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コスプレみたいな巫女さんは好きですか?

 結論から言うとミズホさんは、パーティーメンバーに仮加入することになった。

 なった、というのはユーマの意志はほぼ介在しないからだ。

 正直、眉間にシワが寄った。

 そりゃもうかなり寄った。


 なんせ借金とやらの額が金貨50,000枚だったからである。


 冗談では無い金額。

 何をしたらそんなアホみたいな金額になるのか。

 金貨1枚で日本円換算1000円だ。


 つまり借金5千万円。


 16歳のうら若き乙女が5千万の借金。

 しかも毎月の返済が遅れると裏社会のおじさん達にドナドナされるという危険が伴うという。

 何度か遅れているが、幸いドナドナされてはいないらしい。


 甘いのか?

 ユーマは訝しんだ。


 結果的にユーマは渋い顔をしたまま固まった。

 そりゃもう初めて梅干を食べた時並みに渋い顔をしていた。


 狡猾な彼は、自分たちも巻き込まれるのでは、と恐怖を感じたのだ。

 金の貸し借りほど怖いものは無い。

 異世界に来てまで、生臭いものを手元に置きたくない。


 よし! やはり、ここは心を鬼にしてお断りいたそう。


「なるほどなるほど! 我らに任せるのじゃ!」

横でドラゴン幼女のマウスが無い胸を張り、ふんぞり返る。

 腕組みをし、鋭い眼光にはトラブルを求めるハンターの光が宿る。


「ふふふ、ミズホ殿。ご心配召されるな。その問題、我らが解決してしんぜよう!!」

仮称 コスプレ巫女ミズホが、身の上話をはじめると俯いたまま無言になったゴブリン闘士の七味。

 突如、彼は腕組みすると不敵に笑いだした。

 てっきり、うたた寝をしていたのかと思ったのだが・・・・・・。


 ここでユーマに焦りの色が浮かぶ。

 いかん、こいつらトラブルにはお金を払ってでも突っ込んでいく真正のヘンタイどもだった!

 ちなみに払うお金はユーマのポケットマネーに他ならない。


 とりあえず阻止せねば!

 ユーマの脳が人生で5回目くらいの超過駆動する。


 なにか・・・・・・!

 なにか無いか・・・・・・!?

 それっぽく無難にお断りする方法は・・・・・・?!


 あった! あったぞ!

 とりあえず両者の顔を立てつつ、後ほどしれっとお断りする手段が!!

 本意では無いがやむを得ない。


「ううん。まあ、色々と複雑そうなのは分かったよ」

ゆっくりと、まずは歩み寄る姿勢を見せる。

「オレたちはキミのことを詳しく知らない。どうだろう、しばらくは仮という形で・・・・・・」

いわゆるお試しというヤツだ。

 お試し期間にヤバいと思えばリリースすればよい。


「ありがとうございます!!」

コスプレ巫女ミズホは、ヒマワリが咲いたみたいな笑顔を見せる。

 そして、すぐに恥ずかしそうにモジモジしだした。

「あ、あのお部屋お借りしたいなって・・・・・・お代は体でお支払いしますので」


 いかん、ヤバいぞ、この少女!

 ウリウリと同属の気配がする!


「馬車馬のごとく奮戦いたします!! こう見えて腕っぷしだけはあるんです!!」 

ユーマは卑猥な思考に走りかけた自分に戦慄する。


 少女は健全であった。

 不健全なのは自らであったのだ。

 いつからだ?! いつからこんな歪んだ思考になってしまったのだ?




「―――ということでよろしいかな? ユーマ殿?」

ユーマが歪んだ己と戦っている間に話が勝手に進んでしまった。

 前も似たようなことがあったぞ?


「ふむ。要点をもう一度聞かせてくれ」

いかにもな顔をして、七味にまとめ情報を要求するユーマはやはり歪んでいた。

「我に任せるのじゃ!! よいかユーマよ! 耳をかっぽじってよおく聞くんじゃぞ?」

最近マウスの言動が俗物っぽくなっている。

 きっとウリウリから借りている本のせいだろう。

 などと思いながら傾聴する。


「まず、こやつミズホはこの屋敷に住まわせるのじゃ! お代は体で支払うのじゃ! 馬車馬のごとくビシバシ働かせるのじゃ!」

文字通りだったがブラック企業感が半端ない。

「次に仮パーティーメンバーなのじゃ! 我らと同じ扱いなのじゃ! 仮って名前がついてる馬車馬なのじゃ!!」

かなり意味不明である。


 人権どこ行った。

 同じ扱いなのに馬車馬とはどういう事なのかサッパリ分からない。


 ユーマは首を斜め45度に傾け始める。

「続いて、ミズホに借金を背負わせた不埒モノをブチのめしに行くのじゃ!」

モンスタークレーマーじゃないか!!

「すまん。全然わからん」

首を垂れると唸った。

 まるでゴリラの唸り声のようだった。

「すみません・・・・・・」

何故かコスプレ巫女ミズホがバツの悪そうな顔をする。


 まとめたヤツが悪いのか発信元が悪いのか、この際どうでも良かった。

「分かった。じゃあ、こうしよう。キミに部屋を貸す。しばらくは仮メンバーってことで、その間は労働力で対価を貰おう。正式にメンバーになったらこの決まりは無しだ」

とりあえず頭が痛くなってきたので、取り決めを行う。

「そして、キミに金を貸した連中に会いに行こう。いくら何でも金貨50,000枚は意味不明だ」

金貸しという名のトラブルに首を突っ込みたがっていた2人が満足げにうなずく。


「うむうむ。さすがユーマ殿。武の心を持っている」

「それでこそ戦士の心意気じゃ」

ため息が出そう。


 出そうになったため息を飲み込み、言葉を続ける。

「借金問題がいい方向で決着したら、メンバーに迎え入れるか決めよう」

いい方向とは何か。

 何なのか分からないが、平和的な何かだ。

「これで良ければ・・・・・・」

「はい! よろしくお願いします!!」

言い終わる前に元気な返答があった。


 イノシシみたいな子だなぁ。見た目は清楚系でおとなしそうなのにとユーマは頭のてっぺんから足の先まで見つめつつ思う。


「それと。キミの服装をどうにかしよう。まるでコスプレだ」

「こすぷれ? なんですか、それ?」

ミズホは聞きなれない単語に首を傾げる。

 黒髪のおさげが揺れる。


(ハ〇ーン様助けて・・・・・・!)

メンドくさくなったユーマは神に頼る。

 ドラ〇もん的な解決をしてくれるだろう。そうだったらいいな。


『自らの力で解決せよ』

即反応があったがハ〇ーン様ではなく、ピカ〇ュウボイスの担当神だった。

『おまえはまだやれる。おまえはおまえの力を信じるのだ』

硬めのセリフだが、声はピカ〇ュウである。


 ああ、なんて世界だ。

 ユーマは天を仰ぎ見た。

 あ、天井にクモの巣が・・・・・・。

お待たせしました!

更新です。


ちなみにミズホさんの服のイメージは「巫女 ミニ袴」で検索したら出てくるような俗物っぽいやつです。2話後くらいに普通のに戻りますけど(この作品の普通は普通ではない)


いつも閲覧、コメント、ブクマありがとうございます!!

気軽にコメントでこういう展開とかキャラ出ないのー?とお書き頂くと実装されます。

大量に来ると順次()

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