2話
「幸山さん、相変わらず格好いいな〜」
クラスメイトの竹田君がスマホを見ながら呟く。
「だよね〜竹ちゃん」
竹田君の彼女の相澤菜々美さん、通称菜々さん。
幸山さん、フルネーム幸山沙亜羅さんは魔法警察隊の一員である。そして、竹田君と相澤さん、2年後輩、は今朝のニュース記事を見て呟いていた訳だ。
「凌っち先輩もそう思うでしょ?」
相澤さんが話を振ってきた。
「だねぇー」
僕は適当な相槌を打った。僕達、魔法も使えない凡々人(僕は事情が違うが)にとっては魔法警察隊は高嶺の存在で且つ焦がれの存在でもある。それに属し活躍しているというのは賞賛に値する。僕達にとって魔法はファンタジーの代物の存在で、それを現実世界で使用している方々には純粋な憧れがある。俺も魔法を使ってみたいな〜(魔法じみた能力は使えるのであるが)
余談だが、竹田君と相澤さんが付き合っているのはもはや公認の事実で、内実相澤さんの方がぞっこんである。
そして、今は昼休み中で予鈴まで屋上でうだうだしている所だ。
「菜々、そろそろ教室戻ろうぜ。 次の授業は移動教室だったろ?」
「だねぇー、竹ちゃん」
そろそろ竹田君と相澤さんは戻るようだ。
「それじゃあ、暁先輩、またね」
「凌っち先輩、ほなね〜」
僕は2人に手を振って返した。
「(僕もそろそろ戻るか……)」
そう心の中で呟くと、屋上を後にした。