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ミルハの想い(2)

 ここ、異空間にいる全員が<統べる者>の配下になった事がわかりました。


 我らは喜び勇んで地上に向おうとしましたが、そのお方には前回の二人と違い、ご家族がいらっしゃったのです。

 その為、至急顕現する必要はないと判断され、こちらから見守らせていただく事になりました。


 そして、色々ありましたが、今、私はその至高の主であるキグスタ様の為に力を奮う事を許されています。


 そう、私の上位存在である精霊神のハルム様の不得意な分野、人の心を司る部分の力です。

 とはいえ、この力・・・・・・とてつもなく危険を伴うので、精々同時に10人程度しか行う事が出来ませんし、実施する時には対象の近くで行う必要があるのです。


 更に、例えば5人を対象にした後で、追加の5人を対象にする事はできません。


 必ず一度、この力を解除しなくてはなりません。

 その上、立て続けに同じ人に能力を使ってしまうと、人の方が耐えられなくなるのです。


 そんな制約があるので、異空間からはこの力は使えないのです。

 他にも少し制約があるのですが・・・・・・


 おっと、話がそれてしまいました。今は、至高の主であるキグスタ様についてお話しさせていただきますね。


 私達がキグスタ様の前に顕現する前、私達は異空間からキグスタ様を見守っておりました。


 早くキグスタ様の近くでお力になりたい!と言う、日に日に大きくなっていく願望と戦いながら様子を見させて頂いていたある日、そう、あの日!!私がヨハン様に呼ばれたのです。


 周りの者達の羨望の眼差しを受けつつ、飛ぶ勢いでヨハン様の元に向かいました。

 すると、キグスタ様のパーティーを監視するため、地上に行き、キグスタ様が拠点としているギルドの職員になるように命令されました。


 私は、ギルドにいる職員に、例の力を使ったのです。


 そして無事職員として働くと、キグスタ様と直接お話しする事ができたのです。

 夢にまで見た至高の主との初めての会話。思わず涙が出てしまいそうになるのを必死で堪えていましたが、本当に天にも昇る気持ちでした。


 そんな感情に支配された私ですが、一方のキグスタ様は、残りのパーティーメンバーからの扱いが良くないので、少々気落ちされています。


 そんな中でも、異空間から確認していた時のように、めげず、折れず、真直ぐに行動されています。

 そのあまりにも美しい崇高な姿勢を見せられて、感動したのを覚えています。


 そして、こんな扱いをされていても、どこかでパーティーメンバーを信じている心を持たれているのです。


 私が、ギルドで使っている能力を解除して、パーティメンバーに対して能力を使う事は可能です。

 しかし、私が異空間にいた頃から、自分自身の力を信じて努力していらっしゃるキグスタ様には、安易に我らの力を使う事をヨハン様に禁止されているのです。


 もし、私の力を使ってあの面々がキグスタ様への態度を変えたとしても、それは偽りの行動・・・・・・操作されている行動になるので、本当にキグスタ様が望んでいる方向にはいかないのでしょう。


 もちろん、万が一の時の為に、我らが準備したスライムが同行しているので、安全は保障されています。


 その為、私は必死でキグスタ様を元気づけていました。

 上手く行っているかは分かりませんが、今の私にできることはそんな事位です。


 やがてキグスタ様は違う場所に移動する事になったようで、私も先回りしてギルドの職員になっておりました。

 人々の言う、恋人を待つ気持ちってこんな感じなのでしょうか?


 キグスタ様のお姿を確認できるまで、なんだか心がソワソワ?して落ち着きません。

 自分自身に力を使いたい位でした。


 無事にこちらに到着されたキグスタ様。そして、有象無象の残り四人。


 やがて、このギルドの管轄するダンジョンで、あの許しがたい、卑劣極まりない行動を残りのメンバーが行ったのです。


 ですが、あの場所には危険はありません。

 スライムもおりますし、あのダンジョンはソレイユ様の手の内ですから。


 ヨハン様は、ここで我らの存在をキグスタ様に明かす事を決意されました。


 あの許しがたい有象無象を信じて行動されていたキグスタ様。

 ですが、結果は見るも無残な物でしたので、キグスタ様の心が完全に折れないように私達が直接お助けする時だと判断したのでしょう。


 至高の主が、自分を信じて必死に行動されている事は理解しています。

 そして、その行動を可能な限り尊重するべく、我らがむやみに力を貸さないようにしている事も承知しています。


 ですが、今回そのような事を言っていられる状況ではなくなったのです。


 無事にキグスタ様の前で紹介された私は、今はワリムサエの町のギルドで職員をしています。


 私は始めのギルドでキグスタ様の対応をさせて頂いた時、怪しまれないように”キグスタ君”と至高の主を呼ばせて頂いていました。

 しかし、我らの存在を認知していただいた至高の主に対して、君をつけて呼ぶ事などできません。


 少し悲しい気分になったのは秘密です。


 ですが!ですが!!なんとキグスタ様は私の存在を理解した上で、今まで通りの話し方、呼び方で良いと仰ってくださったのです。


 ウフフフ、どうしましょう。でも、私たちのトップがそんな暴挙を許してくださるのでしょうか?


 始めのギルドでは、キグスタ様が不審に思わないように、周りの受付と同じような対応をするように・・・・・・と言う事で許可が出ていましたが、今は状況が異なります。


 恐る恐るヨハン様を見ると、頷かれています。

 これは、キグスタ様の意思の通りにしなさい!!と言う事ですよね?


 なんて素晴らしい一日なのでしょう。

 今後もワリムサエの町のギルドでは、キグスタ君とお呼びして、仲の良い受付と冒険者と言う立場で接する事ができるのです。


 あ~、異空間に帰還している仲間達に自慢したい所ですが、きっと今この時も異空間から私達を見ているでしょうから、涙を流して悔しがっている事でしょう。


 そうそう、そう言えば、私達はキグスタ様の元に顕現した日、ある命令を受けているのです。


 キグスタ様に非道な行いをしたパーティーメンバーを放っておく・・・・・・と言う命令を・・・・・・


 その為、何か特別な指示がない限り、我らが直接手を出す事はできません。


 しかし、聖武具・・・・・・アクト様が作った玩具に関しては、皆様が間違って踏んで壊してしまったそうです。


 ウフフフ、何故だかわかりませんが、少しだけ心のもやもやが晴れた気がします。


 これからもずっとキグスタ様・・・・・・いえ、キグスタ君と接することができますように!

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