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それから

 世界に流星群が降り注いだ十月十四日から一年後――同日。


 山を駆け上がる一人の女性が山頂に辿り着くと、そこには鋸刀を始め、大刀にハンマー、狙撃銃が地面に突き刺さり、手甲やトンファー、拳銃などあらゆる武器が置かれていた。


 その目の前で腰を落とすと、荒い呼吸を整えながら静かに息を吐いた。


「零士……私は――私()()は、大きな勘違いをしていた。人は、自分のことしか考えない。生きようとする想いが、理性を鈍らせる。我先に安全を手に入れたいと望み……そして、行動に移す」


 女性が座り込んだ地面には徐々に血溜りが広がっていく。


「奴らは成長し、伝染する……だからこその作戦と日時の指定。なのに、誰もそれを守らなかった。たぶん、救えたのはいくつかの地域だけ……作戦を決行した時には、すでに()()()たちは血清に対して耐性をつけ――私たちには、何も――っ」


 脇腹の傷口を押さえているが、止めどなく流れ出る血と比例するように女性の顔から生気が失われていく。


「……零士の想いを受け継いだはずだったのに……私は――人の欲を、受け入れることも救うこともできなかった……」


 言葉を捻り出すことだけに精一杯で零れ落ちる涙を拭うことも出来ず、傷口を押さえていた腕は力なく地面を這った。




「あぁ、でも……零士なら、こういう時も『想定の範囲内だ』って――」




 そして――世界は。





 END

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