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カンザと三人の決別(1)

今日は少し短いので、夕方もう一話投稿させて頂く予定です

 反抗的な態度から、下級悪魔より強烈な指導を受けているカンザ。

 そして、それを見て震えるホール、リルーナ、フラウの三人……と言う、相変わらずの様相ではあるが、話が進まないのでキグスタが再びカンザに話しかける。


「カンザ、よく聞け。既に何回も言っているんだが、今の俺の力は、お前がさんざん馬鹿にしたスキル<統べる者>によるものだ。お前が悪魔召喚をできるとは思ってもいなかったが、はっきり言ってその悪魔すら俺の前では無力だ」


 下級悪魔がそばにおり、さんざん指導を受けていたカンザ。

 流石におとなしくキグスタの話を聞いている。

 その目はきつくキグスタを睨んではいるが。


「その悪魔はついさっき俺の所に来て、お前のせいで召喚されたが、お前の望みである俺への攻撃はできない……するつもりもない……と報告した上で、この俺に詫びてきたぞ」

「フン、そんな戯言信じられるか!」


 ここまでボコボコにされても、さんざん下に見ていたキグスタが自分よりもはるかに強いと言う事を認められずに、反抗するカンザ。


 キグスタは軽く右手を上げる。

 もちろん話が進まなくなるので、下級悪魔の指導を止めたのだ。


「お前はいつもそうだったな。他人の力は認めず、常に自分が優位に立たないと気が済まない。そのくせ努力の類は一切しない……仕方がない。お前の目の前であの悪魔を呼び出して、本人から説明させれば認めざるを得ないだろう。ヨハン、頼めるか?」

「承知いたしました、我が君」


 ヨハンは何やら目を瞑って一瞬何やらつぶやくと、途端に目の前にあの上級悪魔が現れた。


 上級悪魔はキグスタとヨハン、そしてソレイユを確認すると、土下座の勢いで平伏した。


「キ、キグスタ様、どうかお慈悲を。私はあのゴミクズに召喚されましたが、ご報告させて頂きました通り、一切あのゴミクズに手を貸すようなことは誓ってしておりません」


 あまりに必死の形相に、キグスタは少々罪悪感を覚えていた。


「ああ、わかってるよ。ただ、そのゴミが目の前にいて、俺の言う事を信じてくれないから来てもらっただけなんだ」


 上級悪魔は、カンザを睨みつつも、自らがキグスタの手足になる事を提案する。


「ゴミクズ如きが、キグスタ様のお言葉を信じない……万死に値しますな。差し出がましいようですが、この私が滅してご覧に入れましょうか?」


 流石にこの状況を目の前で見せられたカンザは、何も言い返す事ができない。

 キグスタに言い返せていたのは、王都に来てから数年行動を共にした時の名残……自分が上であると言う根拠のない思いから、辛うじて口を開けていた。


 しかし、目の前の現実を見て意気消沈したカンザ。いや、命の危険を今まで以上に感じているカンザ。

 今できる事と言えば、震える体を何とか気力で押さえつける事だけだ。


 何かを話そうとしても、歯が上手くかみ合わない為に言葉にならない。


 しかし、この状況がカンザには有効に働いた。

 ここで何か余計な事を喋っていれば、上級悪魔によりこの世から抹消されていたのだから……


「いや、流石に俺の力を理解したようだ。これでようやく話ができる。悪かったね、もう戻っていいよ」


 キグスタにそう言われた上級悪魔は、ほっとしたような表情を見せつつも、キグスタに深く一礼してこの場から消えた。


「良く聞けよカンザ。お前は何のつもりかは知らないが、この期に及んで俺達に害を与えようと画策した。そこで俺は反省したんだ。そんな余力があるならば、罰が少々優し過ぎたんだ……とな」


 今後の展開が見えるようで、カンザの震えは大きくなってきている。


「この間、お前の右腕は情けで治してやったんだが、ある意味恩を仇で返されたとも言える。とすると、その恩を返却した上で、この辺りの魔獣の強さを一段上げる事が妥当だと思うんだ。どう思うヨハン?」


 少し前のキグスタならば考えられないような対応をしているのを見て、当事者のカンザのみならず、残りの三人も驚きを隠せない。

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