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ノンカピスコ・ten・LOVE   作者: 天野 涙
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弟3話 母が冷たい理由

(そう言えば、ミカが風呂上がりはヤバいと言っていた・・・。)


真央の同級生の美香は、風呂上がりの脱衣場で初潮が始まり、

下着が真っ赤になったらしい。

『ママ〜、ママ〜、早く来て!!。』と彼女は大声で叫んだ。


すると母親が慌てて、生理用品を持って、始末をしてくれたのだ。


まだ小学生なのに・・・もう初潮なのか。こんなに成長してくれて・・・と

美香の母親は感慨にふけったという。


その話を聞いて、真央は痛切に美香が羨ましかった。


(うちのママは、そんな時になんか、絶対そばにいない。)


もし仮に、真央が窮地を訴えても、涼子は自分の仕事を優先し、

『そんなの、栓しときなさいよ。今、忙しいんだから!』

ぐらいな事を言うに決まっている。冷酷な仕事女なのだから。


しかし、美香は大柄だが、真央は中肉中背。

普通であるのに、少し早すぎはしないか?


(きっと、私は苦労してるからだ・・・。)


身勝手な大人達に囲まれ、人の顔色を伺う術を身につけて、同級生よりは

大人びているからか・・。


そう夢うつつに、真央が考えてると、涼子がのそっと立ち上がり

フラフラしながらも、奥からタオルを持ってきて、真央の下半身の汚れを

拭き取ってる感触がした。


母親の少し濡れた指先が、足に触れた。温い手。その手で

自分を幾度抱いてくれた事があるだろうか・・・?真央にはあまり記憶がない。


敏感な処に、あてがわれた異物を感じ、下着を掃かせてもらった・・と

思ったら、ふいに抱き上げられた。フワッと、いい匂いがする。


(ええ〜???)


先ほどの若い男性が、抱き上げてくれたらしい。真央は、恥ずかしくて

身を固くする。


『夕ちゃん、いいわよ。あなたの服が汚れるわ。』

『大丈夫、大丈夫。お嬢さんの部屋はどこですか?』

『もう、あなた、優男なのに・・。いいのよ。そのうち起きるんだから。

ほっといてもいいのに。』

『そんなわけにいかないですよ。涼子さん、冷たいんだな。』


男性に言われると、不意に何を思ったか、涼子は立ちすくむ。


『そうなの・・・私は冷たい母親なのよ。』

『え・・・?妹じゃないんですか?家に着くまではそう言ってたのに・・。』

『ゲッ・・そうだったっけ。』


また言ってる・・と真央は呆れる。


真央は部屋に運ばれて、ベットの上に寝かされた。

もしこの男性がいなかったら、涼子の言うように、冷たい玄関で転がされてるまま

だったかもと思うと、無性に腹が立った。


目を開けて、文句ぐらい言ってやると思ったら、顔に先ほどの手が触れた。

涼子の手だ。


『私は、この子に何にもしてやらない、冷たい母親なのよ。』

『どうして?お嬢さん、可愛くないの?』


男性の声、優しい声だった。二人で、私をのぞき込み会話してる模様。


『わからない、でも・・母が娘を可愛がるのを見ると、憎らしい。』

『入院してるお母さんのこと?』

『そう、母も私には冷たかった。私が泣いていても、爪の手入れをするような人だったのよ。

 なのに、真央には優しいの。嫉妬してしまうんだわ。きっと・・。』


真央は、母の屈折した心の声を聞いた気がするのだった。


でも・・こうも思う。

今晩涼子が優しいのは、この若い男性がいるからだと。


明日の朝になって、男性がいなくなれば、また元の冷たい母に戻るに違いないと

思っていた。






















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