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ノンカピスコ・ten・LOVE   作者: 天野 涙
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第52話 夜と朝の間に?

『明日は、涼子さん一人で、田中さんに会いに行けばいいよ。』


夕貴は、夜、外灘をのぞむ店で食事をしながらそう言う。

小龍包が美味しいと評判だと田中が教えてくれた店だ。


昼は田中が運転して、観光案内してくれたが、

途中息子の悠斗はむずがるし、涼子は田中と久しぶりに会うのに、自分がいては

ゆっくりつもる話も出来ないだろうと言う。


『あなたとゆっくり過ごすために、私は来たのよ。』


そう涼子が言っても、夕貴は首を振る。


『ううん、オレ一人で上海の街をぶらついてくる。

観光地もいいけど、直に街を歩いてみたい。』

『でも・・・』

『大丈夫・・心配しないで。夕方待ち合わせして、また一緒にご飯を

食べたら十分さ。何かあったら携帯に連絡するよ。』


夕貴はまるで子供のように目を輝かせながらそう話す。


『蘇州や杭州にも行ってみようかな・・。』


この街の蠢くようなパワーに圧倒されて、心騒ぐのかも知れない。


ホテルでは別々の部屋を取った涼子と夕貴。


(でも・・・めくるめく夜を過ごすことになるかも・・・?)


涼子は夕貴が部屋に来てもいいようにと、風呂上がりに念入りに

手入れをしていたが、疲れがどっと押し寄せそのまま爆睡して

しまったのだ。正体不明のように深い眠りに沈んだ。無防備な顔で、

高鼾をかいていたかどうかは定かでない。


翌朝、さわやかな顔をして夕貴がドアをノックした。

涼子は、ドアを少しだけ開けた。


『おはよう、夕べはよく眠れた?』

『ええ・・やだ、まだ私用意してない・・・髪、ボサボサかも・・。』

『じゃあ、オレ、下のレストランで朝食先に食べてるから。』


背中を向けようとする夕貴に、涼子が聞いた。


『ちょっと、待って。』

『なに?』

『昨日の晩、夕ちゃん、私の部屋に来なかった?』

『ううん、どうして?何か用事あった?』

『??・・なら、いい・・』


夕貴は、何も動じることもなく、さわやかに微笑んで

先に行ってしまった。


(普通あるだろうが、めくるめく夜ってのォが~~???)


涼子は思う、女としての自分に魅力がないのかと。

しかし、そんな涼子の気持ちを知ってか知らずか、

窓際の席で夕貴が食べていたが、何人かの女性が、声をかけていた。


『ここあいてる?』

『ごめん、あいにく先約があるんだ。』みたいな会話をしてる風に

見えた。

涼子は焦って走る。席についたら夕貴は苦笑していた。

『レストラン内で、走らないでくださいって注意されるよ。』

『もう、意地悪~。』


そして、田中が迎えに来たとき、にこやかに夕貴は一人で

別に出かけていった。

















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