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キグスタ、グリフィス王国で活躍する

 グリフィス王国から直接依頼を受けたキグスタ。

 その内容とは、ソレッド王国の状況確認と、外敵対策の防壁の作成だ。


 グリフィス王としても、ソレッド王国に所属していた時代からワウチ帝国の動きは把握している。つまり、犬猿の仲という事だ。

 とすると、当然今回の軍が壊滅的な被害を受けた事が知られれば、ソレッド王国に攻めてくるだろうと言う事も把握している。


 その後に、独立を宣言したグリフィス王国にまで攻めて来るかは未知数だが、念のために防御力を上げておこうと動いたのだ。


 グリフィス国王としては、最強の力を持っているキグスタが自らの国家に所属している事により、余裕を持った行動を取れるようになっていた。


 独立宣言に関しても、キグスタの力が無ければ成し得なかっただろう事は理解している。


 それ程の信頼と期待を受けたキグスタにとっても、信頼できる元辺境伯であり、新国家の国王として必死で政務を行っているグリフィス国王の姿を見て、力を貸す事に異論はなかった。


「キグスタ殿、何やら国家の揉め事に巻き込む形になって申し訳ない」

「いえ、お気になさらずに。ガーグルさんからもお願いされている事ですから」


 キグスタは、当初国王であるグリフィスからキグスタ様と呼ばれていた。

 だが、キグスタの立場からすれば、こんな呼び方は過剰であり、気後れするので、必死で頼み込んで変えてもらった経緯がある。


 こんな経緯から、キグスタは元辺境伯領地三か所について、防衛力を高める事にした。

 キグスタ本人としても、すっかり自分の家として定着しているクララの家もある訳で、防御力を高める事には大賛成なのだ。


 いや、むしろ、以前から必要性を感じていたのだ。

 今回、国王からの正式な依頼としてギルドを通して受託したため、堂々と作業ができるので嬉しかったのだ。


 もう一つの依頼であるソレッド王国の現状確認については、グリフィス国王自体の間者も当然王都に存在してたのだが、ワウチ帝国の動きの関連から全て引き上げさせたため、最新情報を得ようと依頼されたものだ。


 こちらについては、アクト直下の分隊に任せる事にした。

 彼等はギルドの受付をしている精霊王ミルハと同格であるが、こちらに顕現せずに異空間で待機している時間が長かったので、今回の依頼を受けて喜び勇んでソレッド王国に向かって行った。


 とは言え、アクト直下のメンバーは三人なので、残りの面々は未だ異空間に残り、地上の動きを眺めているだけになっているのだが……


 こうした状況をヨハンから聞いたキグスタは、残りの八人を、今回の防御力強化の作業のために呼び寄せる事にした。


 アクト、ハルム、ソレイユ、ソラリスの下に各三人所属している面々。

 アクト直下の面々は既に王都に向い、ハルム直下のミルハは既にギルドの受付として活動している。


 その為、残りの八人がキグスタの呼びかけに応じて顕現し、今か今かと命令を待ち望んでいた。


 それぞれの神の直下であるが故、その神の最も得意とする能力に長けている面々。


 死神アクト所属は、生と死を司り、隠密行動にも優れている。

 獣神ソレイユ所属は、魔獣を司り、テイムや召喚能力に優れている。

 武神ソラリス所属は、武術を司り、武具の生成も得意としている。

 精霊神ハルム所属は、精霊を司り、精霊の力を借りて力を行使する事に優れている。


 キグスタとしては、防御力を上げる事に異存は一切ないので、魔法攻撃、物理攻撃、更には入国時の検閲に関しても対応できるようにしたかった。


 そして集められた面々を見ると、この厳しい条件でも楽々達成できそうだと確信した。


「みんな、急に呼び出してごめん!」


 キグスタの前に跪いている面々を前にして話を始める。

 キグスタは、始めに急な召喚に対してのお詫びをしていたが、呼ばれた方としては、キグスタの為に動ける事が嬉しくて仕方がないのだ。


「これからグリフィス王国の防壁の強化、そして入場時に悪意がある者の入国拒否ができるような物を造りたい。無理のない範囲で作業にかかって欲しい」


 至高の主であるキグスタからの命を受けて、感動しつつ再び頭を下げる面々。

 代表してヨハンが回答する。


「我が君。全て我らにお任せください。防壁に関しては誰の力を使っても問題ないでしょう。入国時のチェックは、ハルムとその配下に任せましょう」

「ああ、任せるよ。宜しく!」


 その言葉を受けて、配下の者達はヨハンを除き一斉に散開した。

 ヨハンはキグスタの執事として付き従っているので、この場に留まっている。


「我が君、おそらく彼らの張り切りようから、今日中には完成してしまうと思われますが、グリフィス国王への報告はいかがいたしましょうか?」


 普通の工事であれば数年単位で動かす必要があるのだが、彼らにかかればその程度なのだ。

 改めて凄まじい力を持っていると感心しつつも、キグスタはヨハンに回答する。


「一応連絡は入れておかないとダメだろうな。きっと驚かれるだろう。とすると、少しでも長く見知った人から話を聞いた方が驚きは少ないか??……よし、ミルハに連絡して、そこからガーグルさんを通して報告しておいてくれるか?」

「承知いたしました」


 こうして、受けた依頼を即日完了してしまうキグスタ一行。

 グリフィス王国やギルドマスターのガーグルにも認められ、王国内で最も強く、信頼できる冒険者として認知されてきたキグスタ。


 そんなキグスタに、不要なちょっかいをかけるような人は、この国には存在していなかった。


 当然、何の障害もなく防壁は完成し、ハルムの力で、精霊による入国チェックが行われる事にもなった。


 普通の門番や冒険者が精霊を認識する事はできないが、精霊がその場に置かれた水晶の色を変える事により、門番に入門しようとしている面々の危険度を表す事にしたのだ。


 そのような事ができるとは思ってもいなかった国王やギルドマスターも、その事実をその目で確認しようと、わざわざ門までやってきていた程だ。


 残念ながらその日は水晶の色は全て青色になっており、危険度が高い者が来る事はなかったため、残念そうに帰って行ったそうだ。

 だが、水晶が青色に変色することは確認できているので、キグスタに全幅の信頼を置いている二人は、その機能に疑いをかけているような事はない。


 むしろ、国民の安全が高まったと喜んでいたのだ。

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