4話
魔法が発動せず歯噛みする不良A。
「何ぃー!」
驚きの様相の不良B。
「魔法具の故障ですか? 魔法が使えなきゃ何も出来ないすか?」
不良さんに投げかける俺。
「てめぇ、何かしやがったな?」
疑ってくる不良さん。間違いじゃあないけどね。
「凡々人の僕が何か出来るように見えます?」
「出来ないだろうな」
よしっ、チョロい。疑いは逸れたようだ。
「また、お前らか!」
僕と不良さんが睨み合っている間に警備員さんが駆けつけたようだ。どうやら、常連の不良さん方のようだ。
「くそっ! 今日は撤収だ」
「だな」
不良さんは踵を返して出て行った。
「毎度だけど、君も、あまり不良達を刺激しないようにね」
警備員さんは僕に対しても諌めた。
「善処します」
僕は肩を竦めた。
「全くですわ、暁さま」
警備員さんが去ると、少女、芝泉水さんが来た。
「芝さんじゃあないですか〜。いらしてたんですね」
僕は今気付いたかのようにおどけて見せる。
「いらしてたんですね〜じゃあないですよぉ。今日も運が良かっただけで、凡々人のあなたはわざわざ不良達を挑発して危険な状態に遭う必要ないんです」
「全くですね……ははっ……」
苦笑いしながら芝さんの忠告に肩を竦める。
「笑い事ではないですよ?」
眉を吊り上げて諌める芝さん。怖くないです。
「つまりは、僕にあのような不良さん方にお金を差し出せと、そういう事を仰りたいのですか?」
大袈裟にジェスチャーをして抗議する僕。
「そういう事ではございませんが、身の安全を第一にと……」
眉を下げて話す芝さん。
「それに、付き合い長い芝さんは僕の能力も大方把握していらっしゃると思います。いかがでしょうか?」
すごんで見せる僕。
「むむむ……」
唸る芝さん。
「事実として、自分の身は自分で守れますから、安心してください」
「安心って……(私の立つ瀬が無いじゃあないですか?)」
なおも納得出来てない様子の芝さんであった。