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ゴッデスポイント〜トイレから出ると異世界でした~  作者: 柱島
都市ロッテンハイマーに住もう
33/89

ユーマ、家を買う

「ご覧くださいお客様! こちらリビング2つ、個室11部屋に夢と希望の埋まった裏庭もとい耕作地付きの一軒家! お値段何と金貨1200枚!! 超お買い得です!!」

身振り手振り、大げさなリアクションを取る商人のおじさん。

 その頭頂部が太陽の光を反射する。


 日を改めたユーマ達一行は旧市街のはずれの空き家を見に来ていた。

「おんぼろじゃ」

「幽霊屋敷ですかな?」

「そそりますね!!」

三者三様、手入れが行き届いていないおんぼろ屋敷を見上げ呟く。


 昨日、マウスが不法占拠している一軒家もとい農民の空き家を見て絶句した。

 そして七味の住まいを見せてもらおうとしたところ、案内されたのは橋の下だった。

 ユーマが膝から崩れ落ちたのは言うまでもない。

 前々からお金の持ち合わせは無いし、常に腹ペコだし、公衆浴場に連れていかないとクサいし、と謎が多かったがホームレスであったのだ。


 “我が一族は戦功を上げた者には住居、家財が与えられる”とか何とかゴブリン闘士としての矜持を語られたが、知ったことではない。


 ウリウリは教会に住んでいる上に本人が名義人になっているという不思議。

 確か彼女は18歳では? と思ったが異世界である。

 そういう事もあるのだろう。

 とにもかくにも自宅らしき自宅が無いのが、4人中3人となればやる事はひとつだ。


「相場としては安いんですか?」

町の不動産情報には疎いというよりサッパリなユーマが尋ねる。

「ええ、旧市街のはずれ。かつ手入れが行き届いていないため格安ですよ!!」

「床が抜けるんじゃろ? 我は詳しいのじゃ」

煤汚れた窓から中を覗くマウスが呟く。

 かつては住民がいたらしいが、空き家になって久しい。

 手入れが行き届いていないなら床が抜けても不思議ではない。

「いいえ、そのような事はございません。何故なら使われている木材は精霊樹! 経年劣化で割れたりはしない魔法の木です」

「亡霊の類が出るのであろう?」

謎の高級素材が使われているため木造部分は劣化しないそうだ。

 ユーマが不思議そうな顔をする横で解錠されたドアから七味が薄暗い廊下を覗く。


 肝試しと称して探検するような廃ホテルとか廃病院とかそんな雰囲気の家である。

 とりあえずは破損した調度品が転がっていたり、ということは無いが不気味な薄暗さであった。

「鎧戸が閉まっているから薄暗いだけです! 出ませんよ亡霊なんて」

金縛り体験が出来そうだと嬉々としていたウリウリが落胆する。


 ホコリや煤汚れこそ目立つものの建物としては頑丈そうである。

 鎧戸を開けると南向けだけあって日当たりは良好だった。

 ただし手入れの行き届いていない庭は草がボウボウに茂って未開の地のようだ。

 木の床も掃除さえすればそれなりにキレイにはなりそうだし、各部屋が6~8畳程度の広さがあり悪くは無い。

「悪くは無い。しかし手入れが行き届いていないから安くしてくれないか?」

値切れそうな買い物は値切るのがユーマである。

 誰に何と言われようとも値切りに執念を燃やす男であった。

「例えばおいくらくらいで?」

商人のハゲ頭がキラリと光る。

「金貨800」

「ダメです」

ユーマは狡猾な男である。

 まずは破格の80万円で吹っ掛ける。

 一軒家を80万で売る輩はいないだろう。とてつもない田舎でない限り。


「金貨900」

「ダメダメ。金貨1100」

少し上げて吹っ掛ける。

 これに対して商人が渋い顔をするが提示金額が下がった。


 マウスは家の中の探索に出掛け、保護者代わりにウリウリが同行していった。

 ユーマと商人のチキンバトルを七味が見つめる。

「金貨950。手入れにも金がかかる。これでどうだ? 即金で払う」

少し金額を上げて交渉をするが、元々金貨1000枚は出す気である。

 先日、日本円305万円分のポイントを手に入れたので強気であった。


「そうですねぇ・・・・・・金貨1050! これならお売りしましょう」

ポンと手を打つ商人。

 頭の輝きが鈍くなっていた。

「金貨1000! これで即金だ!」

ひそかに口元が形よく歪んだユーマが畳みかける。


 実のところ長年買い手がつかない空き家情報は把握済みであった。

 ロッテンハイマーの不動産屋は空き家を買い上げて、買い手に転売するだけだ。

 空き家の管理はしていない。


 維持費は掛からないが、ものによっては経年劣化するし、汚れたり草ボウボウになったりして価値が下がっていく。

 町中の物件価格は本当に知らないが、さっさと売ってしまいたい物件情報は掴んでいた。

 分割では無く100万円をポンと即渡しである。

 魅力はあるはずだ。


「1000・・・・・・1000ですか。そうですね、1000・・・・・・」

買い手がつくか分からない資産を寝かすか金貨1000枚で手放すか商人の心は揺れていた。

「ここに。金貨1000枚が」

ユーマがヒイヒイ汗水垂らしながら持ち込んだ取っ手付き木箱を目の前で開封する。


 黄金の輝き。

 商人の目がくらむ。


「分かりました! お売りしましょう!」


 商人から証書とカギを受け取り、代わりに旅立ってゆく金貨1000枚入りの木箱。

 ヒイヒイ汗水垂らしながら商人が立ち去っていく姿を見送りながら満円の笑みを浮かべるユーマがいた。

 これでログハウスのようなカワセミ亭に寝泊まりしなくて済むし、場合によっては公衆浴場通いしなくても良い。

 空き家の不法占拠でマウスがしょっ引かれる可能性も無いし、七味が香ばしい香りを放つことも無くなるだろう。

 ウリウリも同居するのかは未確認だが、ひとまずはメリットしか見当たらない。


「掃除という問題があった」

買ったばかりの幽霊屋敷のような佇まいを振り返り、思い出した。


 そう、ホコリと煤、草がボウボウという問題があったのだ。

一軒家が100万円で買えないでしょー?! と思いますよね。

奈良県吉野山とかだと100万円で買えたりするんですよ。

まぁ、コンビニまで徒歩1時間とかの魔境だったりするんですけどね・・・・・・。


ところで引き続き、皆様からのコメントをお待ちしています!

・こんなクエストやってよ

・俺の作ったアイテムを使え

・こういうキャラいないの?

・私を登場させろ!!

などなど気軽にお書きください。


ちなみに18禁内容の場合はifストーリーになる可能性があります。

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