王都に報告が上がる
3/27 ハイファン5位に入ることができました。
本当に嬉しいです。
ありがとうございます。
カンザ一行がキグスタの両親の捕縛に失敗したことは、即王都のギルドから国王に伝わった。
ナルバ村のギルドで話をしたときに、口止めをしなかったから当然だ。
「なに?あ奴らクズの両親すら捕縛できなかったと言う事か?」
「残念ながらその通りです。しかし、キグスタの両親は何やらとてつもない聖武具を手にしていたとの報告も上がっております」
「そうは言っても、ただのスキル持ちが上位スキルに対抗できるとは……一応<槍神>のクレースと<剣神>のファミュにナルバ村へ向かう準備をさせておけ」
ソレッド王国に二人だけ存在している最上位スキル持ちの二人。
もちろん他国にも極少数だが最上位スキル持ちがいるが、数人しかおらず、国家によってはゼロの国もある。
これ程希少である最上位スキル持ちともなると、貴族並の待遇を与えられる。
もちろんソレッド王国にいる二人も貴族と同じ扱いを受けている。
では、何故この二人が魔族の王を討伐に行かないか……それは簡単だ。
上位スキルの者達で討伐できればそれで良し。
万が一失敗した時は、報復に来るだろうと考えて、国王の身の安全を守るために近くに置いているのだ。
つまり、国王にとっては最上位スキルの二人が最後の砦と言うことになる。
ソレッド王国の最上位スキル持ちの二人は、当初は上位スキルの<槍聖>と<剣聖>だったのだが、厳しい鍛錬の果てに最上位スキルになった……
と思われているが、実際はキグスタに時々お土産など差し入れをしていたからだ。
お土産を渡して楽しそうにキグスタと話しているその姿を見た超常の者達によって、最上位スキルを与えるにふさわしいと判断された。
この二人は貴族の扱いを受けてはいるが、慢心したり傲慢な振舞いをしたことは今までない。
それ所か、キグスタがカンザ一行と旅立つ時にはキグスタに会えなくなることを悲しんでいたのだ。
カンザは最上位スキル持ちであるこの二人には頭が上がらないので、二人の前ではキグスタへの扱いは普通にしていた。
もちろんクレースとファミュがキグスタと仲良くしている事を知っていたからだ。
一方のキグスタも告げ口をしたりはしないので、最上位スキル持ちの二人は、キグスタがカンザ達から惨い扱いを受けている事を知る事は無かった。
残念ながら、今もまだキグスタの死亡と言う報告も受け取っていない。
しかし、今回キグスタの両親捕縛のために国王から準備をするように伝達が行くので、カンザが伝えた嘘120%の情報が伝わることになる。
その頃のカンザ一行は、リルーナの家に留まっていた。
そこにギルドマスターが現れる。
「カンザ様、お待たせいたしました。ここ暫くのキグスタ一家のクエストや納品された魔物の素材、魔石の調査結果です」
渡された資料を見るカンザ。
「魔獣の素材や魔石については特におかしなところはないな。だが、あの力があればこんな低レベルの魔獣でなくとも軽く倒せると思うのだが……そう考えると、最後のクエスト、一昨日のこれか。この場所が怪しいかもしれないな」
「そこは……」
言い淀むリルーナを始めとしたナルバ村の面々。
「どうした、やはりここは何か問題があるのか?」
「そうではありません。何の変哲もない森なんです」
リルーナが申し訳なさそうに答える。
「……その場所は高ランクの魔獣がいるのか?」
「奥に行けばかなりの種類が存在します」
次はギルドマスターが答える。
クエストを発注する側の立場であるため、近辺の魔獣の状況は全て頭に入っている。
「だとすると、やはり最後の場所であるこの森が怪しいだろう。あの力があれば、最初から高ランクの魔獣を討伐しに行くはずだ。とすると、この場所で魔獣を討伐した時にあの武具を手に入れたに違いない」
カンザ一行とギルドマスター、おまけにリルーナの両親までカンザの的外れな推理に感心している。
「流石はカンザ様。確かにおっしゃる通りです」
「リルーナ、ホール、フラウ、今すぐこの森に向かうぞ!!」
ギルドマスターの賞賛に気を良くしたカンザ。
一刻も早くキグスタの両親と同じ武具を手に入れて、目に物見せてやると意気込み森に向かって出立する。
「あの報告書に書いてあった魔獣はあそこにいる魔獣です。もう少しこの辺りをウロウロすれば、かなりの数がいると思います」
「懐かしいな」
「ホールもリルーナも上位スキルになった時に私と三人でこの辺りにきたよね」
ナルバ村出身の三人は話に花を咲かせている。
「ここよりも奥に進むと、高ランクの魔獣がいると言う事で間違いないな?」
「ええそうよ」
「だとすると、暫くこの辺りの魔獣を倒しつつ武具が無いか調査しよう」
カンザの指示に従って全員が魔獣を討伐し、そこからドロップが出ないか、辺りに武具が隠されていないかをくまなく調査し始めた。
だが、そんな武具はこの辺りにある訳はない。
かなり長時間粘った為、魔獣の素材と魔石は大量に手に入ったが、目的である武具を手に入れることはできなかった。
疲れ果てたカンザ一行は、一旦リルーナの家に戻ってふて寝することになったのだ。
そして、丁度ふて寝を始めた頃……ソレッド王国では激震が走っていた。
そう、最上位スキルを持っている二人である<槍神>のクレースと<剣神>のファミュが怒りに任せて謁見の間に飛び込んできたからだ。
ソレッド王国の国王は、この二人がキグスタと仲が良かったことを把握していなかった。
だが、把握していたとしても、今回の行いを伝えれば国王側の意に沿う行動をすると信じて疑わなかったのだ。
「国王!キグスタの両親を捕縛しろとはどう言う事ですか??」
「私にも同じ命令がきた。具体的に説明してもらおうか!」
両者とも美しい金色の髪をしたスタイルの良い美女であるが、今はあまりの怒りの為に般若の表情になっている。
国王を守護すべき近衛達も、若干腰が引けている。
しかし、腐っても国王。彼女達の胆力に押されることもなく、冷静に説明する。
「事情を聴いていないのか?キグスタはカンザ一行を危険に晒した上に、聖武具まで全て持ったうえで最下層のボス部屋に突入してしまったのだ。つまり、四つの聖武具が失われたことになる。このまま何もしないと他の者に示しがつかん。その程度はわかるであろう?」
事実であれば、国王の言っていることは正しい。
しかし、この二人にはそんな正論は通用しなかった。
「何を言っているんですか?あのキグスタがそんな行動を取るはずがありません」
「その通りだ。そんな話をハイそうですか……と信じるほど我らはバカではない」
全くもって取りつく島もなかったのだ。
「だが、カンザ一行……つまり四人の上位スキル持ちから報告が上がっており、現実に聖武具もなくなりキグスタも帰ってきていない」
「それでキグスタの御両親を捕縛?まったく納得できません」
「そうだ。それに捕縛の後はどうなるんだ?」
怒りのボルテージが上がった二人に、流石の国王も若干汗がにじみ出て来るが、ここで引くわけにはいかない。
「聖武具紛失、そして選抜メンバーで最強を誇っているパーティーを危機に陥れた罪を清算する必要がある。よって、生き残っているパーティーメンバーの総意で奴隷とすることになった」
「あん??」
「はぁ?」
ピシッっと音が聞こえるかのように表情が抜け落ちた最上位スキル持ちの二人。
流石の国王も身の危険を感じ、玉座から腰を浮かして逃走体勢に入ったのだ。
ブクマ・評価で応援よろしくお願いいたします。
愚作ではありますが、他の作品も一読いただけると嬉しいです。
伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す。異母兄よ、国王よ、そして防壁に守られている貴族の連中よ、最早お前達は赤の他人だ。自分の身は自分で守れよ!!
https://ncode.syosetu.com/n7913gs/
前世も今世も裏切られるが、信頼できる仲間と共に理想の世界を作り上げる
https://ncode.syosetu.com/n8270gl/




