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ノンカピスコ・ten・LOVE   作者: 天野 涙
7/100

第7話 母になれない女

由子は、昔はモデル事務所から誘いが来たほどの

美人で、スタイルが良かった。


祖父はフランス人。日本人離れした彫りの深い顔立ち。大柄で、

ずいぶん男性にももてた。

その高嶺の花を射止めたのは、真央の祖父の哲夫である。


哲夫と結婚後、すぐ涼子を妊娠した由子は浮かない顔。

喜びより、日々お腹が大きくなり、体形が崩れていくのに嫌悪感を覚える。


おまけに涼子は難産。

初産のあまりの苦しさに、尚新生児の涼子に愛情がわかなかった。


自分のお腹を痛めた子供なのに・・・と周りから言われると

愛情をもてない自分にも嫌悪感を抱き、苦しくなる。


それに昼も夜もなく泣く涼子に、ほとほと疲れた由子。

哲夫に頼み込み、家政婦を雇ってもらった。


子煩悩な家政婦は、しっかりな報酬を求めて、涼子を育ててくれた。

その間、由子は体型を取り戻し、趣味に打ち込むなどの

自分磨きに精を出したのだ。


子育てに無関心を装いながら、涼子に背を向けていたのだった。

現実からの逃避でしかない。


その涼子が10代で出産し、自分を捨てた男を追って渡米したとき、

後に残された真央を見つめながら思った。


(ああ、昔さぼった分を、今償わないといけないのだ)と。


でも頼りなげに泣く真央を見ていると、可哀想で泣けた。


(ごめんね、真央。お祖母ちゃんが悪いんだよ。)


勢いよくミルクを飲む真央をしっかり抱き、そう思ったのが

昨日のように思う由子。


涼子もきっと同じように、心の中では苦しんでいるのだろうと思うことにして、

真央を慈しみ、育てて行こうとまた思うのだ。










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