カンザ一行VSキグスタの両親!
沢山の方に見て頂けると、やる気が出ます。!!
「フン、普通のスキルしか持たないクズの両親が、俺達上位スキル持ち、しかも高級な武具を国王陛下より直接頂いている俺達にかなうと思っているのか?」
カンザは自分たちの勝利を疑っていない。
「カンザ、私頭に来たから私にやらせてよ。こいつらなんか私一人で十分よ」
「いや、俺にもやらせろ。今までの鬱憤をこいつらで晴らしてやる」
もちろんカンザ一行の鬱憤など自業自得以外の何物でもない。
しかも、キグスタをこっ酷く裏切り、更にはその両親に罪を擦り付けた挙句奴隷に落とそうとしているのだ。
しかし、カンザ一行はそんな罪の意識はとうになくなっている。
自分達は選抜メンバーでトップのパーティー。
魔神か魔王が復活した今となっては、ソレッド王国だけではなく周辺国家、いや、この世界の希望なのだ。最上位スキル持ちも少数存在しているが、表には出てきていない。
つまり、自分達以外は全て等しくゴミ。
国王にはヘコヘコしているが、他の選抜メンバー全員を敵に回す可能性がある上に、補助金のカットとなると今の贅沢な暮らしはできなくなるので止む無く従っている……と言う意識だ。
「それじゃあ俺達は逃げないように見張ってるか。リルーナ」
「そうね、でももし逃げたりしたら私も攻撃に参加するからね」
リルーナとホールも負けることは一切想定していないのだが、すぐにその考えが甘い事を思い知らされる。
「仕方がないわね。それじゃあ大人として少し躾てあげましょうか?」
「ああ、それが最後に俺達の親友の娘にしてやれることだな。ついでに天狗の鼻になってる連中の鼻っ柱もへし折っておいてやろうか、母さん」
「クククク、こいつらゴミの両親だけあって面白い事を言うじゃねーか。ここまでコケにされたら五体満足で奴隷行きなんて優しい対応はできねーぞ」
既にカンザは怒りのあまりメッキが剥がれており、かなり荒い言葉になっている。
「それじゃあ始めましょうか?お父さん、ここはまず私一人に躾させてもらえないかしら?」
「わかったよ。でも、一応念のために気をつけてな」
怒り心頭のカンザ一行。
「負けた時の言い訳かしら?ただのスキルである<魔術>がこの私の<剣聖>に勝てるとでも思ってんの?それに私達はこの三年間厳しい修行をやり遂げたのよ!」
「ここまでクズの両親にコケにされるとは思ってもみなかった。もう容赦しねー」
フラウとカンザは国王から借りている剣と槍を構える。
相対しているキグスタの母親は、軽く深呼吸をすると武神ソラリスが作った武具、アクトが戯れに作った玩具とは違う真の武具である黄金の杖を構える。
「フン、見掛け倒しにビビると思ってんのか?ちょうど良い、その武具、俺達が有効活用してやる。そっちのクズの親父、お前の武具も俺達が貰ってやるから感謝しろ」
自主的な修練は行っていないまでも、上位スキル持ちで三年間一応修行を成し遂げたカンザは一気にキグスタの母親に肉薄する。
その背後を取るようにフラウも移動し、捕獲する目的を忘れて全力で攻撃を始めた。
目にもとまらぬ槍の刺突と背後からの無数の斬撃。
しかし、カンザとフラウの攻撃が通ることは無い。
キグスタの母親が殆ど力を籠めないで張った防壁に阻まれたのだ。
「くっそ、だがこのまま攻撃を続けていれば、こんなしょぼい防壁は破壊できる」
「カンザの言う通りよ。それに攻撃してくる余裕がない程必死で張った防壁がこんな陳腐な物なんだから、所詮はただのスキルね」
見た目は薄い防壁だが、上位スキル程度では何年かかっても破壊することができないとはわかる訳もない二人。
必死で攻撃を繰り返している。
だが、中々攻撃が通らない状況をみて、リルーナとホールも参戦し始めた。
「何遊んでるんだよ。俺にもやらせろ!!」
「魔術であれば、私の<魔聖>のスキルで簡単に打ち破れるはずよ」
これで一対四。
しかし、四人の攻撃を受け続けても防壁の状態は一切変わらない。
「こいつ、魔道具を使ってるのか?いや、あの武具か……まさか?聖武具?」
「そうに違いないわよ。あんなただのスキル持ちの防壁が、私達上位スキルで破壊できないはずがないもの」
「武具に頼るなんてやっぱりクズの親もクズだな」
「それで私の<魔聖>スキルに勝ったなどと思わないでください」
四人は言いたい放題だ。
そもそも良い武具を使っているのは四人も同じ。武具のレベルは比べるまでもないが……
彼らにしてみれば、自分は良いが他人はダメ!
そして、自分達が至高であり他はゴミ!
そのプライドが邪魔をして、真実を見ることができなかった。
一方のキグスタの母親は別の問題に直面していた。
「お父さん、この出来損ないたちは私が軽く張った防壁も突破できないみたい。正直攻撃魔術を使ってしまうと手加減が難しくて死なせてしまいそうなの。鼻っ柱を圧し折るのはお父さんに任せてもいいかしら?」
「待ってましたよお母さん!!」
喜々として前にでるキグスタの父。その手には黄金に輝く剣が握られている。
「あんた、私が王都に行く前に私に勝てなくなっていたわよね。今私たちイライラしてるの。手加減できそうにないから死なないように頑張って」
たった今、キグスタの母親の防壁を四人がかりで微動だにできなかった事実を直視できていないカンザ一行。
キグスタの父親には勝てると踏んだのか、フラウが再び一気に近づき襲い掛かる。
フラウの言う通り、上位スキルを持っているフラウはキグスタの父親を圧倒できる程の力を得ていた。
だが、フラウの剣撃を軽くいなしたキグスタの父親は剣を鞘に仕舞ってしまった。
「今更降伏しても許さないんだから!」
「フラウの言う通りだ!」
いつ間にか再び参戦したカンザ。
キグスタの父親は防壁を張ることはできない。
しかし、二人の攻撃をいとも簡単に見切り、傷一つ負うことは無い。
その間、かなり迷っている表情を見せつつ攻撃を避けているだけだったキグスタの父親だが、カンザとフラウの一言に表情は一変する。
「「クズと同じようにむごたらしく殺してやる!!」」
その一言を言い終えた瞬間、カンザとフラウの体は吹っ飛んだ。
もちろんキグスタの父親による攻撃だが、剣は使用していない。
ただの拳で上位スキル持ちの二人を軽く吹っ飛ばしたのだ。
「カンザ、フラウ!!」
「そんな……私でも攻撃が見えないなんて」
ホールとリルーナも驚愕しているが、キグスタの父親は驚愕しているままの二人も同じように吹き飛ばした。
「ぐ・・ばかな。ただのスキル持ちにこの俺が……」
カンザはかろうじて呪詛を吐くが、残りの三人は地面をのたうち回っている。
「お父さん!その位でいいわよ」
キグスタの母親の一言で落ち着いた父親は、笑顔で母親の元に戻る。
「いや、母さん、凄いな。まるで体が羽みたいだ」
「フフ、格好よかったわよお父さん」
四人の上位スキル持ちで、国家に認定された選抜メンバー最強のパーティーを前にしているとは思えない程イチャイチャしだすキグスタの両親。
暫くすると、ようやく起き上がれるようになった四人がキグスタの両親を睨みつける。
だが、今のままでは手も足も出ない事は理解できているので捨て台詞を吐いてこの場を去る。
「今日のところはこの位にしておいてやる。だが、お前らはこの村、いやこの国でまともに生活できると思うなよ!」
「そうよ、魔神や魔王を討伐できる唯一の存在である私たちに手を挙げたのよ」
「国の敵になることを覚悟しておくんだな」
「こんな屈辱、許せないわ」
四人ともかなり的外れな呪詛だったが、キグスタの両親の耳には一切入っていなかった。
キグスタの両親はお互いを褒めちぎり、お互いしか目に入っていなかったのだ。
哀れカンザ一行……痛みに顔をゆがめながらキグスタの家を後にした。
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