4 装備品
side 勇次
…とりあえず、この虫のささやきのようなものを考えていても仕方がないので、朝になるまでこのゲームを進めとくか。
さて、追加項目の中で、特にDP・SPに関する実験が必要なものは、[装備品の合成]と[リスポーン部屋]だろう。
メニューから[装備品の合成]を開く。
まず目に入ったのは、母体となる装備品と他の3つの合成素材の選択欄だった。
その下には、[予想合成結果及びスキル選択][合成にかかる時間][消費DP量]が並んでいる。
そして最後の欄に、[合成個数]と[名前変更]があった。
母体の選択欄をクリックしてみる。
画面にアイテム保管場所の選択現れ、今は[アイテム作成]と[アイテムボックス]の2つが並んでいる。
[アイテム作成]ではダンジョン内で作成できる物の一覧表が表示され、[アイテムボックス]はチュートリアルで作った剣1本だけ入っていた。
今回は母体に、剣を選択してみる。
次に合成素材欄をクリック。
先ほどとあまり変わらないが、違いは装備品だけではなく、普通のアイテムも選択できた。
これは結果が面白そうだな。
…そう思ったものの、その後何度か組み合わせを試してみたが、結果わかったことは少なかった。
まず、そもそも装備品である武器にはステータスがあり、内容は[攻撃力][魔法攻撃力][耐久力][属性][魔力伝導性][適性][武器スキル]の七項目である。
補足するなら、[魔力伝導性]が高ければ魔法攻撃力に補正がかかること。
[適性]は必要な筋力量や特殊なスキルが必要な場合もある、ということ。
今回の合成に使用した剣は、低ランクに存在するものであるため、[装備スキル]はそもそも付いていないし、[合成にかかる時間]も0秒。
武器に防具を合成した場合、武器同士で合成した時より合成後のステータスの上がり幅が低いにもかかわらず、[消費DP量]は増加。
合成素材に回復薬を選択した場合は[消費DP量]が増加したのみで、合成前とステータスは変わらなかった。
他にも思いついたことを一通り試してみたが、とりあえず今は[装備品の合成]を使っても仕方がないことはわかった。
むしろ今後のお楽しみという感じである。
気になる点と言えば、[予想合成結果]はあくまで“予想”であるため、確実な結果であるのかわからないこと。
…今回はポイントがもったいないため、実際には合成していないのでわからない部分である。
また、[合成個数]が未知数であること。
なぜなら合成素材の品質が必ずしも一定とは限らないためだ。
他にも、合成後の装備品の名前は[名前変更]しなければ合成前の母体の物と変わらないようである。
母体に、同じ名前の装備品を五個[アイテムボックス]に用意し、合成後[名前変更]しないようにした場合、母体として一度も合成されたことの無い物が優先して合成されるのだろうか。
それともランダムなのだろうか。
他にも、同じ名前でも種類の違う装備品ではどうなるのか。
同じ名前なら同一のものだと認識され、そしてランダムに選択されるのなら面白いことになる。
例えば、要らなくなった装備品の名前をAとBに振り分け、合成後Cができるとする。
Cは完全にランダムになるので、宝箱にCが補給されるようにすれば、宝箱ランダムガチャの出来上がりである。
人は行けば必ず手に入る物より、何が出るかわからない物の方が集まると聞いたことがある。
ぜひとも、お客さんにはリピーターになってもらい、ダンジョンの糧となってほしい。
などといった、面白い使い方ができるといいなと思うけど、そこらへんどうなのよ、と。
結局、合成に必要なものはDPのみ。
今は合成に必要なDP量は低いが、今後素材によってはわからない。
余裕があれば、要検証すべきだな。
…そして、まるでハエのようにチラチラと頭をよぎる違和感から目を背けながら、次の項目に進んだ。