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王都に出立する

お待たせしました。

徐々に再開させて頂きます。

 やがて宰相が来たが、門前払いを食わせたと連絡を受けて、俺達は宰相の前に向かう。

 そこそこの人数で来ているようだが、豪華な馬車ではなく、比較的質素な馬車で来ているようだ。


 それはそうだな。敗戦した側の使者が豪華絢爛の馬車で来たら、和睦できる物もできなくなる。今回はどちらにしても和睦は成功していないが。


「宰相殿、今回はキグスタ様の忠告を聞かずに再度攻めてくるとは思っておりませんでした。どうしてあなた方は民の事を考えられないのでしょうか?」


 宰相と目が合うなり、先制パンチをくらわすナタシア。


「ナタシア王女……ナタシア様の仰る通りです。今回我らは過ちを犯し、その謝罪の為にグリフィス辺境伯を訪れたのですが、お会いする事はできませんでした」

「そりゃそうだろう。謝罪の内容が爵位剥奪と領地没収の撤回、そして虹金貨10枚だもんな。どれだけ上から目線なんだよ」


 俺の突っ込みに目を見張る宰相。


「な、何故それを?私と陛下しか知らないはずなのに……」

「俺の力の一端とだけ伝えておこう。そうそう、お前らが門前払いされたのは、この情報を俺がグリフィス辺境伯に伝えたからでもある。ま、門前払いで良かったな。もし、そのふざけた条件を本人の前で伝えていたならば、お前の命はなかったかもしれないからな」


 がっくりと項垂れる宰相。


「ところで、これから王都に戻るんだろ?俺も王都へ届ける荷物があるから、同行させてもらおうかと思っているが、問題ないか?」

「え?え、ええ、問題は有りませんが……」


 宰相と共に来ている面々も驚きを隠せていない。

 今回の戦闘になった原因ともいえる俺が、戦闘相手と共に王都に向うと言っているんだから当然か。


 正直、俺はこんな面々は何とも思っていないので、一切気にしていないんだがな。

 むしろ、邪魔な荷物を直接届けて、あの国王に文句の一つでも言っておきたいんだ。

 それと、妻達との道中を楽しみたいのもある。


 もちろん、向こうは敗戦した連中だけに、俺達の事は良く思っていないだろう。

 そんな中で、妻達と王都まで同行する。場合によっては、暗殺対象になるかもしれないとは思っているが、超常の者達や<剣神><槍神><聖女>が揃っているんだ。


 こいつらが何をどうしようと、俺達に傷一つすらつける事はできないと確信している。


 やがて宰相の乗る馬車が進み、その後を歩兵が続く。

 俺達は……と言うと、超常の者達は姿を見せていないが傍にいる状態で、ソレイユが馬に似た魔獣を準備してくれたので、その背に乗ってのんびりしている。


 中々広い背中なので、俺達四人が座っても安定しているようだ。

 フカフカの毛に守られている感じもして、寛げる事この上ない。


 この魔獣が現れた時には、王都の面々が怯えてしまったが俺の知った事ではない。


「キグスタ様、今日は私のお料理をどうぞ!!」

「キグ坊、ナタシアは相当頑張っていたぞ」

「そうですよ。私達も一緒に色々作ってみましたが、今日のお料理は絶品です」


 どうやら、ようやくナタシアの料理の修行が終わったらしい。

 とは言え、がっつりした料理と言う訳ではなく、おやつを作ってくれたようだ。


 こちらも一口サイズになっているお菓子で、おいしそうな匂いが漂ってくる。


「お!美味い!凄いじゃないかナタシア!!」


 口の中でサクサクして甘い味のするお菓子。

 食べ続けると喉が渇きそうではあるが、抜群のうまさだ。


 流石クレースが絶品と言い切るだけはある。


 もちろん俺以外の三人もお菓子を食べ、ナタシアは何故かほっとした表情をしている。


 本当に俺の為に頑張ってくれているのがわかって、幸せな気持ちになる。


 そんな幸せが溢れんばかりの俺達の横を、王都の兵士がトボトボ歩いている。


 ……そんな数日を過ごしたら、いよいよ王都だ。

 普通に門から入るが、その前で魔獣には帰還してもらった。


 本当に楽をさせて貰ったな。ヨハンの転移でも良かったが、旅の道中も楽しめたので、今回は大正解だ。


 王都に入ると、俺が知っている活気は一切なく、予想通り敗戦の国……そして、大きすぎる犠牲を出した場所……と言った所だ。


 そのまま宰相と共に王城に向かい、国王と……あいつはナタシアの弟だったか?フラウに纏わりついていた記憶がある、確かドレッドとか言うやつと面談する。


 そいつは、何故か俺の事をきつく睨んできたので、少々睨み返してやると、目を逸らして震えている。

 こんな程度で震えるような小心者の癖に、一丁前に攻撃的な姿勢を見せるのも滑稽だ。


「国王、久しぶりだな。先ずはお前に土産だ」


 おれは、顕現してはいないがこの場にいるヨハンに頼み、カンザ一行を出して貰った。

 お目付け役の下級悪魔は、顕現させていない。説明が面倒くさいから、とりあえず止めておいた。


「な、ここは??国王陛下!!」


 カンザはかなり驚くが、国王とドレッドが目の前にいるのがわかった瞬間、土下座の勢いで言い訳を始めた。

 カンザの少し後ろに放り出されている三人は、何も喋らずに下を向いている。


「こ、国王陛下、今回は我らの力が及ばずに……本来は作戦通りに動ければ……」

「黙れ!貴様が我らを裏切った事は既に知れておる。そのおかげで我が軍は全滅だ。お前の作戦とやらを信じた腹心も、誰も帰ってこなかった」


「そ、そんな。では何故そんな情報を知ってい……」

「黙れと言っている!一人だけ帰還して、貴様の最低な行為を明らかにしたのだ!!」


 カンザってバカだよな。

 俺と言う当事者がいるのに、目の前の国王しか見えていないので、訳の分からない言い訳をしている。


「貴様の裏切り、いや、貴様らの裏切りは既に周知の事実だ。聖武具は壊すわ、軍を裏切って壊滅させるわ……もう良い。貴様らは王都追放、ギルドを含む全ての取引を停止する」


 ここでもう少し重い刑にしないのは、腐っても上位スキル持ちのカンザ一行が暴れたりしたときに、抑えきれる自信がないからだろう。

 実際は選抜メンバーが多数残っているはずだが、一応選抜最強であったカンザが暴れると、国王所属の選抜メンバーにも被害が出る事を危惧したのかもしれない。


「そっちは終わったか?それじゃあ俺の用事だ。お前ら、真実を調べもせずに好き勝手やってくれたな。挙句、グリフィス辺境伯にも迷惑をかけるとは……それで、あれだけボコボコされたにもかかわらず、爵位や領地没収の撤回と虹金貨10枚??何のギャグだ?」

「そうです。夫であるキグスタ様、そしてグリフィス辺境伯やウィンタス辺境伯、カルドナレル辺境伯にまで迷惑をかけているんですよ?」


「な、ナタシア……お前今……夫と言ったのか?」

「そうですよ。もう私は王族ではありません。ですから貴方に報告義務は有りませんので悪しからず。そんな訳ですから、気安く呼ぶのも止めてください」


「国王よ、お前は何の話をしているんだ。俺はナタシアの話をしているんじゃないぞ」

「う、わかっている。賠償の件だな。だが、今の我らには虹金貨10枚が限界だ。これから軍の補償もしなくてはならん」


「相変わらず勝手だな。勝手に戦争吹っ掛けて、負けたら碌な賠償もしない。だが、グリフィス辺境伯達も、お前らの行動などお見通しだ。おい、宰相!手紙を貰ったんだろ?早く渡せ」


 宰相から手紙を貰った国王は、すかさず開封し目を通す。

 実はこの手紙の内容、ある程度教えてもらっている。


 かいつまむと、お前らの謝罪や賠償などいらないが、二度とお前らの下にはつかない。

 三辺境伯はソレッド王国から独立する……と。


 お前らこそ俺達に謝罪をするのならば、庇護下に入れてやらない事もない。


「そ…、あれ程の魔獣の素材を入手できる辺境伯が離脱……」


 国王から軽く内容を教えてもらった宰相が真っ青だ。


 もちろん、この国王が、グリフィス王国の下につくなど許容するわけがないがな。


 こいつらに、悪魔の王についての情報をわざわざ教えてやることも無いな。

 常に何かに怯えて暮らすのがお似合だろう。


 とは言え、近い内に、他の国家からすぐに情報は入って来るだろうが。


 俺の用事も済んでこの場を後にしたのだが、ヨハンから得た情報によると、あの後カンザ一行は王城を追い出され、既に王都の人々に情報が流れている為、ギルドでも相手にされず、道行く人に暴言を吐かれ……


「くっそ、とりあえずナルバ村に行くぞ」


 と言うセリフと共に、ナルバ村に向かったらしい。

 ホール、リルーナ、フラウは、カンザを見限り、カンザもあの三人を見限っているはずだったが、こんな状態になってしまい、止むを得ず共に行動していると言う事だ。


 あの三人とカンザならお似合だろう。

 ナルバ村では、ソレイユにより調整が入っている強めの魔獣を相手に頑張ってくれよ。


 そして、あいつらが究極極限?の生活をし続けている間に、次の罰を考えておこう。

https://ncode.syosetu.com/n5874gy/  

俺は、副ギルドマスター補佐心得!!裏の顔は、最強を誇る組織の首領!!


投稿させて頂きました。


色々ありましたが、更に車が壊れました(ギア)。

お祓いに言った方が良いのでしょうか??

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― 新着の感想 ―
[良い点] 愚王への対応が良い。最近の展開は、連続スカッとする!!! 他の小説では主人公が弱気で王様や悪役がやりたい放題の『我慢の展開が長く続く』のは、まるで現実社会みたいで、めちゃくちゃストレスが…
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