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ワウチ帝国皇帝ナバルとキグスタの対峙(2)

おはようございます

 俺は、このクズ皇帝が最終的にはナントカ将軍のように、哀れな姿になる未来が確定しているのだぞ、と言う意味を込めて、将軍を睨みつけた。


「我が君、流石でございます。なかなかの演出ですな」


 少々恥ずかしかったのだが、ヨハンが小声で褒めてくれたのが救いだ。

 これで、ガーグルさんの指摘の通り、俺達の方が圧倒的に上の立場であると理解させる事ができただろうか?う~ん、自信がないな。


 そんな事を考えていると、流石は武装国家の皇帝がいる場所だけあって、あちらこちらから見た事もないような武器や、薬品の様な物まで持った者達が続々と集結してきた。


「貴様はこのワウチ帝国の皇帝である私に暴言を吐いたのだ。まさかこのまま無事に帰れるとは思っていないだろうな?」

「思っているに決まっているだろう?と言うよりも、長く恐怖を感じさせるために、わざわざ一旦引いてやると言っているのだ。だが、ヨハンの力のほんの一端だけを見せても信じる事が出来なかったようだな。仕方がない、お前でもわかるように、わかりやすい力を見せてやろう」


 え~っと、今開いている超常の者達の中で一番恐怖を煽れるのは……アクトかソレイユか。


 見た目で威圧を与える方法か。そうすると、見た目は美人だがソレイユに頼むか。

 なんて言ったって、獣神だからな。


 この皇帝ができる訳がないと言い切った、高ランクの魔獣の制御を見せるのも良いかもしれない。


「来い、ソレイユ!」

「お待たせいたしました、我が主」


 すかさず現れる超常の者。

 本当、どうやってあっという間に来ているのか。常に俺の動きを把握していないと、こうはならないと疑問に思っていたので、以前に聞いてみたところ、<統べる者>の力で召喚されていると言っていた。

 どうでも良いな。


「こいつらは、グリフィス王国に侵攻しようとしていたクズの幹部達だ。そして、正面に座っている偉そうなのが、その親玉だな。今までの話で、こいつらと和解だけはできない事は確定している」


 美しい銀髪を揺らしつつ、殺気を込めた目で皇帝のナバルを睨みつけるソレイユ。


 それだけで、この場にいるワウチ帝国の全員が尻込みしてしまった。


「こいつらは、俺達の力の一端を見ているのだが、未だに抗えると勘違いしているらしい。そこで、ソレイユの力を使って、こいつらを恐怖のどん底に落としてもらいたいのだ。できそうか?」


 俺にお願いされた事が嬉しい!という気持ちが<統べる者>により、伝わってくる。


「お任せ下さい、我が主。恐れ多くも、我が主のお力を甘く見るなどと言う愚挙、二度とできないように、対処させて頂きます」

「頼もしいな。それで、どうする?」


 実際、俺は高ランクの魔獣を呼び出してもらえば良いと思っている。


「それでは、この居城周辺一帯を龍の生息域と致しましょう。そうですね、炎龍、氷龍、風龍、雷龍、土龍でいかがでしょうか?」

「そ、そんな伝説級の魔獣を複数生息させるだと?ふざけるな!そんな脅しに屈する我らではない!!」


 カンザやソレッド王国の愚王と同じレベルなのだから、即座に喚く事くらいは想定済み。

 いちいち相手にしないで、放っておこう。


 だが、龍か。それも、属性を冠する龍であれば、伝説級であるのは間違いない。

 そもそも、誰も見た事がないと言われている程だ。


 普通の龍一匹でさえ、場合によっては国家の危機と言われているのだから、悪魔の王と同じレベルとして考えていいのかもしれない。


 当然、皇帝のナバルが脅しと言い切るのも理解はできなくもない。


「それで頼むよ。ところで、俺は龍について何も知らないんだけど、召喚された龍達は、どこでどうやって寝るの?」


 なぜか、ナバルの表情が、“はぁ?”みたいになっている。

 だって、気になったのだよ。空を悠々と泳いでいるイメージしかないから。


「我が主、今回召喚する龍であれば、自らサイズも変えられますので、それぞれの個性によると思いますが、地上で休む個体もいれば、魔力を使用し、上空に留まって休む個体もおります」

「そうなんだ。ありがとう」


 ソレイユは、俺のくだらない質問にも丁寧に回答してくれた。よしよし、これで心にモヤモヤを抱えずに済んだ。


「じゃあ、早速やっちゃってくれるか?」

「承知いたしました」


 ソレイユの発言と共に、今まで十分日光が届いていた謁見の間が、急に薄暗くなった。

 窓際に配置されていた衛兵も、突然明かりが来なくなった事に不安を感じて外を見た瞬間、悲鳴を上げて腰を抜かしてしまった。


 なんだかんだ、既に俺の力を認めるしかないカンザも、しゃがみこんで震えている。

 頭を抱えたい所なのだろうが、既に抱え込む両腕がないので、しゃがむしかないのだ。


 そんな衛兵達やカンザ、そして、相変わらず震え続けているナントカ将軍を見たナバルは、玉座から立ち上がり、窓に向かう。


「そんな馬鹿な!!こんな事があってたまるか!!」


 流石は腐っても皇帝。

 腰を抜かす事はない。悲鳴は上げているが……


「だから言っただろう、俺達の力を甘く見るな、と」

『我が君、そのような事、仰っておりません』


 スライムを通してヨハンから突っ込みが来たが、既に言ってしまったものは仕方がない。

 それに、あいつ等はそんな事が分かるような精神状態ではないだろう。


 ヨハンに苦笑いを返し、そのままナバルに向かって話を続ける。


「ヨハン様。そんな事は今重要ではありませんよ!」

「むっ、またやってしまったようですな。まだまだ勉強不足」


 こんなやり取りをしているヨハンとソレイユを無視して、皇帝を睨みつつ話す。

 とは言え、皇帝は窓の外を見続けているので俺の視線には気が付いていないが、ガーグルさんに教わった、立場をわからせる手法を実践しているつもりだ。


「おいナバル。お前は、この俺が帝国の防壁外周を魔獣で覆うと言った際に、そんな事はできないと言ったな?」


 言ったよな?少し不安になって、ヨハンを見ると、頷いているので大丈夫だろう。


「だが、現実を見ろ。これでも力のほんの一端だ。俺達はこのまま一旦帰還するが、しばらくは伝説の龍の力に怯えて暮らすんだな」


 聞いているのか、聞いていないのかわからない皇帝ナバル。

 だが、言うべき事は全て言ったので、とりあえず帰還しよう。





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先程続きを投稿させて頂いた


俺は副ギルドマスター補佐心得…


https://ncode.syosetu.com/n5874gy/


コードが n5874gy オハナシ こちらも一読いただけると嬉しいです。


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