第15話 「訓練試合という名のカツアゲ(中編)」
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ゲルドが闘技場中央で『次っ』と叫んだ。
俺とワイダーンは闘技場中央に向かい、ゲルドに銀貨1枚ずつを支払った。
ワイダーンは見た通りの弓使いだ。
試合開始と同時にワイダーンは、呪文を唱えつつ距離をとった。
俺はその間に、前方3mに「風の盾LV3」を張った。
ワイダーンは50m離れてから矢を放った。
鏃には、ほんのりと炎が纏わり付いている。
炎? 何か意味があるのだろうか?
案の定、矢は俺に届く事なく風の盾に吹き飛ばされた。
ワイダーンは再び呪文と共に、矢を放った。
今度は鏃に水が纏わり付いている。
今度は水? 余計に分からない。
水の矢も、風の盾に吹き飛ばされた。
皆んなが風の盾に注意を引かれている間に、ワイダーンは呪文と共に3本の矢を真上に放った。
俺は気がついていたが、様子を見ることにした。
結界の、耐魔法攻撃軽減LV5と耐物理攻撃軽減LV5を自分にかけておいた。
ワイダーンの放った矢の鏃が光っている。雷魔法だった。
3本の矢がバチバチと放電しながら向かってくる。
線香花火みたいで綺麗だ。
もっと沢山の線香花火を、聖子と一緒に見てみたい。
矢は狙い通りに届いたが、俺には効かない。
一本は眉間、一本は心臓、もう一本は股間。
弓使いとしては、上級の部類に入るのだろう。
だが股間はやめてほしい。
俺も聖子に付き合わされ、弓道には自信がある。
風の盾を消すと、貧弱な木の弓を取り出す。
ワイダーンと観客が笑った気がした。
矢の鏃に「ファイアボールLV3」の1cmバージョンを纏わせた。
青白い光で5,000℃はあるだろう。
そしてスキル「自動追尾」を追加し、ワイダーンの心臓をロックオン!。
これで、あとはどこを狙おうがワイダーンは終わりだ。
余興としてワイダーンと反対の方向に向かって矢を放った。
ワイダーンと観客が大笑いしている。
だが、「自動追尾」の恐ろしいのはここからだ。
矢は大きく旋回して、ワイダーンが避ける間も無く、正確に心臓に命中して、後ろの保護壁もろとも爆散した。
あっ、またやっちまったかな?
オーバーキル?
しかも聖子に教わった技術が何もない。
気がついたら、バラバラになったワイダーンは、控室で復活していた。
体育座りで目が虚ろ、ブルブル震えていた。
自分が爆発する経験をしたんだ。
バンジージャンプよりも貴重な経験だ。
俺はどっちも嫌だけどね。
『しょ、勝者「ヒデキ」』
ゲルドから銀貨2枚を受け取った。
観客席はまだ静まり返っている。
この隙に胴元から4倍の銀貨20枚を受け取る。胴元への手数料は1割、銀貨2枚だ。
次は『ケロッグ?』だっけ?
三連ちゃんになるが、まだ疲れてはいない。
闘技場の真ん中で「愛を叫ぶ」
ではなくてゲルドが叫んだ。
『続いての「ヒデキ」と「グロッケル」の試合は、ギルドマスターの権限により中止引き分けとする』
観客席からブーイングが出た。
『静かにっ、さっきの弓魔法攻撃により防御壁が損傷した』
『修理完了までこの闘技場は使用不可とする』
俺のせい?
するとケロッグが、
『なら、魔法なしで試合すれば良いんじゃないか? なぁヒデキとやら』
ん?
俺の魔法を封印してきたつもりなのかな?
さて、どうしてくれよう。
転生してから6日目
所持金:金貨9枚 銀貨22枚 銅貨9枚 鉄貨5枚
⇨ 約112万9,500円
賭けの儲け 金貨18枚