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ノンカピスコ・ten・LOVE   作者: 天野 涙
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第85話 オオカミになりたい夜

修平は、その夜眠れなかった。


夕貴の本のサイン会に寄った修平。

読者の列がとぎれ、帰ろうとする夕貴に思い切って声をかけた。

振り向いた夕貴に、少したじろいでしまったが、

名刺を差し出すと、興味を持ってくれた。


『鮫島議員の秘書さんですか?』

『はい、でもまだ新人ですが・・』

『鮫島議員には、個人的にとても興味あります。何か底知れぬ

謎がありそうですよね。いつか取材してみたいと思う人物の1人です。』

『ええ・・実際の先生は、人間的にも素晴らしい方です。それより・・』

『・・なにか?』

『あの、私の友人なんですが、中村真央という女性をご存じありませんか?』

『中村真央???・・・涼子さんの娘さんですか?』

『ええ・・サイン会に来てました。』

『・・へえ、全然気づかなかった。でも近々会いに行くつもりです。』

『それはどうして・・』

『涼子さんと結婚するので、挨拶に行くんですよ。』


夕貴は初対面の修平に臆面もなくにこやかにそう言った。

修平は、心臓が止まるかと思うくらい驚いた。


(え?それって・・真央、知らないんだよな・・)


あまりの動揺に、挨拶もそこそこに立ち去ったが、修平は真央を思うと

心が痛んだ。


(よりによって、思い続けた人が実の母親と結婚するなんて知ったら・・・

 真央ショックだよな・・)


それから、仕事も上の空で帰宅した。

そう言うに日に限って、由衣は部屋に来なかった。

先日、勝手に合い鍵を作って部屋の中に入り込んでいて喧嘩をしたからだ。


『修平さん、いつになったら、私を女としてみてくれるの?』と責められた。

『抱いてくれないのは、私が元ヤリマンだったから?』とも。


由衣がそう言ったとき、マジマジと顔を見てしまった。


(そうかもしれない・・)


波留は平気だったのに、由衣はダメって何故?自分でもわからない。

(まだ、真央に未練があるからか・・・)


でも、そんなに急ぐ事ではないと思っていた。

しかし肝心な日には来ないんだな・・と思う。そんなに都合よく世間は回らない。


(由衣、来いよ。今晩だったら抱いてやるのに・・)


オオカミになりたい満月の夜・・・焦るくらい時間はたつのに眠れない。


しかし、どうにもならず電話したのは波留だった。


『もしもし、波留?』

『菊ちゃん?元気?どうしたの、こんな夜中に・・』

『ごめん、何か眠れなくて・・』

『なんか悩みでも?』

『もうすぐ、真央が大変な事になると思うんだ。波留、力になってやって欲しい』

『何?わけわかんない・・話、聞こうか?ファミレスでも行く・・?』

『ああ・・でも、オレ、今日は危険かも・・』

『エエ~ッいいじゃない~。ワクワクする~ッ!!』


今晩の生け贄は、ノリがいい










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