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適当に相槌を打っていたら事故った話

 戦いたくは無いが、話のネタにちょうどいいと思っていた石のドラゴン。

 とりあえずストーンドラゴンというべきか、ドラゴンゴーレムというべきかは、ユーマが居ぬ間に爆砕されてしまったという事実だけが伝わった。

 なんという事でしょう!! それではオレは何を話のネタにすれば良いのか。

 ユーマは愕然とした。

 このままでは謎の遺跡から南国の島にやってきて、異世界の冒険者と出会ってキャッキャウフフしただけになってしまう。

 ユーマは考えた。

 うんと考えた。

 頭から湯気が出るくらい考えた。

 そして、はたと手を打ったが何も思いつかなかった。

 こうなったら妄想の中で、ストーンドラゴンだかと激戦を繰り広げたことにしようかとも考える。

 もちろん妄想の中だけなんでキワドイシーンやちょっとアダルティなシーンを挟んでも良かろう。

 ユーマが知る限り、古今東西の神々は大体俗物だ。

 愛憎劇やドロドロの昼ドラよろしい逸話なんてチャメシなんとやらだ。

 ならば、

「で、マタンゴのバケモンに絡まれているコイツと出会ったってワケ。な?」

 肩をポンと叩かれ現実に引き戻される。

「あ、ああ。キノコのバケモノに集られていたところを助けてくれたんだ」

 ユーマが妄想の世界に旅立ちかけている間に話が進んでいたらしい。

 どこまで進んだのかとんと分からぬ。

 分かったような顔でうんうん頷くが全く話が頭に入ってこない。

 再度、妄想のストーリーを考え始める。

 とりあえず聞いているフリだけしておこう。

 ユーマはいい加減な男だった。

「さすがユーマじゃ! して、どこかに良い店の心当たりがあるのじゃな?」

 うんうん。

「え、でも、そんな悪いよ。宿代も出してくれてるし・・・・・・」

 うんうん。

「くれるっつてんだ。こういうときゃ、ありがたぁく頂戴するってのが逆に良い心配りってヤツだぜ?」

 うんうん。

 んん?!

「さあユーマよ! ふぁっしょんとやらを楽しみに行くぞ!!」

 キュー●ーたらこ1号が勢いよく立ち上がる。

「え? なんだって?」

「服を買いに行くのじゃ!!」

 キュー●ーたらこ1号もといマウスがケラケラ笑う。

「ごめんね、ありがとー」

 妄想から現実に帰ってくると買い物に行くことになっていた。

 財布役がユーマで、少女2人の破れた衣服を新調することになっていた。

 ぬかった!! ユーマは崩れ落ちた。

 適当に相槌を打ったことを悔やむが、時は戻らない。

「どった? 足がしびれたんか?」

 リュオが引き起こしてくれる。

 ゴツゴツした苦労人の手だった。

 狡猾な男であるユーマは即座に計算し出す。

 その間、実に0.8秒。

 店売りの服を買うかゴッデスポイントを衣服と交換するか、どっちが安いかだ。

 UNIQL●とかしま●らなら服も安く手に入るだろうが、ここは異世界である。

 UNI●LOとかし●むらがあるわけは無い。

 つまり服は高いのだ!

(ハ●ーン様、ポイントを服とか装備とかと交換したい)

 スクっと立ち上がったユーマは両手を広げると声高らかに呼びかけた。

「実はオレは服や装備を生成できるんだ」

 先日、リディアにあげた日記帳を生成できたのだ。

 装備や服を生成できない訳が無い。

 午前中の出来事をキャンパスノートに記載済み、つまり無料ログボもとい無料ゴッデスポイントが付与され済みである。

 勝ったな!

 ユーマは謎の勝利を確信した。

「ええ?! おめぇ錬金術師かよ。すげぇな」

 リュオが目を皿のようにして驚嘆の声を上げる。

「ユーマよ、いつからそんな力に目覚めたのじゃ・・・・・・」

 巻き付けられたカーテンを脱ぎ捨てたマウスがジト目で見てくる。

「え・・・・・・じゃあ、こんなの作れたり、するかな・・・・・・?」

 リディアが自身の太ももを指差していた。

 その先にあるのは破れて伝線したみたいになっているスパッツだった。

「うむ」

(ハ●ーン様、黒色スパッツ5分丈。スポーティーな感じのヤツが欲しい3枚セットで)

 沈黙。

『よかろう。MADEinJapan製のものを3枚出す。5ポイントを消費する。残り495ポイント、心して使え』

 ユーマの両手が神々しい光を帯び、そして外装パッケージ無しの衣類が現れた。

 神々しい光の残照が残る中、ユーマの差し出したスパッツ3枚セットをうやうやしくリディアが受け取る様は絵面的には戴冠式だった。

「ちょっと履き替えてくるね。ありがと!」

 キュー●ーたらこ2号もといリディアは、そう言い残すと隣の部屋に消えていった。

 3枚500円は安いのでは? 安物? ド●キの特売?

 すぐ破れるんじゃ・・・・・・ユーマはやや不安に駆られるが、行く末を見つめ続けるわけにはいかぬ。

 何故ならここは、異世界の異世界。

 つまるところ帰らねばならぬからである。

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