコンベ中に叫び声がこだまする。


+-+-+-+-+-+-+


 小一時間は叫んだだろうか、みな悟りの境地に達したように明後日の方、つまりは斜め45度くらいを見つめていた。

 カタコンベのくすんだ石壁があった。

「いつまで壁のシミを数えとるのじゃ」

マウスがジト目で見ている。そんな気がする。

 ちょろちょろと水が壁を伝い、石畳の隙間に流れ込んでいく。

 その横に転がる暗褐色のアンデットのガワ。

 何のことは無い。アンデットだと思ったソレとかアレは防護スーツに身を包んだ清掃員だったのだ。

 唸り声だと思ったのはスーツについた換気扇。

 七味が必殺のネックブリンガーをかましたところヘルメットがもげた。

 馬乗りになっていたゴブリンを見た清掃員が絶叫。

 首をねじ切ったと思っていた七味も驚愕のあまり絶叫。


 絶叫のコーラスの中、清掃員は防護服を脱ぎ去り、一目散に逃げだしてしまった。

 まるで突風か弾丸のようであった。

「帰ろう・・・・・・」

誰かが呟いた。

「そうですね。また来ましょう」

たぶんウリウリだろう。


 もうヤダ、こんなところ二度と来ない。


 その後、下水に出た怪物の討伐クエストが張り出され、幾人もがカビ臭い下水に潜ったが成果は出なかったという。

扇風機の付いている作業着って涼しいんでしょうか。

業者さんが着てるのを見てて気になって気になって・・・・・・

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