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僕のスキル

宜しくお願いいたします。

「あなたのスキルは、正直私も聞いたことがないスキルで、<統べる者>です。どのようなスキルなのかわかりませんので、こちらも王都に報告させていただきます。ではこれで神託の儀を終わります」


 はい?

 予想と全く違ったスキルを伝えられて呆然としてしまった。


 もしかして、<操術>の上位か最上位が<統べる者>なんだろうか?

 そうだとしたら、龍なんかも操れることになるかもしれない!!


 当然見たことなんてないけれど、お父さん、お母さんと冒険者の話を聞いていると時々出てきた最強の魔獣の一種。

 こんな魔獣を操ることができたりしたら、このナルバ村……嫌々違うかな。ソレッド王国だけじゃなくて、大陸最強になったりしちゃうんじゃないかな?


 この時点では夢がとても大きく膨らんでいた。


「お兄ちゃん、何だかわからないけど凄いじゃない!!」

「なんだかわかんねーけど、もしかして俺達四人で王都に行けるんじゃねーの?」

「フフ、そうだと嬉しいですね」


 フラウやホールとリルーナも皆喜んでくれていたんだ。


 その後は、お父さんとお母さん、そしてフラウと僕の四人で家に帰って、いつも通りの生活に戻った。

 父さんと母さんも<統べる者>については何も知らないらしく、スキルの話は少しだけ。そして、残りは仲間を大切にするように……とか、どうやって連携を取ったらいいのか……とか、魔獣との戦闘時の心得のような物を教えてくれたんだ。


 スキルを得たら利用したくなる。特にフラウは父さん、母さんでも持っていない上位スキル持ちだ。スキルに溺れて危険を招かないように、少しでも僕たちが安全に行動できるように、と言った親心から話してくれているのは、いくら僕でも良くわかった。


 一週間もしただろうか?僕たちと同じように神託の儀でスキルが判明した人達は、それぞれに適した修行を始めていた。

 そんな中、王都からの使者が家にきて、上位スキルの<剣聖>を持つ妹のフラウと、詳細が全く分からないスキルを得てしまった僕、仲が良くて同じく上位スキルをえているホールとリルーナは王都に行くことになってしまった。


 その人が言うには、この国は時々魔族の襲撃を受けることがあるので、上位スキルを持つ者は義務として王都で修行を行い、選抜メンバーとして高ランクの魔獣を討伐し、魔族の王である魔王や、更に上位の存在である魔神が顕現してしまった場合には討伐に向かう必要があるんだって。


 魔族って、この辺りにもいる魔獣もその中に含まれるみたい。

 色々な種族?が一括りにされているようで、僕の肩にいるスライムも魔族であり魔獣なんだってさ。


 魔神は、五千年前に一度この世に顕現して、当時の選抜メンバーが一月程の戦闘を行って相打ちになったと言われているらしい。

 魔王の顕現はもう少し最近……と言っても千年前位にあったと記録があるみたい。


 僕達もそのメンバーになる可能性が高いので、秘匿と言うことで教えてもらった。

 更に、その情報の中には、この国に最上位スキルである<槍神><剣神>が誕生していて、すでに修行を開始しているんだって。


 この話を聞いた僕は、正直王都に行くのが少し怖くなってしまった。

 だって、明らかに場違いだもんね。何だかかっこいいスキルが並ぶ中で、一人だけ<統べる者>って……


 そんな中、翌日の朝には王都に向かうとの事で、家族揃った最後の晩餐をしている所なんだ。


「キグスタ、フラウ、なんだか凄い事になってしまったが、無理をしなくてもいいんだぞ。国の決まりだから修行まではしょうがないが、付いていけなくなってもそれでいいんだ。自分の体を大切にするんだぞ」

「私がお兄ちゃんを守るから任せておいて!!」

 

 少し恥ずかしいけど、頼もしい妹だ。


「お父さん、お母さん、魔族の王の討伐って言っていたけど、魔族って僕達と争っているの?」

「う~ん、そうとも言えるし、そうじゃないとも言えるな。例えば俺達は魔獣を討伐して生活しているだろ?魔獣、これも魔族に連なるものだけど、魔獣からしたら俺達は命を脅かす敵だ。それにな、魔族といってもいろんな魔族がいるので、俺達の力になってくれている魔族もいるんだぞ」

「そうなの?例えば??」


「それはね、大きく分けて人族以外と言う事で魔族に分類されるかもしれないけど、例えば精霊族なんかは私たちの力になってくれる場合が多いわね。それに、魔族の一部は<操術>のスキルがなくても懐いてくれて、力になってくれる物もいるわよ」

「お母さん、それって友達みたいに人それぞれってこと?いい人もいれば悪い人もいる……みたいな感じ??」


 フラウも気になるみたいだな。


「ええそうよ。でも私たちが知っているのはここまでなの。ごめんなさい」

「それじゃあ、いつか魔族と言われている人達とも仲良くできる日が来るかもしれないんだね?」


 フラウの希望に父さんと母さんは優しく微笑んでいた。


 そう言って最後の晩餐は終わっていく。


 この時は、本当に妹であるフラウとナルバ村の仲間であるリルーナ、ホール、そして僕で厳しくも楽しい生活が待っていると疑いもしなかった。


 なので、スキルで大きな差をつけられてしまったのを感じた僕は、この日からいつも以上の鍛練を自分に課すことにしたんだ。


 少しでも彼らの力になりたい。少しでも仲間が危険になる可能性を減らしたい。

 そして、僕自身も強くなりたい。

 足手まといだけにはなりたくなくて、鍛錬メニューを倍にした。


 もちろんその分早く起きなくてはいけなくなるけど、どうせ明日は王都に向かう馬車の中。道中は野営をすることになる。


 見張りの人に一声かけておけば全く問題ないと思うんだ。


 そうと決めたら頑張るぞ!皆の為に、そして僕自身の為に!!

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