おかえりと言える日まで、
そして、その日はやって来た。
あの日、夢を見た日に僕は村人たち全員を集めて、予知夢の話をした。
勿論皆驚いていた。驚いていたが、疑いはしなかった。僕の夢の的中率は、皆知っているからだ。アンナは不安そうにしていたのをよく覚えている。僕らは話し合って、結論を一つだした。
村人一強い、村長の息子ガレスを同行させると。
そりゃ、一番は行かせないことがいいのだけれど、こんな小さい村の抵抗など無駄にしか過ぎない。だから、聖女を産み出した村として、おとなしくアンナを行かせ、その代わりその護衛役としてガレスも同行させるようお願いしようと。側に、誰かがいれば勇者も手が出しにくいだろうし、牽制にも繋がる。僕が、着いていければ一番いいんだけれど……。まぁ、ガレスとはアンナの恋人の座を争いあった仲ではあるけれど、僕たちが付き合いだしたら、すっぱり諦めて応援してくれるようになって、今では一番の友人だ。それに、ガレスには鬼のように怖い、村一番の美人嫁が付いているから。それも安心だ。
「お前の恋人は俺が守るから、俺の嫁を頼んだぞ」
と頼んでくるほどだし。
正式に聖女の信託が下り、王都より参上するようにと命じられたとき、同行の許可も降り、そして、迎えの貴族が今日訪れた。
「アスラン………絶対あなたのこと、忘れないから。あい「アンナ。」アスラン?」
キョトンと首をかしげる愛しい人。そのほほをながら、僕は微笑む。
「続きの言葉帰ってから聞かせて?……大丈夫。君なら大丈夫。ガレスがいるしね。」
「アスラン…」
「それと、これ。あまり効果はないかもだけど、御守りね。行ってらっしゃい」
一週間前から、作り続けていた護石をアンナの首へとかける。
僕の護力自体は微々たるものだけれど、思い出も込めることで、それを強化してある。護石を嵌めている土台にスイカズラの花が掘り込んであるのに気づいたアンナが嬉しそうに頷く。
「行ってきます。アスラン」