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ホールとリルーナ

 とりあえずあの二人、ホールとリルーナをそれぞれの国から戻してグリフィス国王に報告をさせるが、必死で収集した情報であろう内容に齟齬はなかった。

 もちろん、監視していたので、齟齬があるわけがない事はわかっている。


 俺は、この二人の扱いについては既に決めていた。

 フラウの事、そして、この二人の最近の行動、罰を素直に受け入れ続けている事等を妻達と相談していたのだ。


 それは、ナルバ町で生活をさせる事。

 あいつらは、腐っても上位スキル持ち。


 その為、ナルバ町の外の魔獣を狩り、素材を格安でギルドに卸す。

 そんな生活をさせる事にした。


 もちろん、魔獣のレベルを上げるなどと言う事はしていないので、あいつ等であれば安全に狩りをする事ができるだろう。


 今、ナルバ町に住んでいる人々は、ほとんど全てがワウチ帝国からの移民だ。

 ここで信頼を勝ち得て、徐々に活動の場を広げられるようになってくれれば……と願っている。


 だが、ソレッド地区や王都に関しては、あいつらの悪行を知っている面々が多すぎるので、すぐに彼らの評価が覆る事は無いだろう。

 長い時間をかけて、このナルバ町での評判を王都等に向かって発信する事で、ある程度の立ち位置まで戻せればと思っている。


 その旨、グリフィス国王や、ガーグルさんに話をして了解を貰い、二人に話をつける。


「ホール、リルーナ、お前達の以前の行動は決して許される事じゃないが、カンザの影響、そして、俺達すら欺いたフラウの影響があった事は事実だと思っている。その証拠に、あの二人から離れたお前等の行動は、忌諱するものは一切なかった。だから差し当たり、お前らの行動を知られていない人々しかいないこのナルバ町でやり直せ。真面目に生活して行けば、その内王都にも行けるようになるだろう」


 二人は、涙を流してお礼を伝えてきた。


「それと、今後はこの町で冒険者として活動してもらうが、周辺の森の魔獣を狩ってくれ。暫くは安めの買い取りになるが、徐々に通常の買い取り価格に戻してやる予定だ。それと、住む家はギルドの近く……あの家をやる。一月程は、体調を元に戻す事に専念する時間をやる。その後は、この武器を使って冒険者をすると良い」


 そう伝えて、ソラリスではなく、アクトが少々手を抜いて作った武具を渡してやる。

 とは言え、それでも聖武具と言えるほどの出来になっているので、楽に仕事ができるだろう。


「最後に、もし万が一フラウに関する情報を得たら、誰でも良い。何なら、龍番にいる龍でも話は伝わる。必ず直ぐに教えろよ。じゃあな!」


 あまり長く話してもあいつらの体力は限界だろうし、お互いの立場が大きく変わりすぎているので、余計に負担になる可能性もあるので、用件を済ませると即その場を後にした。


 そして、あいつ等には伝えなかったが、ハルムによる監視をつけていたのだが、俺の指示通り一月後から、冒険者として活動を始めていた。


「リルーナ、援護だ!」

「任せて!!」


 援護や連携等も、以前俺達と選抜メンバーとして活動していた時以上に磨かれている。

 とは言え、この辺りの魔獣では、連携も援護も必要ない位力の差があるのだが、自らを鍛えると言った意味では良いのかもしれないな。


 そして、狩った魔獣をギルドに納品しているが、その買い取り額に関しては一切の文句を言う事は無かった。

 もちろん、徐々に買い取り額は正常の価格に戻している。


 更に、あいつらは進んで魔獣討伐以外の依頼も受注していた。

 例えば、お年寄りの生活補助、屋根等の掃除、行方不明のペットの探索等だ。


 実際には、こう言った依頼は、冒険者になりたての者が行うものなのだが、今このナルバ町には、新人冒険者がいない。


 逆に、新人冒険者がいるのにこの依頼を受けてしまうと新人の仕事がなくなるで問題なのだが、今は非常に助かっている……とギルドマスターが言っていた。


 暫くは、このまま継続した監視を行う予定だ。

 万が一にも、フラウからの接触があると危険な事も考慮した上で判断した。


 だが、フラウの件が落ち着けば、監視は完全に外して、自由に生活させても良いと思っている。


 それほど、ナルバ村にいた頃のあいつらに戻っていると思えたからだ。

 この状態で生活をして行ってくれれば、その内王都にも行けるだろうな。


 ただ、俺はこれ以上力を貸すつもりはない。

 あくまで、自らの悪評は自らの行いで帳消しにするべきだからだ。


 だが、そうなると、恐るべきは、カンザとフラウ。


 ホールとリルーナが、あいつらの影響を受けた事は間違いない。


 カンザは既に犯罪奴隷として、何の影響力もなくなっているから問題ない。

 早くフラウの件も解決できると良いのだが、未だ足取りが掴めていない。


 これほどの力を隠し続けていたのだから、大したものだ。

 だが、隠れる力は立派だが、戦闘力も同様に高いかと言うと、話は別だ。


 既に、この大陸中の半分以上を探索し終えている。

 探索後は、異常があれば分かるように、魔力の膜?を張り巡らせており、フラウの魔力を察知すればわかるようにしているそうだ。


 理屈は良く分からないが、そう言う事だ。


 こうすれば、徐々に包囲網を狭める形でフラウを見つける事ができるんだそうだ。


 そして、発見し次第、俺も現場に向かう事にしている。

 万が一、フラウがこちらを攻撃しようとしてきたときのためだ。


 こうしているうちに、クレースとファミュも俺と血が繋がっている新たな命を生み出してくれた。


 クレースの所には、男の子でチラン。ファミュの所には、女の子でリトアと名付けた。

 早く、憂いを無くして子供たちと沢山遊びたい。


 その為には、フラウの発見が必須だ。


 このペースでいけば、後一週間以内にはこの大陸中の探索が終わるだろう。

 超常の者達の力に耐えられる強度が大陸にあれば、あっという間に終わったと思うのだが、こればかりは仕方がない。


 今の所実害は出ていないので、じっくりと、慎重に、でもなるべく早く……探索を進めよう。

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