表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ノンカピスコ・ten・LOVE   作者: 天野 涙
87/100

第87話 胸騒ぐ夜

そして運命の金曜日。

波留は久々文弥を呼び、自宅で飲んでいた。

両親は演奏旅行に行き、長期に留守。

広い家に波留一人きり。


さぞ家は荒れ放題かと思いきや、波留は意外に家庭的で

料理もするし、家事も手際よく、家の中はこぎれい。

文弥は二人きりなので、落ち着かないが、

ともかく波留の手料理に舌鼓。

そして目をむいて、驚いて見せた。


『これ、美味しいやんかあ!!波留、意外にいい奥さんになれそうやん。』

『フフッ、見直した?だったら文弥、もらってよ。』

『ええで、考えても・・波留さえよかったら。』

『嘘、本気にするで!』

急に真顔になる波留に、文弥は照れ笑い。


『ハハ・・でも、峰夫さん、どうすんの?』

『もう、それが聞いてよ。今度結婚するらしいよ。』

『エエ?波留をさしおいて?』


仙台の峰夫は、同級生の女性と近く結婚するらしい。

招待状は真央と波留にも送られてきた。


『じゃあ、もう来年仙台に就職はなしか?』

『ううん、行く。』

『なんで?真央も行くんやろ?俺一人寂しいやんか・・』

『それに、私気になる人が出来たの。』

『ええ!!誰???』


つい先日の話、峰夫の笑美子が結婚した。

相手は地元の業者で資産家らしい。結婚式に真央と波留も招かれた。

そこで、笑美子の夫の弟である隆史と意気投合したのだ。

隆史は売れないミュージシャンらしい。でも親が資産家なので

育ちがよく、少しくたびれたクシャっとした笑顔が印象的な男。

波留は仙台に行くと、彼に会うのが楽しみなのだ。


『それより、文弥、ちょっと聞きたいけど・・』

『なに?』

『どうして、真央とつきあわないの?』

『・・・俺、ココロは真央一筋や。さあけど、世間がほっといて

くれへんの。』

『エ?何、それ、真央一筋じゃないの?彼女がいるわけ?』

『ま~ね。・・俺、女切れたことナインや・実は・・・。』

『エエ?最低!!』


波留は目をむいて怒る。

文弥は頭をかく。


『俺は一筋に真央を思ってるのは本当。けど・・真央はそうじゃないわけで・・』

『・・・まあ、それは言えてる。待ってる間に寄り道くらいするわさ。

でも、今度こそチャンスよ。』

『エエ?』

『うん、今夜ね、真央にとって超ショックなことが起きるのよ。

もうすぐ、ここに駆け込んでくるわよ。泣きながらね。あんた、今度は

モノにしなさいよ。』

『・・そうかあ~なんかブルッときた~。』神妙な顔になる文弥。


リッ~ン その時波留の電話が鳴った。

(キタキタキタ~~)

電話の相手は真央だった。号泣状態。

電話を切った波留、文弥をたきつける。


『真央がこっち来るって!!文弥!気合いだ!気合いだ!』


波留も胸騒ぐ夜だった。








評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ