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再びフラウ

 何故このような状態になっているのかわからないキグスタとヨハン。

 その隙に、コンタレイの近くにいるキグスタがオリサとロゼの二人によって捕縛されてしまう。


 油断していたとはいえ、アクトとハルムの意識を一撃で奪う程の攻撃ができる二人。

 いくらスライムを纏ったキグスタとは言え、致命傷を負う可能性が高いので動く事ができないヨハン。


 だが、ヨハンには秘策があった。

 キグスタに対して悪意ある者があのスライムに触れていると、その力を奪う事ができるのだ。


 何故あの二人が凶行に出たかは不明だが、力が弱った瞬間に制圧すれば問題ないと考えていたのだ。

 しかし、その思惑とは裏腹に、二人の力が減少する様子はない。


 これは、意識の深層でオリサとロゼが必死にキグスタを守ろうと戦っているためで、スライムに懸けられている術は、キグスタを必死で守ろうとしている者が触れていると判断してしまっていたのだ。


 この硬直状態の中、コンタレイとこの二人が一旦向かった観客席の方から、フラウ、ウイド、カンザが現れたのだ。


「お前、フラウ!生きていたのか!」


 二人に捕縛された状態のキグスタがフラウを見て驚く。


 この時点で、罠にはまったとようやく判断したヨハン。

 転移で逃走する事も考えたのだが、オリサとロゼの力がそのまま使える場合には、その転移について来る事が出来てしまう。

 その間に、キグスタが危機的状況に陥る可能性があるので断念した。


「フフフ、キグスタ、良いわねその感情。動揺、驚愕、そして怒り。ああ、とっても良い栄養よ」


 こんなセリフを吐くフラウをみて、ヨハンは今この時点でフラウの力が上昇している事を確認した。

 このセリフと状況を考慮すると、感情を食らい力にしている事は間違いなさそうだと判断する。


 このままフラウが至高の主であるキグスタに触れれば、かなりの悪意があるはずなので、その力を吸い取る事が可能なはず。

 至高の主にフラウが触れる事に嫌悪感を覚えるが、この状況ではやむを得ない事と自らに言い聞かせている。


 しかしそのように都合の良い状況にはならなかった。


「そこのお爺ちゃん。少しでも妙な動きをすれば、キグスタの命はないわよ。この男の命が惜しければ、そのバカみたいな力を抑えて、おとなしく封印されなさい」


 フラウは、実際に今のヨハンの姿、そして自らの力を比較した結果、今のフラウ達の力でもヨハンを倒す事ができないと判断したので、急遽作戦を変更したのだ。


 そう、最高戦力であるヨハンの封印だ。


 ここまで最悪の状況に陥った、陥ってしまったその原因のオリサとロゼは、このままではキグスタの命すら危険に晒されると、二人同時に判断し、無意識にその存在を守るために使っていた力も全て使い、最後の抵抗を試みた。


 突然キグスタをヨハンの方向に突き飛ばすと、互いの胸を貫いたのだ。


 今度はこの行動に驚いたフラウ一行だが、カンザとウイドは突き飛ばされて無防備な背中を晒しているキグスタに攻撃をした。


 ヨハンはキグスタを守るために、フラウの指示通りにその力を抑えにかかっていたので、対応が一瞬遅れる。


 スライムの防御すら突き抜けて、カンザとウイドの攻撃を無防備な背後からまともに食らったキグスタは吐血し倒れ伏す。


 慌てて近づき回復を行おうとするヨハン。

 無意識化で防御に回していた力も、フラウの指示で意識的に、且つ強制的に抑え込んでいた状態なのだ。


 そこに、目の前で至高の主であるキグスタが重傷を負わされた。

 まさに自らの不甲斐なさを悔みつつ、治療に当たろうとしていた。


 だが、強大な力を持つヨハンの負の感情によって、フラウの力も増大していた。

 その力で、隙だらけのヨハンに対して攻撃を行い、あろうことかヨハンも重傷を負ったのだ。


 その傷のおかげか、少々の冷静さを取り戻したヨハンは、倒れ伏しているキグスタ、アクト、ハルムと共に転移で逃走する。


 オリサとロゼについては敵か味方か判断が付かなかったため、キグスタの命を優先したのだ。


 この判断は正しい。

 既に最後の力を振り絞った二人の意識は完全に消失し、今は精神体の依り代としての存在に成り果ててしまっていたのだ。


 ヨハンの負の感情を受けたオリサとロゼだった者も、その力を増幅する事に成功して既に復活している。


「流石はフラウだ。上手くいったじゃないか」

「そうだな。我らの力も増幅した」

「でも、あいつらに復活の時間を与えると面倒くさいわよ?」

「そうね、この依り代の力があれば、すぐにでも攻撃できるわよ?」


 カンザ、ウイド、オリサ、ロゼが、フラウに近づいて嬉しそうにしている。


「皆の言うとおりね、あいつらが復活する前に、叩きに行きましょう。これが本当に最後の戦いよ」


 一方、ヨハンの力でソレッド地区にある居城に戻ったキグスタ一行。

 すでにヨハンが念話で状況を知らせているので、留守番隊となっていたソラリスとソレイユ、キグスタの妻達、更にはグリフィス国王も待機していた。


「まさかアクトやハルムまでこのような・・・・・・」

「ふざけやがって、お前ら、戦闘準備だ。あいつ等間違いなく攻めて来るぞ!」


 ソラリス、ソレイユが二人で全力でキグスタに回復を行いつつ、フラウ達が間違いなく攻めてくると理解していた。


「ですが、まさかヨハン様までこのような状態になってしまうとは、どれ程の力を得たのか……ヨハン様によれば、何やら負の感情を力にしているとの事。これは非常にやり辛いですね」

「確かにその通りだ。あいつらは我らが主を傷つけた。そのせいで、感情が乱れる事も織り込み済みだとしたら相当なタマだぞ」


 超常の者達の内二名を手の内に収め、至高の主であるキグスタを始めとした同行者に重傷を負わせたフラウ一行。

 キグスタ達に怒りの感情が芽生える事は想定済み。そうなれば自ずとフラウの力が増幅するのだ。

連載中の副ギルドマスター補佐心得、


https://ncode.syosetu.com/n5874gy/


一読いただけると嬉しいです。

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