ナタシア王女
同一の話を投稿してしまいました。
ご指摘ありがとうございました。
修正しましたが・・・途中の話が消えており、急遽少々修正を入れた話を投稿させていただきます。
そんな中、宰相が転がるように謁見の間に戻ってきた。
「国王陛下、聖武具が全て破壊されております」
「何?そんな馬鹿なことがあってたまるか!」
「しかし、この目で確認して驚いて戻ってきたのです。これは……復活した魔王か魔神か、我らの戦力を削ぎに来たのではないでしょうか?そう考えると、あの岩も奴らの仕業かもしれません」
驚く王に、宰相は続ける。
宰相の言う事はあながち間違いではない。確かに人族に魔王やら魔神やら言われていた二人共丁度この場にいるし、彼らの力であの岩をこの場に持ってきた。
そして、アクトが聖武具を完全に破壊してきたのだからな。
流石は宰相だ。
そこに、新たな騎士が愚王に報告を入れる。
「国王陛下、先ほどの岩の件……採掘場の者に確認したところ、ダンジョン攻略に必要とのことでカンザ殿一行の依頼によって作成したとのことです」
愚王が震えているカンザ一行を睨む。
「カンザ、これはどういうことだ。まさかリルーナの魔法でこの場に石を出現させたのか?」
「いえ、とんでもございません。これは、そう、この石はあの悪魔を討伐するために、今まさに国王陛下がおっしゃったようにリルーナの魔法で悪魔の遥か上から落下させるために準備したものです」
「悪魔がその程度の攻撃でダメージを負うわけがないだろうが」
確かに、どれほどの高さから落下させた岩でも悪魔にダメージを与えることはできないだろうな。
「ですが、大きな隙はできます。その隙があれば我らの連携を持って討伐できると考えたのです」
「ではなぜそれが突然ここに現れた」
「そ、それは私にもわかりません……」
実際は、俺に嫌がらせをする為だけに作らせた岩。そして俺と共に悪魔のいるボスの部屋に置いてきたと思っている岩。
それが突然この謁見の間に現れたのだから、意味が分からないのは愚王だけではなくカンザ一行も同じだろう。
ここで、国王の背後に控える魔導士が国王に進言しているのが聞こえた。
もちろんヨハンかアクトの力で俺に聞こえるようにしてくれているので、内容は俺も把握することができる。
普通ならこれほど離れた距離であいつらの話を聞くことなんてできやしないからな。さりげない気遣いに感謝しつつ、話を聞く。
「国王陛下、あの岩が現れてからこれまで魔力の揺らぎは感知できておりません。つまり、あそこにいるリルーナが岩を出現させたと言うことはあり得ません」
「では、なぜこの場に現れたかわからんと言う事か?」
「我らで感知できない程の力を使っていたと言う可能性が高いので、宰相殿のおっしゃる通り魔王、魔神関連の仕業の可能性が高いと思います」
こいつもなかなかの推理力だ。
愚王も頷き、これ以上カンザ達を責めてもどうしようもないと判断したようだ。
「まあ良いだろう。カンザ一行よ、聞いての通り聖武具は全てなくなった。お前達は魔石を集めてドワーフ族を頼れ」
魔石とは、魔獣や魔族を討伐した際に得られるもので、人族で言う所の心臓だ。
こいつらとダンジョンを攻略している時には、国から大量の補助金が出るので魔石を収集すると言ったことは無かった。
俺は補助金を一切もらえていないので、いや、こいつらに持っていかれているので、時折こっそりと魔石を拾って資金にしていたんだ。
そして、その魔石は魔道具の部品にもなるし武器の素材にもなる優れものだ。
つまり国王は、聖武具の代わりになる武器は自分で準備するように言い渡したことになる。
そして、ドワーフ族とは鍛冶を最も得意とする亜人族で、品質が良いとされている武器は大抵彼らが作ったものだ。
「わかりました。聖武具無き今、確かに我ら自身で武具を揃えます。ですが、聖武具と言わずともある程度の武具を頂ければ、ダンジョン攻略時に聖武具の取得も考えた行動が可能です」
カンザの言っている事は、自分達の力をある程度上昇することができる武具を渡せば、ダンジョンの内部で稀に見つかると言われる聖武具を得ることができる!!と言っているのだ。
アクト達によれば、ダンジョンの内部に聖武具を置くのも遊びの一環で行っていたそうだ。
「あ奴らが向かうダンジョンの聖武具は全て引き上げますので問題ないでござるよ」
当然こうなる。
だが、そんなことはわからない一行と国王は、カンザの案を採用したようだ。
一応選抜メンバーで最強と言われているパーティーに聖武具が無いのは問題があると考えたのだろう。
「良いだろう。王国専属のドワーフが打った至高の一品をその方らに貸与しよう。聖武具を手に入れ次第返却する事を忘れるな」
「ありがたき幸せ」
再び武具を取りに宰相が謁見の間を後にする。
「だがその方らに武具を貸与するのは無償と言うわけにはいかん。聖武具を無くしたその方らに何のペナルティーもなしで新たな武具を与えては、他のパーティーに示しがつかんからな」
「…………」
カンザ一行も愚王の発言に耳を傾けている。
「キグスタの両親を奴隷にするために、この王都まで連れてこい。通常であれば騎士が動くのだが、経費も必要になる。その方らがその任務を代わりに行えば、経費が浮くことになる。その経費をその方らの罰としよう」
「承知いたしました。寛大な処置に感謝いたします。もし反抗されたらいかがしましょうか」
「そうです。あの二人は<剣術>と<魔術>を持っています」
カンザに続いてフラウもふざけた事を聞いている。
「フム、だがその方らの上位スキルをもってすれば制圧は容易いのではないか?五体満足であれば少々の傷は構わん。力づくで連れてこい」
「「承知いたしました」」
元気に返事をするカンザとフラウ。もちろんリルーナとホールもやる気満々の顔をしている。
そこに宰相が新たな武具を四人に手渡した。
「フム、さすがはドワーフ族ですな。ですが所詮は亜人族の作った武具。アクトの玩具と比べるまでもなく粗悪品です。我が君。たとえ彼らが何人いようと<剣神>や<魔神>を持っているあのお二方には傷一つつけることはできないのでご安心ください。もちろんお傍にはソレイユもおりますので、万全の体勢です」
そういえばカンザ一行は、俺の両親が最上位スキルを得ている事を知らなかったんだ。
確かに今の両親であれば、こんな連中に遅れをとることは無いだろう。
「主君!某ソラリスに頼んでお二人に最上級の武具を作らせるでござる」
と言った瞬間にアクトはこの場から消えた。
ソラリスとは、言葉使いは少々乱暴だが優れた美貌をもつ武神で、武具の作成に最も精通している神の一柱だ。
「アクトの提案は至極当然ですな。我が君の御両親には、玩具ではなく最高の武具を使用していただくのは自明の理。ご理解頂けますようお願いいたします」
「え?いや、ありがとう。俺の父さんと母さんの事まで気にかけてくれて、嬉しいよ」
そんな中、謁見は終了してカンザ一行は新たな武具を手にナルバ村を目指す。
道中のダンジョンにも立ち寄り、攻略メインではなく聖武具の入手を第一目的にダンジョン内部に入っていくらしい。
当然だが、あいつらが踏み入った時にはダンジョン内にあるアクト達が設置した聖武具は回収される。
異空間にいた時にスキルを与えるのと同じ要領で、ある程度の数を設置しているらしいが、結構深層に設置しているのでなかなか発見することができないようで、発見されていない状態の聖武具がかなり存在しているとのこと。
俺は、当初の目的の通り自分の無事を知らせるべくナタシア王女の後をついて行く。
この場で俺達がいきなり現れると大騒ぎになり、ゆっくり話を聞いてもらえなくなると思ったからだ。
艶めかしい後ろ姿を見つつ、後をついて行く。
一応断っておくが、ポヤーッと見ているだけだ。
やがてナタシア王女は自分の部屋に入ると、護衛の騎士達は扉の前に陣取った。緊急事態でもない限り王女の部屋に入る訳にはいかない近衛騎士は、部屋の前で護衛を行うのだ。
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伝説の剣を使い、腐った王国を立て直す。異母兄よ、国王よ、そして防壁に守られている貴族の連中よ、最早お前達は赤の他人だ。自分の身は自分で守れよ!!
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もよろしくお願いいたします。




