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超常の者達の嫌がらせ

まだまだまだ 続きます。

 この場にいる超常の存在達は、絶対の主君に対して裏切り行為を行ったカンザ一行に、相応の対価を払わせるべきと思っているのだが、その絶対の主君から放っておくように言われてしまっているので、チマチマとした嫌がらせしかできない。


 なので、アクトの嫌がらせは当然として、更にそれに続いたのは武神のソラリスだ。


「フン、こいつらなんぞにスキルを与えたのが間違いだった。今更剥奪はできねーが進化はさせねー。お前らはどんなに必死で修行しても上位スキルのままだ。だがそれだけじゃ腹の虫が収まんねーな。そうだ!ソレイユ!!お前こいつらの部屋に見た目おぞましい昆虫系を召喚しろ!!」


 彼女は普段からこのような言葉使いである。

 一方、問いかけられた獣神のソレイユは、我が意を得たりと喜々として返事をする。普段はおっとりしており無害そうな彼女も、この案に諸手を上げて賛同していた。


「それは良い案ですね。我が主をここまで侮辱されて何もしないなど有り得ませんから」


 こんな神々の話に、精霊王を始めとした近衛騎士分隊長は落ち着きを取り戻していく。

 目の前でカンザ一行に対しての復讐……ではなく、チマチマとした嫌がらせが行われるので、多少は溜飲が下がる思いなのだ。


「だが、今回の言訳はどうする?それにこの宿屋に迷惑がかかるかもしれない。そんな事になったらご主人は怒ってしまうのではないか?」


 精霊神ハルムは、聖武具を破壊した時のように言訳を考えるように進言する。

 彼らにしてみれば、絶対の主であるキグスタの不興を買う事だけはしたくないのだ。


 前回の聖武具破壊については、踏んずけて壊してしまった……と言う報告をしたときには苦笑いで許してくれたが、今回はどうだろうか??と真面目に悩んでいる。


 悩むポイントがそこか!と言いたくなるが、超常の者達にとってみれば、そこが一番大切な所なのだから仕方がない。


「それでしたらば問題ありません。昆虫の召喚は彼らのみがいる時に召喚し、他の方々が来るときには送還して元通りにしておきますので。それに、傷程度であればわざわざ報告しなくとも問題ないのではないでしょうか?」

「おおそうか。それは良い案だな。流石はソレイユだ。皆はどうだ?他に良い案はあるか??」


 ハルムとソレイユの話の結果、この場にいる超常の者達全員が大きく頷いた。


 そんな話を傍でされているとはわからないカンザ一行。

 既にかなり酔っぱらっており、リルーナの結界も怪しい状態になっている。


 これ以上ここで話を続けていると、ダンジョン最下層のボス部屋での悪行を他人に聞かれてしまう可能性もある。


 本人も流石に気が付いているようで、一旦全員が各部屋に戻ることにしたようだ。


「フフフ、某、既に奴らの傷に痛みを与え、回復不可を実施しましたぞ。あまりに長期間だと主君にばれてしまうかもしれない故、一週間程度にしたでござる」

「私も部屋のあちこちに虫達を召喚しました。部屋に入って扉を閉め布団に入った瞬間が楽しみです」


 だが、彼らの作戦はこの夜に功を奏することはなかった。

 カンザ一行は泥酔しており、痛みも感じない状態の上に虫を認識することなく深く寝入ってしまったのだ。


「む!なんとあの痛みを感じずに行動できるとは……某少々奴らを見くびっていたでござる」

「本当よ!!なんで目の前に虫がいるのに気が付かないのよ!!!」


 相当悔しがっている超常の者達だが、夜が明ければ話は別だ。


 痛みによって普段よりもかなり早くに目を覚ました四人は、体中を蠢く虫達を見て声にならない悲鳴を上げて一目散に逃げだした。


 こんな彼らを見て留飲を下げた超常の者達は、一旦キグスタの元に戻ることにした。

 もちろん虫たちは送還しており、一切の痕跡はない。


「これで少し、本当に少しだけですがスッキリしましたね。アクトもお疲れさまでした」 

「いやいや、本当は某もっと罰を与えたかったのでござるが、今回はこれで我慢するでござるよ」


 こんな話をしながら、キグスタの元に戻るのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] >「フン、こいつらなんぞにスキルを与えたのが間違いだった。今更剥奪はできねーが進化はさせねー。 結局、主人公が不幸なのって、ほぼ配下が原因なんじゃないの? なんというか、色々おかしくて腑に…
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