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カンザ一行、雲行きが怪しくなる(2)

徐々にカンザのメッキが剥がれていきます

でも、展開はゆっくりです。

ごめんなさい。

 ソレッド王国の王都、それも王城内の鍛錬場で急遽開催される運びとなったトーナメント方式の大会。


 参加者は22組の選抜メンバーパーティー。

 その中にはカンザを除いたカンザパーティーも含まれる。


 急な開催であったため、この場には戦いに参加する面々の他には、近衛騎士や偶然王城に来ていた貴族などの面々しかいない。


 聖武具を駆使したパーティーの戦いに、目的を忘れて見入る国王達。

 カンザは、戦闘能力よりも容姿を重点的にチェックしている。


 もちろんカンザの手元には、それぞれの選抜メンバーの経歴がわかる資料が準備されている。


 より効果的な戦闘訓練をさせるために必要だ・・・・・・と訳の分からない事を言って国王に準備させたのだ。


 一方、選抜メンバーの中でかなりの人数が、カンザの事を知っている。

 偽善者の仮面を被った人柄のみを知る者、何やらきな臭いものを感じている者等様々だが、何れにしてもカンザは強者だと言う認識は変わらない。


 それは、数年前に遡るが、カンザが他の選抜メンバーと一時的にパーティーを組んだ際、上位の悪魔を細切れにして帰還してきたからだ。

 残念ながらその時の他のパーティーメンバーは帰らぬ人となっていたのだが・・・・・・


 そんな経歴があるので、強さだけは万人に認められており、最上位スキルに最も近い男であると言われている。事実は少々異なるが、それはまた別の機会に・・・・・・


 当然そんな経歴があるからこそ、カンザは自分が声をかければ望んでパーティーを組んでくれると思っているのだ。


 そう考えている間にも、既にいくつかの戦闘が終了している。

 互いに虹金貨をかけて聖武具を使用した全力の戦いをしているので、勝者にもダメージを負っている者が少なくない。


 こんな時に悪魔の王が来襲してきたらどう対応するべきか等はカンザの頭にはないが、流石に国王は気が付いた。


「カンザよ、このまま続けても良いが、かなりのダメージを負っている者がいるぞ。国庫からポーションを支給はするが、あのレベルのダメージを治すとなるとかなり高品質な物が要求される。選抜メンバー同士の戦闘は失敗ではないか?」


 ある程度の試合を見て、新メンバーの選定を終わらせたカンザは、国王の言っている意味をようやく理解した。

 このまま戦いを継続すると、悪魔の王の利益になりこそすれ、選抜メンバーの利益が少ないのだ。


「おっしゃる通りです。間も無く一回戦は終了しますので、鍛錬方法を変えましょう。残った者達は、ダンジョンに向かわせます。そうすれば魔獣も減らせますし、鍛錬にもなるでしょう。そこで攻略までの時間を競わせるのです。ただし、完全攻略を待ち続けるわけにはいきません」

「うん?よくわからんな。ではどのように勝負を決めるのだ?」

「規定時間内に討伐した魔獣の中で、最も強さを持つ魔獣の討伐証明を持ち帰ったものが優勝でいいでしょう」


 つまり討伐の数ではなく、どれほど強い魔獣を討伐したかで比較されるのだ。


「ふむ、妥当だな」


 そう言って国王は立ち上がる。


「勝利した者達よ、いや、一部大きなダメージを負っている者は除くが、残りの者はよく聞くがよい。第二試合は行わない。しかし、これからその方達にはダンジョンに向かってもらう。そして、今日の夕刻までに最も強い魔獣を討伐できたものを優勝とする。では行ってまいれ」


 碌な説明ではないが、虹金貨一枚が手に入るか否かの瀬戸際で文句を言う者はいない。

 十分戦闘ができると判断したパーティーがダンジョンに向かう。


 しかし、一回戦に勝利はしたがダメージが大きすぎてダンジョンに向かわなかったパーティーもあるため、実際にダンジョンに向かったのは六パーティーだけだった。


 当然その中にカンザパーティーも含まれる。


 国王は一旦鍛錬場を後にし、カンザはその間にこの場に残っている面々の内、自分のパーティーにふさわしいと思っている相手に声をかけている。


 一部の者達は、カンザの威光と強さに絆されて、あっさりと現時点で所属しているパーティーを離脱した。

 残された面々はカンザをきつく睨むが、カンザは一向に気にしない。


 そんな惨劇が行われていた鍛錬場に、六組のパーティーが示し合わせたように戻って来る。


 その中で・・・・・・一番の大物は巨大な体躯と完全魔法耐性を持つと言われている魔獣、ヒュダーロだ。

 そして、一番の小物は・・・・・・カンザパーティーが狩ってきた巨大な昆虫の魔物であるトング。


 確かにダンジョンによっては高ランクの魔獣を倒しづらい場合もあるし、魔獣に遭遇できるかどうかの運もある。

 だが、選抜メンバーにもなれば相当な訓練を受けるので、運に左右されることはほとんどない。

 つまり、これが今のカンザパーティーの実力と言う事になる。


 この場にいる選抜メンバーから、カンザパーティーに侮蔑の目が向けられる。


 しかし、実際はカンザ一行のパーティーにだけ、魔獣が強くなっていたのだ。

 もちろん獣神ソレイユの仕業である。


 本当の事を知る由もないその惨状を見た国王は、


「カンザよ、あのパーティーはやはり貴様がいないと駄目なようだな。しっかりと奴らを使えるようにしておけ」


 ときつく言い渡した。


 つまり、カンザはパーティー一行を首にもできないし、新メンバーを入れる事もできなくなったのだ。


 と言うのも、選抜メンバーのパーティーは最大四人と決められているから、今のパーティーメンバーと組み続けている限り新メンバーの補充はできない。但し、補助的なメンバーは追加できる。そう、以前のキグスタのような荷物持ちだ。


「お前ら何をやっているんだ。恥を知れ!それが最強のパーティーなのか?」


 虹金貨を逃したカンザは怒り心頭だ。


「そうは言っても、いつも以上に魔獣が強くなっていたのよ」

「そうだぜカンザ。あのトングだって、俺の全力の拳を五発以上も耐えやがったんだ」

「私の魔法を受けてその状態だったのですよ」


 カンザは正直信じられない思いだったが、既に過ぎてしまった事だと自分に言い聞かせる。


 だが、このままで良いと言う訳ではない。


「これからダンジョンに向かって特訓するぞ」


 元気のない三人を引き連れて、カンザはダンジョンに向かう事にした。


 一方で、カンザパーティーに入れる事を夢見ていた三人の女性・・・・・・ソロでダンジョンなど行けるわけもないので、土下座の勢いで元のパーティーメンバーに謝罪している。

 元の鞘に収まったようだが、パーティーメンバー内での遺恨は間違いなく残る。


 更にはカンザの悪行に対しての遺恨も残るので、カンザとしては悪評以外何も得ることのない時間だったのだ。


 そして、その後・・・・・・国王以下、選抜メンバーも含めて、数か月にわたりカンザ一行の目撃情報は途絶えてしまった。


 その真実とは・・・・・・ナルバ村からの移動を行うための荷造りに集中したいソレイユが、ダンジョンの奥深くに閉じ込めたのだ。


 方法は、意気込むカンザを先頭にしたパーティーに、キグスタがいた時のように制御された魔獣を向かわせる。


 以前の調子が戻ったと勘違いしたカンザ一行は、気を良くしてかなり深い層まで一気に攻略を勧めた。


 そこに、階層を覆うように制約を取り払った強大な魔獣を多数配置したのだ。

 当初は突破を試みたカンザ一行だったが、今では狭い横穴に身を寄り添いあって生活している。


 水についてはリルーナの魔法で生み出せる。

 食料は、命がけで魔獣を何とか狩ってくるのだ。


 もちろん、至高の主の命令があるのでカンザ達の命を取るような事はしていないが、長期間極限状態に置き続けると言う地獄を味わわせている。


 いつ地上に戻れるかわからない、食料もいつ取れなくなるかわからない、自分の命もいつ失うかわからない究極の状態を・・・・・・

もう少しで、


伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す。異母兄よ、国王よ、そして防壁に守られている貴族の連中よ、最早お前達は赤の他人だ。自分の身は自分で守れよ!!

https://ncode.syosetu.com/n7913gs/


完結の予定です。


こちらもよろしくお願いします。

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