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ししゃそせい

『神々は言っている。まだ死ぬ定めではないと』


 ピカチ●ウの声で目が覚める。

 確かギルド的なアレを探しに行って・・・・・・もしかして寝落ちしたのか!?

 ユーマは痛む鼻をさすりながら起き上がる。

 そこは簡易的な木のベッドで、壁には十字架っぽい何かが掛けられている。

 爽やかな夜風が窓から吹き込んでいた。

 どこかの宿屋だろうか、いくつもベッドが並んでいる様子から6人部屋の病室みたいだ。

 気配を感じ、振り返るとベッドの隅に緑色の何かが見える。

 恐る恐る覗き込んだユーマは、それが日中にみた幼女だと気付く。

 首から看板を下げ、正座した幼女が舟を漕いでいた。


 “わたしがヤりました。マウス”


 よみがえる記憶、ではなく脳裏に飛び掛かられ、馬乗りになる幼女と微動だにしない自分、慌てて駆けつけてくる職員さんの様子が1カメ、2カメ、3カメといった視点で再生される。


『無償ゴッデスポイント200を消費した。残り100だ、心して使うように』


 なんということでしょう! 勝手に映像が再生してポイント200、つまり2万円も取られたのだ!

 無慈悲なハ●ーン様に戦慄。

 寝こけている幼女をシバこうか、とも思ったが大人げないなと思い直す。

 そして、今できる最善は惰眠を貪ることだ。


 今日は便座の上で寝なくて済む、手放した意識の中、ユーマは安堵の息をついていた。



 -ダメかもしれません-

 -そんな・・・・・・。冒険外で命を落とすなんて事はさすがに-

 -微動だにしないんです。死んでしまったものは手の尽くしようが・・・・・・-


 何か近くで男女数人の話し声が聞こえる。


 -わ、我が殺してしまった、というのか・・・・・・?-

 -か、どうかは分からないんです。見てください。きれいな顔をしてるでしょう?-

 -う、うむ・・・・・・-

 -これで死んでいるんですよ。・・・・・・たぶん-


 爽やかな風が窓から吹き込む。


 -まるで寝てるような顔ですよ? シスター、ほんとに亡くなってるんです?-

 -呼びかけてもくすぐっても微動だにせず、回復の術も効きませんでした-


 誰のことを言っているのだろう?

 そう言えば他にもベッドが5つほどあったな、と思いだす。

 なるほど、寝ていた部屋はハロワもとい職業案内所の休憩室だったのか。

 負傷するとベッドに搬送され、シスターの治療を受けられる。と。


 どうやら誰か負傷して運び込まれたが、手遅れさんになったらしい。

 世知辛い世界だ。

 ネタのために冒険者になるのはやめた方がいいかもなぁとか思い始める。


「起きるのじゃ!! 我のkillカウントを増やすで無い!!!」

 かわいい系の声が聞こえる。

 そして突如、右頬を思いっきり張り飛ばされた。

「ギャアアッ!!」

 ユーマは悲鳴を上げながらベッドから転げ落ちる。


「い、生き返った!!」

「奇跡です! 神よ! ありがとうございます!!」

 驚きの表情を見せる角刈りの職員らしきオッサン。

 跪き、天上の神に祈りを捧げるハレンチなスリット入りの法衣姿のシスター。

 やらかした、という顔をしている『わたしがヤりました』の幼女。


「死んでねぇ!!!」

 ぶたれた右頬を押さえ、ユーマは激怒した。

 かの邪知暴虐な幼女をシバかねばならぬ。

 寝起きのユーマには事情が分からぬが、やられっぱなしは性に合わない。

 ユーマは腕を振り上げると唸りをつけて、幼女のアタマを引っ叩いた。

「いったぁ!! おのれ人間!!」

 幼女がユーマに飛び掛かる。


 他の職員や衛兵が駆け付けるまでの間、2人は大いに引っ叩きあった。

※ 死んでません

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