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キグスタ、ナルバ村に帰還する(2)

今日はおしまいです。

「取り乱してスマン。だが……キグスタの事は信用しているが、中々素直に信じられない話だ。そもそも<剣神>は最上位スキルだぞ?王都で一人<剣聖>から昇格した事があると聞いたことはあるが……まさに伝説のスキルだ。それを、さっきのお茶とお菓子をくれるみたいに気軽に……」

「フフ、あなた落ち着きなさい。大丈夫よ。キグスタがそんなウソをつくわけないじゃない。するとヨハンさん。あなたが私達に<剣術>と<魔術>をくれたのですね?ありがとうございます」


 母さんはこのありえない状況に対応できてしまっている。

 ホンワカしているだけに、緊張が脳に伝わらないのだろうか?


「正確にはあなた様の<魔術>と<剣術>に関しましてはソラリス……他の者が与えた物ではありますが、私でも<魔神>と<剣神>を付与させていただくことは可能です。では始めますか我が君?」


 余計な事を考えていたら、ヨハンに呼ばれて我に返る。


「うん、じゃあお願いするよ」

「承りました」


 ヨハンは目を瞑り両手を胸の前で合わせると、その手を覆うように金色の球体が現れた。

 それが父さんと母さんに向かって優しく吸い込まれる。


「終わりました。それではご確認ください」

「ふお、本当だ!!」

「あらまあ、本当に<魔神>がありますね。ありがとうございます」


 父さんは大はしゃぎで動き回っている。

 最上位スキルを得たおかげか、俺の知っている父さんの動きとは比べ物にならない程動きに切れと速さがある。


 これでめったなことでは父さんと母さんの安全を脅かすことは無いだろうと思う。


「だがキグスタ、俺達の事を思ってスキルをくれたことは本当に嬉しいが、場合によっては俺達の力では対応できないかもしれない」

「そうね、この村民を人質に取られたり、村民たちが襲ってきてもちょっと攻撃はしたくないわね」


 搦手で来られたら、いくら最上位スキルでも対応できない場合があると言う事か。


 ならば、俺を死んだことにした報告をしている最中に王都に乗り込んで本当の事を話すのもありかもしれないな。


「わかった。じゃあ俺が王都に行って真実を話してくるよ。言えない事もあるけどね。そうそう、<統べる者>の件、秘密で頼むよ。もちろん<剣神>や<魔神>のスキルやヨハン達の事もね」

「少し心配ね。フラウもあっち側の人間だし、王都で何かあったら心配だわ。私もいっしょに行こうかしら?」


「大丈夫だよ。俺には強い味方がいるからね」


 ヨハンが嬉しそうにして頭を下げる。

 だが、俺の動きが遅かったりフラウ達の動きが速かった場合、俺が王都に行っている最中に父さん母さんに危険が及ぶかもしれない。


 そう言えば、ギルドから王都のギルドに魔道具で連絡が言っているはずだ。

 国王の決断が早ければ、既に騎士がこちらに向かっている可能性もある。


 不安な表情になった俺に対して、ヨハンが、


「キグスタ様、まだ王都での動きはございませんよ。それと、御両親の元にはソレイユを残しておきましょう。ソレイユ!」

「お待たせいたしました我が主」


 ヨハンが呼び終わるかどうかのタイミングでソレイユは現れた。


「お初にお目にかかります。私、至高の主の忠実な配下である獣神のソレイユと申します。主不在の間、全力で安全を確保させていただきます。どうぞご安心ください」

「あ、よろしくお願いします」


 心を読んだかの様に今の不安を解消してくれた。

 そして父さんは驚きすぎて、一周回って普通の精神状態になったらしい。


「それでは早速向かいましょうか」

「そうだね。じゃあ父さん母さん行ってくるよ。そんなに時間はかからないと思うけど。ソレイユもよろしくね」

「承知いたしました」


 ヨハンと共に家を出て、王都に向って転移してもらった。

 すでにあいつ等は王都の近くまで移動できているようだ。

 数時間の内に到着できる見込みだそうだ。


 俺の方が早く王都に帰還してしまったので、少々時間を潰すためにヨハンと共にフラフラしている。

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