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ユーマ、ミズホに襲われる

『有償ゴッデスポイント102000を付与しました! とても良い調子です! この調子で頑張りましょう!!』

 夜、食後に自室に戻ろうとしたユーマの脳裏にピカ〇ュウボイスが響く。

 ひさしく聞いてなかった気がするポイント付与のお知らせだ。

(へへーっ、ありがたき幸せぇぇ・・・・・・)

 脳裏に語り掛けるピカ〇ュウに返答。


 結局、ハ〇ーン様から借りたドローンはぶっ壊れていた。

 よって19万円をむしり取られたところであった。

 捨てる神あれば拾う神あり、では無いけれど、悪いことのあとには良いこともあるのだ。


(30000で300万円だったから・・・・・・)

 日本円で表してくれたら良いのに、などと思いながらも計算してみる。

「1020万円!?」

 思わず声に出てしまう。

 仮にバイトで1000万円貯めようと思ったら死んでしまうレベルだ。

(ありがとう、天上の神々よ・・・・・・)

 黄金に輝く天使の羽が降り注ぐ錯覚にとらわれる。

 もちろん幻覚であったが。


 いやー、苦労したかいがあったなーなどと浮かれるくらいには、ユーマは現金であった。

 急に足取りが軽くなった気がする。

 それに遭遇するまでは・・・・・・。


「ちょっといいですか!」

 廊下の角を曲がったところでミズホに呼び止められた。

 何やら決意に燃えているのか目つきが鋭く、怖い。

「な、なにか・・・・・・?」

 ユーマは振り返りながら恐る恐る尋ねる。


 何かやったっけ?


 ユーマには心当たりがありすぎた。

 自らの名誉のためにノートには記していないが、無人だと思ったら露天風呂で沈没していたすっぽんぽんのミズホをサルベージしたり、廊下の角で激突した際にたわわなモノを掴んでしまったり・・・・・・。

 あとは、そうだ。

 ウリウリの太ももに(故意ではないが)顔をうずめて寝ていたところを見られているでは無いか。


「んっ!!」

 怖い顔のまま腕を掴まれるとミズホルームに引きずり込まれる。

 や、やばい!

 ユーマの顔に緊張が走る。

「ひぃ、お助け!」

 脱兎のごとく退室しようとするが回り込まれる。


 ガチャリ


 後ろ手でドアを施錠されてしまう。

「ひ、ひえ・・・・・・」

 情けない声を出すユーマを射抜くようなミズホの目が怖い。

「ユーマさん! そ、そのですね・・・・・・! いいこと・・・・・・してあげるって約束を果たします!!」

 どんどんと顔が赤くなっていくミズホが言葉を紡ぎ出していった。

「いろいろとお世話になりましたし・・・・・・その、ウリウリさんのところで、勉強も・・・・・・しましたのでッ!!」

 いいこと、というとゴブリン砦戦の前の口約束のことだ。

 もちろんユーマは了承していないので、一方的な内容だったけれど。


「べんきょー・・・・・・」

 ああ、勉強って朝からやっていた『大人の女子会』とかいうアレのこと・・・・・・。

 とまで思い出した時点で、ユーマは後ずさった。

 そりゃもう、まるでイセエビのように後方2mほどに瞬間移動するくらいには。


 や、やばい。

 絶対ロクな内容の勉強ではない。

 いいことの内容が薄い本参照だ。

 このまま行くと交通事故が起きてしまう!

 ヘタレなユーマは焦った。


「ユーマさん・・・・・・は、恥ずかしいから逃げないでください・・・・・・」

 じりじり間を詰めてくるコスプレ巫女。

 よくよく見るとミニスカートでノースリーブな和服とかエッチすぎないか?!

 いやいや、見えてもいいパンツことスパッツをはいているでは無いか。

 現代日本でも若い子が似たような恰好をしてるじゃないか。


 などと余計な事が頭を駆け巡る。

 いいことがあったと思ったら、すぐこれだ。

「いいことは、いいから。とりあえず、イイってことにして」

 意味不明のことを口走りながら、長椅子をあいだに挟んでジリジリと距離を奪い合う。

「お礼させてください! ・・・・・・恩を受けたら返すのが信条です・・・・・・!」

「いえ! 気持ちだけで結構! 夜も遅いので!」

 なんて面倒な信条なんだ、などとディスるわけにもいかない。

「そ、そうはいきません・・・・・・! せっかくべんきょーもしたんです・・・・・・!」

「絶対変なべんきょーだよね?!」

「だ、大丈夫です! 痛くしませんからッ!!」

 両手を広げてミズホが迫る。

「痛くされる側なんだ?! 予想の斜め上を行っていて、むっちゃこわい!!」

 ジリジリ立ち位置が入れ替わり、ユーマの背後2mほどのところに部屋のドアがある。


 このまま後ろに下がっていってドアを開け、脱兎のごとく駆け抜ければ逃げられる。

 ユーマの頭の中で脱走シミュレーションが組み立てられていった。

「スキあり!!!」

 一瞬、ドアの方を確認した瞬間、ミズホが飛んだ。

 ガオ―ッのポーズのまま宙を舞う。

 すべてがスローモーションのように動いている気がした。


 スキだらけだ。

 きっと横っ飛びに避ければ捕まらないだろう。

 と、思う反面、避けるとミズホが胸から床にダイブすること確定だった。

 たぶん痛いだろうなー、さすがになーと思うユーマは優柔不断であった。

「ぐえーッ」

 顔に柔らかいものが激突する。

 そのまま覆いかぶさるように潰された。

 なにか既視感があった。

 サイズは、かなり違ったけれど。


 ゴンッ!


 ユーマの後頭部が床とキスをして鈍い音を立てる。

 薄れゆく意識の中で悲愴な面持ちのミズホが見えた気がした。

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