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夢見の村人
かつて世界の危機を救った、英雄と七人の聖人がいた。
彼女たちは多くの難局を乗り越え、そしてついに魔王を倒した。
さして英雄は元の世界へと帰り、七人の聖人は各地へと散った。
その中の一人、治癒の聖女として七人の聖人に選ばれた少女がいた。彼女は何があっても挫けることなく、戦場を駆け走り、治癒に尽力を尽くした。彼女がいなくては、戦況は悪化し、また死者も出ていたと、かの英雄は語っていたという。そんな彼女は王家との婚姻を断り、ただ一人を愛し通した男と故郷の空のもとで眠っているという。
スイカズラの花のペンダントをしていたことから敬意を込めて『スイカズラの乙女』と呼ばれる─────
とある村に、一人の村人がいた。
彼は、夢を見ることで、未来を知り、そして幾度となく村を救ってきたとされる。
今もその村で暮らす人々は、彼のことを『夢見の村人』と呼んでいるそうな。
最後の最期まで読んでいただきありがとうございました。
夢見の村人の視点はこれで終わりとなります。