1話
この世界は魔法が使える魔法師が上位カーストを占め、使えない者達は魔法師より下位に成り下がるのが、魔法が使えるようになって以来の定理となっている。それは俺の周りでも変わらない。
だが、魔法を使える事によって優位性を持っている魔法師が、魔法を使えない状況になったとしたらどうだろうか?
僕、暁凌魔は、物心ついた時から魔法師が魔法発動に要する術式をゼロに戻す事によって無効化したり、物質の化学結合を無に帰す事で分解出来た。魔法が無効化されると、彼らは酷く混乱し逃げる様に走り去るのが大概だった。その代わりと言ってはなんだが俺は魔法が使えない。だからと言って魔法師が憎いとか、反魔法師!とか思ってないし、正直、そのような過激派組織には関わりたくないのが本音である。魔法使えない人間にも良い奴と悪い奴がいる、魔法師もそうだろ?だけど、反魔法師の連中は頭から魔法師は悪い奴じゃあないとダメなのだ←ここ重要ね。だから大衆から支持されないし、支持してるのは自分達が魔法師に取って代わりたいだけの連中……は自明の理。逆も然り。
まぁ、しかし、僕の能力は反魔法師や魔法師至上主義の連中には喉から手が出るほど欲しいものだろうし、魔法師の連中からすれば疎ましいものだろう。だから、俺は表立っては能力を使わないようにしている。